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第3章:魔導国家編 ②
第1話 魔導図書館・ノア=インフィニタ ①
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魔導国家・アストラルヴィエンの都心部に位置するドーム型の魔導図書館「ノア=インフィニタ」。
魔法で星空が映し出された濃紺の屋根は、昼夜問わず幻想的な瞬きを放っていた。
「ここに、白き魔女の文献があるのね……」
(私の探している答えが、見つかると良いんだけど)
シエルは淡い期待を胸に、図書館のゲートを潜った。
石造りの白い外壁には薄紫色の魔方陣が描かれ、静かに脈打っていた。
まるで入館者を監視するかのように……。
「秘匿区域……だったか?他国の文献なのに、ずいぶんと厳重なんだな。」
ノクターンも続いて中に入っていった次の瞬間――。
――バチッ
フェリルだけが、入口の結界に弾かれてしまった。
「なぜ……我は入れぬのだ!神獣ぞ!」
低い唸り声をあげ、力強く前脚で結界を叩く。
再び小さな電撃音が響くと同時に、紫色の火花が散る。
「――魔導図書館では本を守るために魔法生物を含め、すべての生物が入場できないようになっているんですよ」
突如として背後から落ち着いた声が響き、シエルたちは思わず振り返る。
そこには黒紫色のボブヘアと黄金色の瞳が神秘的な雰囲気を放つ、丸眼鏡をかけた小柄な女性が静かに佇んでいた。
「……あなたは?」
シエルが警戒して慎重に問いかけた。
「私は司書長のオルディアナです。結界に反応があったので様子を伺いに来たのです」
結界に弾かれたフェリルを見てオルディアナは柔らかに告げた。
「この子は私の従魔なんだけど……無闇に人を襲ったりしないから、このまま待機させてもらってもいいかしら?」
シエルはフェリルへ視線を送り、オルディアナに問いかけた。
「人を襲わない……ということでしたら構いませんよ。」
オルディアナは優しく微笑み、静かに承諾した。
「……入れぬのなら仕方あるまい。団長殿、主を頼んだぞ」
フェリルは刺々しい口調で告げ、大きな足音を立てて移動した。
邪魔にならないよう建物の隅で伏せた。
「すまないな。少しだけ待っていてくれ」
「すぐに戻ってくるからね」
シエルとノクターンがフェリルに別れを告げ、図書館の中へ姿を消した。
「何か、可哀相なことしちゃったわね……」
シエルが苦笑いを浮かべて小さく呟く。
「そういう規則なら仕方ないんじゃないか?」
さりげなくシエルをフォローするノクターンは、バッグから調査書類を取り出した。
オルディアナのもとへ歩み寄って書類を見せた。
「ここに保管されている白き魔女の文献を確認しに王都から来たんだが、案内してもらえるか?」
一瞬だけオルディアナの表情が曇り、空気が凍った。
(なに、今の空気……)
シエルは微かな空気の変化を見逃さなかった。
じっと、探るような視線をオルディアナに向ける。
「……申し訳ございませんが、魔塔主様が認めた者にのみ発行する許可証が無いとお通しできない規則なんです。」
何事も無かったかのように、すぐ無表情に戻ったオルディアナは平然を装った。
(他国の文献を、ここまで厳重に保管する理由は一体何なの?)
シエルはフードの奥で一瞬だけ表情を曇らせた。
「昨日魔塔で文献の事を聞いた時は、ここに保管されている事しか聞いていないが?」
ノクターンがオルディアナを冷え切った眼差しで鋭く見据えた。
「つまり、お2人は塔主様に認められなかった――ということですね」
オルディアナはノクターンの威圧に動じることなく淡々と告げた。
「……それは違うよ、オルディアナ」
静かに敵対の炎を瞳に宿すノクターンとオルディアナのもとに穏やかな声が響いた。
(この声……)
シエルは気配を感じなかった声の主に、そっと眉を顰める。
背後には金の刺繍が施された漆黒の魔導服に身を包んだ魔塔主――セラフィウスが気配を殺して静かに佇んでいた……。
魔法で星空が映し出された濃紺の屋根は、昼夜問わず幻想的な瞬きを放っていた。
「ここに、白き魔女の文献があるのね……」
(私の探している答えが、見つかると良いんだけど)
シエルは淡い期待を胸に、図書館のゲートを潜った。
石造りの白い外壁には薄紫色の魔方陣が描かれ、静かに脈打っていた。
まるで入館者を監視するかのように……。
「秘匿区域……だったか?他国の文献なのに、ずいぶんと厳重なんだな。」
ノクターンも続いて中に入っていった次の瞬間――。
――バチッ
フェリルだけが、入口の結界に弾かれてしまった。
「なぜ……我は入れぬのだ!神獣ぞ!」
低い唸り声をあげ、力強く前脚で結界を叩く。
再び小さな電撃音が響くと同時に、紫色の火花が散る。
「――魔導図書館では本を守るために魔法生物を含め、すべての生物が入場できないようになっているんですよ」
突如として背後から落ち着いた声が響き、シエルたちは思わず振り返る。
そこには黒紫色のボブヘアと黄金色の瞳が神秘的な雰囲気を放つ、丸眼鏡をかけた小柄な女性が静かに佇んでいた。
「……あなたは?」
シエルが警戒して慎重に問いかけた。
「私は司書長のオルディアナです。結界に反応があったので様子を伺いに来たのです」
結界に弾かれたフェリルを見てオルディアナは柔らかに告げた。
「この子は私の従魔なんだけど……無闇に人を襲ったりしないから、このまま待機させてもらってもいいかしら?」
シエルはフェリルへ視線を送り、オルディアナに問いかけた。
「人を襲わない……ということでしたら構いませんよ。」
オルディアナは優しく微笑み、静かに承諾した。
「……入れぬのなら仕方あるまい。団長殿、主を頼んだぞ」
フェリルは刺々しい口調で告げ、大きな足音を立てて移動した。
邪魔にならないよう建物の隅で伏せた。
「すまないな。少しだけ待っていてくれ」
「すぐに戻ってくるからね」
シエルとノクターンがフェリルに別れを告げ、図書館の中へ姿を消した。
「何か、可哀相なことしちゃったわね……」
シエルが苦笑いを浮かべて小さく呟く。
「そういう規則なら仕方ないんじゃないか?」
さりげなくシエルをフォローするノクターンは、バッグから調査書類を取り出した。
オルディアナのもとへ歩み寄って書類を見せた。
「ここに保管されている白き魔女の文献を確認しに王都から来たんだが、案内してもらえるか?」
一瞬だけオルディアナの表情が曇り、空気が凍った。
(なに、今の空気……)
シエルは微かな空気の変化を見逃さなかった。
じっと、探るような視線をオルディアナに向ける。
「……申し訳ございませんが、魔塔主様が認めた者にのみ発行する許可証が無いとお通しできない規則なんです。」
何事も無かったかのように、すぐ無表情に戻ったオルディアナは平然を装った。
(他国の文献を、ここまで厳重に保管する理由は一体何なの?)
シエルはフードの奥で一瞬だけ表情を曇らせた。
「昨日魔塔で文献の事を聞いた時は、ここに保管されている事しか聞いていないが?」
ノクターンがオルディアナを冷え切った眼差しで鋭く見据えた。
「つまり、お2人は塔主様に認められなかった――ということですね」
オルディアナはノクターンの威圧に動じることなく淡々と告げた。
「……それは違うよ、オルディアナ」
静かに敵対の炎を瞳に宿すノクターンとオルディアナのもとに穏やかな声が響いた。
(この声……)
シエルは気配を感じなかった声の主に、そっと眉を顰める。
背後には金の刺繍が施された漆黒の魔導服に身を包んだ魔塔主――セラフィウスが気配を殺して静かに佇んでいた……。
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