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第2章:王都編
第16話 向かう先は…
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ノクターンとレイノルドが厩へと向かってから数分。
今回は迷うことなく城門まで辿り着くことができたシエルとフェリルは、2人が来るのを静かに待っていた。
「……視線が、痛い……」
謁見が終わり、王城から出てくる家臣や貴族たちの視線が、城門の隅にいるシエルたちをチラチラととらえている。
そんな視線に耐えられなくなったシエルはフェリルの陰に隠れて逃げる。
「なぜ、我を盾にするのだ……」
大きくため息をついたフェリルは静かに告げる。
「……大きいし、隠れるのに丁度いいかなって」
城門前で座っているフェリルがちょうどいい陰になっていてシエルを隠している。
「隠密を使えば良かろう」
「……ちょっと、押さないでよフェリル」
そこへ馬を連れたノクターンとレイノルドがやってきた。
「……何やってんだ、お前たち。」
フェリルの陰に隠れるシエルを鼻で押し出しているところに出くわし、苦笑いを浮かべて問いかける。
「……お城から出てくる人たちの視線が気になって、フェリルの陰に隠れてただけよ。押し出されちゃったけど。」
見られたことが恥ずかしくなったシエルは顔を背けながら答える。
「神獣を盾にしようとは……いい度胸であるな」
パクっとシエルの頭を甘噛みしてフェリルは静かに告げる。
その様子を見ていたノクターンたちは驚いて目を見開く。
「……おいっ!」
「おやおや……」
シエルは動じていないようで、フェリルをグイっと押し返す。
「ごめんって、次からはしないから。それより、2人も来たことだし行きましょ?」
その言葉を合図にフェリルは伏せて、その上に跨るシエル。
「お前、大丈夫か……?」
馬に乗ったノクターンは、先程フェリルに甘噛みされたシエルを心配する。
「別に……甘噛みだし、平気だよ?」
気にしていないと言わんばかりのシエルは平然としている。
「そういう問題じゃないだろう……」
シエルとノクターンのやり取りを見ていたレイノルドが笑いながらいう。
「あははっ、さすがは召喚者というべきか……シエルさんは肝が据わっているようだ」
レイノルドの発言にフェリルが横から口を挟む。
「そうでもないぞ。ヴェルグリムの深層と中層を結ぶ崖から飛び降りたときなんか、うるさいくらいに絶叫しておったからな」
顔を赤らめ、フェリルに捕まっている毛並みをグイグイ引っ張りながらシエルは反論する。
「あ、あれは例外よ!あんな高さから急に飛び降りられたら誰だって驚くじゃない!……フリーフォールより怖いわよ、アレ。」
レイノルドとノクターンは鳩が豆鉄砲を食ったような表情で首をかしげ、同時に反復する。
『……ふりーふぉーる?』
意味が通じていない様子の2人をみて、シエルは思わず苦笑いを浮かべる。
「あー……。私が召喚される前の世界にあった遊園地……じゃなくて娯楽施設で、ゆっくり高いところまでのぼってから、猛スピードで一気に落ちる、一種の度胸試しのような乗り物のことよ」
拙い説明でフリーフォールがどんなものなのかを簡潔に伝えた。
「シエルさんの世界には、そんな面白そうな娯楽施設があるんだねぇ」
興味を示したレイノルドはもっと聞きたい様子で瞳を輝かせている。
「いや、どう考えても危ないだろ!……大丈夫なのか?その拷問に近い乗物は……」
ノクターンは危険だと判断したようで冷静にツッコミを入れる。
「まぁ年に何回か点検してるみたいだし大丈夫だと思うわよ。私は関係者じゃないからよくわからないけれど。それより、今日は何かあるの?」
シエルはレイノルドを見てノクターンに問いかける。
「ん?いや、特には無いが……明日の事を話し合おうと思ってな。」
「騎士たちもアストラルヴィエン?ってところに行くんだもんね」
隣国の話題になった途端、シエルの表情がわずかに曇る。
「あぁ。……そういえば、夕餐後のデザートは妖精蜜のベリータルトだって言っていたぞ」
頷きながら短く答えたノクターンは公爵邸の門をくぐり、さりげなく話題をそらして夕餐のメニューをシエルに告げる。
「え、本当?私あのタルト、結構気に入っているのよね」
先程まで曇っていたシエルの表情はパァっと明るくなり、嬉しそうにしながら続いて門をくぐっていく。
「本当に、冷酷な悪魔はどこに姿を消したのやら……」
ふっと柔らかく微笑み、暖かな眼差しを向けるレイノルドは2人の少し後ろを静かについていき公爵邸へと入っていった――。
今回は迷うことなく城門まで辿り着くことができたシエルとフェリルは、2人が来るのを静かに待っていた。
「……視線が、痛い……」
謁見が終わり、王城から出てくる家臣や貴族たちの視線が、城門の隅にいるシエルたちをチラチラととらえている。
そんな視線に耐えられなくなったシエルはフェリルの陰に隠れて逃げる。
「なぜ、我を盾にするのだ……」
大きくため息をついたフェリルは静かに告げる。
「……大きいし、隠れるのに丁度いいかなって」
城門前で座っているフェリルがちょうどいい陰になっていてシエルを隠している。
「隠密を使えば良かろう」
「……ちょっと、押さないでよフェリル」
そこへ馬を連れたノクターンとレイノルドがやってきた。
「……何やってんだ、お前たち。」
フェリルの陰に隠れるシエルを鼻で押し出しているところに出くわし、苦笑いを浮かべて問いかける。
「……お城から出てくる人たちの視線が気になって、フェリルの陰に隠れてただけよ。押し出されちゃったけど。」
見られたことが恥ずかしくなったシエルは顔を背けながら答える。
「神獣を盾にしようとは……いい度胸であるな」
パクっとシエルの頭を甘噛みしてフェリルは静かに告げる。
その様子を見ていたノクターンたちは驚いて目を見開く。
「……おいっ!」
「おやおや……」
シエルは動じていないようで、フェリルをグイっと押し返す。
「ごめんって、次からはしないから。それより、2人も来たことだし行きましょ?」
その言葉を合図にフェリルは伏せて、その上に跨るシエル。
「お前、大丈夫か……?」
馬に乗ったノクターンは、先程フェリルに甘噛みされたシエルを心配する。
「別に……甘噛みだし、平気だよ?」
気にしていないと言わんばかりのシエルは平然としている。
「そういう問題じゃないだろう……」
シエルとノクターンのやり取りを見ていたレイノルドが笑いながらいう。
「あははっ、さすがは召喚者というべきか……シエルさんは肝が据わっているようだ」
レイノルドの発言にフェリルが横から口を挟む。
「そうでもないぞ。ヴェルグリムの深層と中層を結ぶ崖から飛び降りたときなんか、うるさいくらいに絶叫しておったからな」
顔を赤らめ、フェリルに捕まっている毛並みをグイグイ引っ張りながらシエルは反論する。
「あ、あれは例外よ!あんな高さから急に飛び降りられたら誰だって驚くじゃない!……フリーフォールより怖いわよ、アレ。」
レイノルドとノクターンは鳩が豆鉄砲を食ったような表情で首をかしげ、同時に反復する。
『……ふりーふぉーる?』
意味が通じていない様子の2人をみて、シエルは思わず苦笑いを浮かべる。
「あー……。私が召喚される前の世界にあった遊園地……じゃなくて娯楽施設で、ゆっくり高いところまでのぼってから、猛スピードで一気に落ちる、一種の度胸試しのような乗り物のことよ」
拙い説明でフリーフォールがどんなものなのかを簡潔に伝えた。
「シエルさんの世界には、そんな面白そうな娯楽施設があるんだねぇ」
興味を示したレイノルドはもっと聞きたい様子で瞳を輝かせている。
「いや、どう考えても危ないだろ!……大丈夫なのか?その拷問に近い乗物は……」
ノクターンは危険だと判断したようで冷静にツッコミを入れる。
「まぁ年に何回か点検してるみたいだし大丈夫だと思うわよ。私は関係者じゃないからよくわからないけれど。それより、今日は何かあるの?」
シエルはレイノルドを見てノクターンに問いかける。
「ん?いや、特には無いが……明日の事を話し合おうと思ってな。」
「騎士たちもアストラルヴィエン?ってところに行くんだもんね」
隣国の話題になった途端、シエルの表情がわずかに曇る。
「あぁ。……そういえば、夕餐後のデザートは妖精蜜のベリータルトだって言っていたぞ」
頷きながら短く答えたノクターンは公爵邸の門をくぐり、さりげなく話題をそらして夕餐のメニューをシエルに告げる。
「え、本当?私あのタルト、結構気に入っているのよね」
先程まで曇っていたシエルの表情はパァっと明るくなり、嬉しそうにしながら続いて門をくぐっていく。
「本当に、冷酷な悪魔はどこに姿を消したのやら……」
ふっと柔らかく微笑み、暖かな眼差しを向けるレイノルドは2人の少し後ろを静かについていき公爵邸へと入っていった――。
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