声に恋する君に恋した

塚口悠良

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4.運命力とかそういうもの

4-1.夏休みのその前に

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 テストを無事に終え、明日からは待ちに待った夏休み。それなりの量出された課題には一旦目を瞑って長期休みへの楽しみを存分に抱えることにする。一学期最後のホームルームを終えて荷物をカバンに詰めたタイミングで、橘が俺の机にやってくる。これももうお決まりの流れだ。
「今日半日だし、このまま遊び行かない?」
「おーいいよ。なんかしたいことあんの?」
 今日も適当に俺の家に来るのかと思っていたけれど、橘はどこか行きたい場所でもあるらしく、ソワソワした雰囲気で提案してくる。
「実はさ、カラオケでインタビュー映像が流れるらしくて……」
 いそいそと橘が表示したスマホの画面には橘が好きだと以前話していたコンテンツの曲がMV付きで配信された旨とその曲を歌う声優さんたちのインタビュー映像が放映されるという情報だった。
「すげーマジかよ。そりゃ行かなきゃだわ」
「マジ⁉ 付き合ってくれんの⁉」
 俺の反応に飛び上がって喜んだ橘に首を傾げる。なんでそこまで驚いてるんだこの男。普通に考えて限定映像なんて見に行く以外の選択肢ないだろ。オタク舐めてんのか。
「カラオケの映像って流れるまでずっと待ってないといけないし、付き合わせるの悪いかなって思ってたんだけど、無理してない?」
「流れてない間は話でもしてればすぐだろ。何周でも付き合うわ」
「……お前、マジでイイヤツだよね」
「オタクなら誰でもこうなんじゃね? 推しがカラオケで喋ってんの見たくないオタクいないだろ」
 自分にとって当たり前のことがそうではない場合があるということを時々嫌という程感じる。橘は今まで、リアルでオタク友だちがいなかった。だからこそ、オタ活を誰かと出来るのが楽しくて仕方が無いんだろう。ウッキウキの橘の背中を軽く叩き、さっさと昇降口に向かう。どうせフリーで入るんだ。時間は長いだけいいだろ。

 五、六回目の映像を眺めた橘は満足気に頷きぺこりと頭を下げた。
「すげー満足した! 付き合ってくれてありがとう!」
「おー。俺も見てたアニメだったから、面白い話聞けたわ」
「……北見ってさ、めちゃくちゃアニメ見てるよな」
 小首を傾げ不思議そうにする橘はじっと俺の顔を見つめる。確かに今日の作品は去年アニメ化した男性アイドルコンテンツだ。一般的には消費層が女性とされているからこそ、疑問に思ったのだろう。別に隠しているわけでもないし、言ってしまうか。と、スマホでひとつのサイトを表示させる。
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