竜の花嫁〜最弱回復術師から世界最強の花嫁への道〜

かーにゅ

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本編

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「ここが竜の国『リュージュニス』っす」
「りゅーじゅにす…」
「…分からないっすよね。まー仕方ないっす」
「僕は…」
「さぁさ。行くっすよ」
お兄さんはまた僕の手を掴むと歩き始めた。
「君は竜王様のマリネっすからきっと竜王様にも気に入られるっすよ」
「りゅうおうさまの…まりねって…?」

マリネは何人もいるんじゃないの?

「竜の国で伴侶持ち、または準備中以外の竜は竜王様以外にいないっすから。君の村でまだ顔合わせもしてないのは君だけだったから必然的に君が竜王様のマリネになるんすよ」
「僕…役に立たない…です」
「役立つっすよ?竜は何百年と孤独なまま生きていくんす。そうやって過ごしてきてやっと自分のマリネを貰えるんすよ?」
「…でも」
「あ、竜王様だ。…外に出るなんて珍しいっすねー」

お兄さんは空を見上げていた。

上にあるのは青空と…大きな影。

何あれ…おそらに…影?

「へ?ちょ…ここはやめてー!!」

お兄さんは突然僕を抱き上げて目の前の広場に向かって走り出した。

「ぜぇ…はぁ…あんな…あんな住宅街に降りようとするとか何考えてんだあの上司!!」
「…大丈夫…ですか?」
「平気っす…」

その時、ドスンと大きな音を立てながらおそらの影が降りてきた。

おっきな…竜…?

「きれぇ…」

思わず呟いてしまい慌てて口を塞いだ。

聞かれてもいないのに口を出しちゃいけないんだ。…あ、さっきもお兄さんに話しかけちゃった。

『ジェイド…なぜすぐ連れてこない』
「こんな小さな子を乗せて飛べと!?落ちるっすよ!?」
『そのくらいどうにかなるだろう』
「人型で抱えるのが精一杯っすよ!!あんたみたいな超人と一緒にしないでください!!」

竜が…お話している…。

「あー…こちら竜王のサトラヴィス・リオール様で」
「さとらぅ…ぅ…び?」
「サトラヴィスっす」
「しゃとりゃびしゅ!!」

噛みまくってしまった。

「…サトでいい」

さっきまで竜さんがいたところにかっこいいお兄さんが立っていた。

「さと…様?」
「様はいらない。…君が…」

その人は僕の頬に手を当てた。

「あのーりゅーおうさまー?その子まだ子供なんで手を出さないでくださいねー?」
「…分かっている」
「いや分かってるならその手をどけてくださーい?」

別に…触られるくらいなら慣れてるからいいのに…。この人も…僕の…治療薬が欲しいのかな。どこも怪我をしているように見えないけど…。

「私のマリネ…」
「…あの」

僕は腕をまくって出した。

「…いり…ますか…?」

正直まだふらついているけど…大丈夫…。

「いるって…何のことだ?」
「…え?」

いらない…の?僕…声かけられるときはいつも取られるのに…。

「…なぁ、顔色が悪くないか?」
「平気…です」
「いや大丈夫じゃないだろう」

そのまま視界が暗転して…僕はその人の方に倒れ込んでしまった。

「おい!!」

すみません…少しだけ。
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