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君と共に
しおりを挟む僕は右足担当の、ちょっとくたびれたスニーカー。
彼が初めて僕を手に取ったのは、あの日の晴れた午後。
「これなら、どこまでも歩けそう」
そう言って、笑った彼の顔を、今でもはっきり覚えてる。
最初はぎこちない足取りだったけど、僕たちはすぐに馴染んだ。
駅の階段、雨上がりの公園、夜道を急ぐ帰り道──
君の足元で、僕は黙ってすべてを支えた。
疲れている日ほど、僕の中のソールは必死だった。
「もうちょっとだけ頑張れ」って、何度も踏ん張った。
傷は増えて、色も褪せてきたけど、それが僕にとっての勲章だ。
だって、ひとつひとつが君と歩いた証だから。
あの日つまずいた道も、全力で走ったあの坂道も、僕はちゃんと覚えてる。
でも最近、僕は玄関のすみに追いやられた。
新しい靴が箱から出てきて、僕のいた場所をすっと奪った。
白くて、軽くて、未来みたいな顔をしてた。
僕は古い。重たい。汚れてる。
それでも、君の足の形は僕の中にまだちゃんと残ってる。
ねえ、君は覚えてる?
転んだとき、僕が先に地面を受け止めたこと。
道に迷った夜、君が歩みを止めなかった理由を、僕は知らないふりをした。
僕は、誰かに見せるためのものじゃない。
ただ君と、一歩ずつ進むためにいるんだ。
願わくば、いつかまた手に取ってほしい。
どこか遠くへ行くその日、もし僕を履いてくれるなら、
その一歩は、きっと世界で一番やさしい音がするはず…
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