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赤髪
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痛みに泣き叫びんでいるユナの目は赤く充血し、涙の代わりに血が流れ、それでもユナは強引に立ち上がりました。
「へぇ、」
意外。
すぐに死ぬと思ってたのに。
ナギはほんの少しだけ興味深そうにユナの回りをくるりと回りました。
「ナギ…、」
「なぁに?遺言?」
「…、僕を、大樹の精霊の所に案内して…」
口の中にも血が溢れて彼の古い服を血で汚れてしまいました。
僅かだけナギは驚いたように揺れます。
「ねぇ、その体でいくつもりなの?まだ、ニーチェは表面にでてきてないよ」
ほんの少し、ほんの微かに声が心配そうです。
「…、うん」
それに、ユナは頷きました。
一度はよろめいて膝をつき、傷のない箇所からも血を流しながらもユナは立ち上がり、前に進もうとしています。
「死ぬなら…」
喉も少し切れたのでしょう。
掠れています。
腕の皮膚が裂けて、胸が裂けてそれで、また血が溢れ服も髪のように赤黒くなっていきます。
それでも、ユナは立つことを諦めません。
「せめて…、母さんの薬を手に入れられない…と」
その赤い目には決意が満ちていました。
例えそれが、精霊を殺すことだとしても
いかないと…と。
「そうすれば…、
きっとアンジェ達がお薬を持っていってくれるもの」
「ふーん。
なるほど…ね。自己犠牲の精神ね。
光の神様はこの辺りを考慮したのかな?」
ナギは真っ黒な血を流しながら、小さな身体をひきづりながら前へとすすむ、ユナのをただ見ていました。
そして、やれやれとため息をつくと
「まぁ、そこまで逝きたいのなら君を案内しよう。
特別サービスだ。
ここに次元の穴を開けてあげる」
リンと強く鈴の音色がなると、深く黒い穴が何もないところにあきました。
中は見透かすことも出来ない暗闇です。
「この先に、精霊の泉がある。この空間を抜ければ精霊はすぐにあえるさ」
亜空間を示すように、ナギはジグザグに空間を照らします。
「けれど、君……、何もできずに終わりそうじゃないかい?」
嘲るような言葉を投げつけますが、
「ありがと」
ユナは、笑うばかりでした。
それに、ナギはひくりと震え
「っ、本当に行くんだね。あんなに僕にさえ怯えていた癖に……」
なおも投げつけるように言葉を発します。
「そうだね。
でも、この腕輪をつけていれば精霊を倒せるんでしょ?」
息も絶え絶えなユナの言の葉にナギは呆れるようにため息をつきました。
「君の手が触れさえすれば間違いなく。
それは保証しよう。
けれども、君。その前に死ぬんじゃない?」
「なにもしないで終わるよりずっといい」
ニッコリと微笑むと、ユナは開いた次元に手をかけようとしました。
しかし、
「そこまでだ!」
高い弦音が聞こえたかと、同時にリーンゼィルの声が聞こえて矢はブレスレットのみを貫き砕いてしまいました。
「え?」
あと数ミリずれていればユナの腕に刺さるギリギリを
碎けたブレスレットを見てユナは膝を着きました。
「リーンゼィルさん!どうして!」
「見事な腕前だけど。
おやおや、酷いなぁ。なんてことするのさ。」
「それはこちらの台詞だ!」
「リーンゼィルさん!!
どうして!?これがないと、これがない母さんを助けられないのに!!」
「馬鹿!それは呪われた腕輪じゃないか!
そんなもの何処で手にいれたんだ!!!」
碧い瞳に怒りを湛え、リーンゼィルは叫びます。
「あらら、残念。
結局、君はここでゲームオーバーのようだね」
ナギは少し残念そうに、ゆらゆらとリーンゼィルの回りを漂いました。
そして、せっかく開いた異空間を、ユナの目の前で閉じてしまいました。
ユナは、その光景に絶望し、地面を爪が割けるほどに握り締めます。
「リーンゼィル…、よくも」
地のそこから這い出るような、ユナよりもずっと低い声が聞こえました。
ざわざわと、赤髪が蠢き赤き瞳が金色に輝き、獣のように吠えます。
「おや?」
ナギはいつの間にか人形に戻って、ほほを紅潮させていました。
ほんの少し期待に満ちた瞳でユナを見つめます。
ほんの少しだけ面白くなりそうだ。
そっと、ナギは彼らから距離をとり見物することにしました。
「ユナ!まて!」
獣のように唸るユナを静止させようと手を伸ばしたリーンゼィルをユナの赤髪が伸びて振りはらいます。
「くっ」
吹き飛ばされましたが、リーンゼィルはくるりと後ろに受け身を取りますが、踏ん張った分土が抉れます。
「ふーん、これがニーチェの力かぁ、
取りつく相手がショボいとこんなもんなんだね」
ナギはのんきな声でそういって笑いました。
それどころではないリーンゼィルは、手持ちに何も無いために、首にかけた銀色の笛を吹きました。
「来い!フェイン!!」
彼は自身が来た方角にむかって叫ぶと、リーンゼィルの武器をもってフェインが飛び出してきました。
その口に咥えた矢筒を彼に投げ渡します。
「サンキュー!」
受け取った矢を抱え、軽々と木に上ると矢をつがえ天に向かって放ちます。
酷く耳に響く音がして、ユナもナギさえも一瞬動きを止めざる終えませんでした。それから、連続でリーンゼィルは矢を空へと連続で放ち、あっという間にユナを木に打ち付けてしまいました。
「わっ!見事な腕前だねぇ。」
感心するようにナギは見ていましたが
その狙いがこちらに向いたことに気がつくと僅かに笑いました。
「僕を狙うことは無駄だと思うけど?」
そんなことお構いなしにリーンゼィルはナギに向かって矢を放ちました。
「はっ、僕には物理攻撃は無駄だよ」
光の玉であるナギは矢を一切避けず、矢は彼女を通り抜けてしまいました。
それでも、リーンゼィルは構わず、弓に矢をつがえてナギを狙います。
ギリギリと引き絞り高い弦音が鳴って、矢は一直線に、ナギのいる場所には行きますが、彼女に当たることなく木に突き刺さりました。
「無駄なことは嫌いそうに見えるのに随分なことするね。」
呆れたようなほんの少し怒りに満ちた声でナギは矢を見ていましたが、リーンゼィルはその隙にあっという間に木から降りると木に打ち付けたユナの元へといきました。
「ふーん、ボクへの攻撃はユナから目を離させるためか。
少し生意気だな。」
ナギを気にすることなくリーンゼィルは、ユナに近づきましま。
「ユナ!一体何があったんだ!」
その小さな頬を叩いてたたき起こします。
未だに金色に輝くユナの瞳。
それから、彼の声よりも遥かに低くしゃがれた声がユナの小さな口から漏れました。
「タイジュの…、」
「大樹?大樹ならそこにあるだろう?」
そう言ってリーンゼィルは最早木とも判別出来ない壁のような大樹を指差します。
「セイレイ…」
「…セイレイ…?」
「なんのことを言いたいんだ?」
「殺す!!」
また、ユナは暴れだしましたが、木に縫い付けられており動けません。
「お前一体どうしたんだ?」
「セイレイ …ツノ!、エキビョウ!… 、!ホシイ!!」
「セイレイにツノにエキビョウ…?
お前もしかして大樹の精霊の角のことをいっているのか?」
「ジャマスル…、コロス」
「最初にもいったがこの大樹の森に万能薬は存在しない。
そして、大樹の精霊の角に病を無くす力なんてない!」
「ウソダ! !!ナギは言った!」
「そうそう、リーンゼィル君はどうしてそんな嘘をつくんだい?」
囃し立てるようにナギは言います。
「ウソツキ!!」
バタバタと足をばたつかせ、縫い付ける矢を必死に外そうとしていました。
「へぇ、」
意外。
すぐに死ぬと思ってたのに。
ナギはほんの少しだけ興味深そうにユナの回りをくるりと回りました。
「ナギ…、」
「なぁに?遺言?」
「…、僕を、大樹の精霊の所に案内して…」
口の中にも血が溢れて彼の古い服を血で汚れてしまいました。
僅かだけナギは驚いたように揺れます。
「ねぇ、その体でいくつもりなの?まだ、ニーチェは表面にでてきてないよ」
ほんの少し、ほんの微かに声が心配そうです。
「…、うん」
それに、ユナは頷きました。
一度はよろめいて膝をつき、傷のない箇所からも血を流しながらもユナは立ち上がり、前に進もうとしています。
「死ぬなら…」
喉も少し切れたのでしょう。
掠れています。
腕の皮膚が裂けて、胸が裂けてそれで、また血が溢れ服も髪のように赤黒くなっていきます。
それでも、ユナは立つことを諦めません。
「せめて…、母さんの薬を手に入れられない…と」
その赤い目には決意が満ちていました。
例えそれが、精霊を殺すことだとしても
いかないと…と。
「そうすれば…、
きっとアンジェ達がお薬を持っていってくれるもの」
「ふーん。
なるほど…ね。自己犠牲の精神ね。
光の神様はこの辺りを考慮したのかな?」
ナギは真っ黒な血を流しながら、小さな身体をひきづりながら前へとすすむ、ユナのをただ見ていました。
そして、やれやれとため息をつくと
「まぁ、そこまで逝きたいのなら君を案内しよう。
特別サービスだ。
ここに次元の穴を開けてあげる」
リンと強く鈴の音色がなると、深く黒い穴が何もないところにあきました。
中は見透かすことも出来ない暗闇です。
「この先に、精霊の泉がある。この空間を抜ければ精霊はすぐにあえるさ」
亜空間を示すように、ナギはジグザグに空間を照らします。
「けれど、君……、何もできずに終わりそうじゃないかい?」
嘲るような言葉を投げつけますが、
「ありがと」
ユナは、笑うばかりでした。
それに、ナギはひくりと震え
「っ、本当に行くんだね。あんなに僕にさえ怯えていた癖に……」
なおも投げつけるように言葉を発します。
「そうだね。
でも、この腕輪をつけていれば精霊を倒せるんでしょ?」
息も絶え絶えなユナの言の葉にナギは呆れるようにため息をつきました。
「君の手が触れさえすれば間違いなく。
それは保証しよう。
けれども、君。その前に死ぬんじゃない?」
「なにもしないで終わるよりずっといい」
ニッコリと微笑むと、ユナは開いた次元に手をかけようとしました。
しかし、
「そこまでだ!」
高い弦音が聞こえたかと、同時にリーンゼィルの声が聞こえて矢はブレスレットのみを貫き砕いてしまいました。
「え?」
あと数ミリずれていればユナの腕に刺さるギリギリを
碎けたブレスレットを見てユナは膝を着きました。
「リーンゼィルさん!どうして!」
「見事な腕前だけど。
おやおや、酷いなぁ。なんてことするのさ。」
「それはこちらの台詞だ!」
「リーンゼィルさん!!
どうして!?これがないと、これがない母さんを助けられないのに!!」
「馬鹿!それは呪われた腕輪じゃないか!
そんなもの何処で手にいれたんだ!!!」
碧い瞳に怒りを湛え、リーンゼィルは叫びます。
「あらら、残念。
結局、君はここでゲームオーバーのようだね」
ナギは少し残念そうに、ゆらゆらとリーンゼィルの回りを漂いました。
そして、せっかく開いた異空間を、ユナの目の前で閉じてしまいました。
ユナは、その光景に絶望し、地面を爪が割けるほどに握り締めます。
「リーンゼィル…、よくも」
地のそこから這い出るような、ユナよりもずっと低い声が聞こえました。
ざわざわと、赤髪が蠢き赤き瞳が金色に輝き、獣のように吠えます。
「おや?」
ナギはいつの間にか人形に戻って、ほほを紅潮させていました。
ほんの少し期待に満ちた瞳でユナを見つめます。
ほんの少しだけ面白くなりそうだ。
そっと、ナギは彼らから距離をとり見物することにしました。
「ユナ!まて!」
獣のように唸るユナを静止させようと手を伸ばしたリーンゼィルをユナの赤髪が伸びて振りはらいます。
「くっ」
吹き飛ばされましたが、リーンゼィルはくるりと後ろに受け身を取りますが、踏ん張った分土が抉れます。
「ふーん、これがニーチェの力かぁ、
取りつく相手がショボいとこんなもんなんだね」
ナギはのんきな声でそういって笑いました。
それどころではないリーンゼィルは、手持ちに何も無いために、首にかけた銀色の笛を吹きました。
「来い!フェイン!!」
彼は自身が来た方角にむかって叫ぶと、リーンゼィルの武器をもってフェインが飛び出してきました。
その口に咥えた矢筒を彼に投げ渡します。
「サンキュー!」
受け取った矢を抱え、軽々と木に上ると矢をつがえ天に向かって放ちます。
酷く耳に響く音がして、ユナもナギさえも一瞬動きを止めざる終えませんでした。それから、連続でリーンゼィルは矢を空へと連続で放ち、あっという間にユナを木に打ち付けてしまいました。
「わっ!見事な腕前だねぇ。」
感心するようにナギは見ていましたが
その狙いがこちらに向いたことに気がつくと僅かに笑いました。
「僕を狙うことは無駄だと思うけど?」
そんなことお構いなしにリーンゼィルはナギに向かって矢を放ちました。
「はっ、僕には物理攻撃は無駄だよ」
光の玉であるナギは矢を一切避けず、矢は彼女を通り抜けてしまいました。
それでも、リーンゼィルは構わず、弓に矢をつがえてナギを狙います。
ギリギリと引き絞り高い弦音が鳴って、矢は一直線に、ナギのいる場所には行きますが、彼女に当たることなく木に突き刺さりました。
「無駄なことは嫌いそうに見えるのに随分なことするね。」
呆れたようなほんの少し怒りに満ちた声でナギは矢を見ていましたが、リーンゼィルはその隙にあっという間に木から降りると木に打ち付けたユナの元へといきました。
「ふーん、ボクへの攻撃はユナから目を離させるためか。
少し生意気だな。」
ナギを気にすることなくリーンゼィルは、ユナに近づきましま。
「ユナ!一体何があったんだ!」
その小さな頬を叩いてたたき起こします。
未だに金色に輝くユナの瞳。
それから、彼の声よりも遥かに低くしゃがれた声がユナの小さな口から漏れました。
「タイジュの…、」
「大樹?大樹ならそこにあるだろう?」
そう言ってリーンゼィルは最早木とも判別出来ない壁のような大樹を指差します。
「セイレイ…」
「…セイレイ…?」
「なんのことを言いたいんだ?」
「殺す!!」
また、ユナは暴れだしましたが、木に縫い付けられており動けません。
「お前一体どうしたんだ?」
「セイレイ …ツノ!、エキビョウ!… 、!ホシイ!!」
「セイレイにツノにエキビョウ…?
お前もしかして大樹の精霊の角のことをいっているのか?」
「ジャマスル…、コロス」
「最初にもいったがこの大樹の森に万能薬は存在しない。
そして、大樹の精霊の角に病を無くす力なんてない!」
「ウソダ! !!ナギは言った!」
「そうそう、リーンゼィル君はどうしてそんな嘘をつくんだい?」
囃し立てるようにナギは言います。
「ウソツキ!!」
バタバタと足をばたつかせ、縫い付ける矢を必死に外そうとしていました。
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