枯れ落ちる花

塚口悠良

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けじめの付け方

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 私には遠距離恋愛中のカレシがいる。彼は実家暮らしで、きっと会いに地元に戻っても半日一緒に居られれば御の字。こっちに来てくれれば泊まりでもなんでもできるけど、彼の家は鬱陶しいくらいに過干渉でうまくいかないみたい。最初はそれもある程度覚悟してた。でも、思った以上に予定は合わないし、どんどん面倒になってくる。私はたぶん、普通の女の子よりも性欲が強くて、いつも熱を持て余してる。好意を抱いてくれてるのが分かったから出来心で付き合った。そんなんだから多分バチが当たったんだと思う。

「さっさと、手を離してあげなきゃ。……はあ。めんどくさ」

 メッセージアプリのトーク画面を開いては溜息をつく。少しでもいい彼女でいようとこまめに連絡したり、電話したりしてたけど、私からアクションを起こさないと余裕で一ヵ月くらい連絡をしてこない。忙しいのかなと思って連絡しなかった、って何回か言われたけど、正直そんな気遣いを寄越すくらいなら無理を通してでも会いに来てくれた方がマシ。どんどん、彼から心が離れていくのを感じる。もう、どうでもいい。そんな風に思い始めてどれだけ経ったんだろう。付き合って半年の記念に、と贈られてきた芍薬の花にも正直うんざりしている。なんだって花なんか。命を粗末に扱うのは主義に反するからなんとか面倒を見ているけれど、もう金輪際ごめんだ。きっと彼は、花を愛でるのが好きな可愛らしい女が好きなんだろう。だったらより一層、私なんかと付き合ってていいわけがない。お互い、なんの利にもなっていないのだから。

 ふと、打っていたメッセージを消して優菜とのトーク画面を開く。適当にスタンプを押すけれど、すぐには返事が返ってこない。この心のざわめきはなんだろうか。出てしまいそうな答えに蓋をしてメッセージを取り消す。スマホをベッドに放ってため息をついた。
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