竜の花嫁〜最弱回復術師から世界最強の花嫁への道〜

本編

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｢…この人…がいい…です｣
｢…竜王様の予想通りですね｡ではあなたに番様の庭園に入る許可を与えましょう｡…新しく鍵を作らなければなりませんね｣
｢…そう…なん…ですか？｣

鍵なんてあったっけ？…普通に入ったような。

｢種は番様が選ぶんですよ｣
｢…がんばります｣
｢竜王様に依頼されたものは既に届いております｣
｢他国のものですね｡そちらも後で見てみましょうか｣
｢はい｣

フィオナの言いなりになっている気がする｡言いなり…ってダメかな｡フィオナだからいいのかな？他の人が僕に話しかけることはほとんどないし…｡

｢番様｡こちらを｣
｢…上着…？寒く…ないです…｣
｢お外は冷えますので｣

薄手のガウンを着せられ､ふわふわの靴まで履かされた｡そんなに寒くないのに｡村だとすっごく冷えるから服だけで暖かくなれないなら村長の家でみんなでくっつくんだ｡…懐かしいな｡サト…やってくれないかな｡フィオナも一緒に…｡

｢まだ寒いですか？｣
｢いいえ…｣
｢こちらです｡植える場所を指定されますか？｣
｢…お任せします｣

僕は全然わからないから｡…前に見たアーチはすごく綺麗だったけど…難しいのかな｡

｢あの…｣
｢はい｡なんでしょう？｣

庭師のお兄さんはすぐこちらを向いた｡

｢…お花の…アーチって…難しい…ですか？｣
｢支柱と蔓の植物さえあれば作れますよ｡花は何にしましょうか｣
｢…お任せ…します｡…匂いの…強くないの…で｣
｢かしこまりました｣
｢番様｡お部屋に戻りましょう｡お体が少し冷えていますわ｣
｢…そう…ですか？｣

僕を支えるために手を添えていたフィオナがそう言い出した｡

…冷えてる…かな？よく分からない…でもフィオナが言うならそうなのかな｡お茶飲んだら暖かくなる？

｢ふふ｡お茶にしましょう｡今日はケーキを用意しましたわ｣
｢…なんの…ケーキ…？｣
｢ご覧になるまで秘密ですよ｣

…プルグ入ってるかな｡僕が好きだからっていっぱい入れてくれるんだ｡…好きというより…プルグがあるとね､サトがすぐ食べさせてくれるの…恥ずかしいけど…鳥の赤ちゃんになったみたいで…好き…｡