君と見る雨垂れ

塚口悠良

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2. 体験入部?

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 翌日、宣言通り部活の体験入部をするのだと報告してきた岩本はカレンダーに毎日違う部活の名前が入っているのを見せてくる。それをなぜ俺に見せるのかは分からないが、話に相槌を打ちつつ聞き流した。なんの部活に所属しているのかと聞かれたから帰宅部だと返すとリストに載っていなかったから忘れてたと付け足すようにカレンダーに帰宅部と打ち込んだ岩本に目を丸くする。何を言っているんだ。帰宅部の体験入部などあるはずがない。そもそも帰宅部は便宜上そう呼ばれているだけの無所属なのだから。首を傾げていると、帰宅部と記した日の放課後、空けておいて欲しいと言われる。はにかんだような表情で体験入部したい、と言う岩本に苦笑してしまう。帰り道の面白いものでも探しておくことに決め、頷いてやると岩本は嬉しそうに笑っていた。

 約束の日、放課後適当に教科書をまとめてカバンを持ち上げる。ちらりと隣の席に目を向けると、丁度岩本も荷物をまとめたところだった。目だけで合図を送り教室を出ると、しっかり後ろを着いてくる。昇降口で靴を履き替えた辺りで体験入部の挨拶をされ、肩を竦める。確かにそんな体だったな、と思いつつ校門を出る。家の方向はどうやら同じなようで、まず手始めに通学路にある自販機で炭酸ジュースを買った。岩本にも何がいいか聞くと、缶を振って崩すゼリーのドリンクを所望される。想像よりもだいぶ冒険するんだな、と思わず笑う。岩本は軽めに振ってゼリーの食感を楽しむのが好きなんだとか。だったらゼリー食えよと言うとロマンがないと怒られてしまった。
 買ったものを飲みながら道中にある本屋に立ち寄った。好きな漫画の最新刊やいつも買っている週刊誌が発売の日は何かしら買っていくが、今日は特に何もない日だ。お互いの好きなマンガジャンルの話をして、意外と読書遍歴が被っていることを知る。本屋でウィンドショッピングっていうのも変な話だが、不思議と気が合いまくるから、本屋だけでかなりの時間を過ごしてしまった。ふと時計を見た岩本が慌てて帰らなければいけないと言い始め、スマホを確認して驚く。帰り際店のおばちゃんがにやにやしているのを威嚇するだけして、足早に帰路に着いた。
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