君とボクの交われない交差点 ~始まりを求める僕と終わりを求める君~

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獣と狩人

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ユナ達が、泉へと向かう一方でリノ達は、あまりの風の強さに立ち往生していました。

「くそ!風が強い!とりあえず、もう少し戻ろう!」
「あぁ、しかたない!」
「ん?おい、そう言えばユナはどこだ?」

リノが漸くユナが居ないことに気がつき、後ろの二人に話しかけます。
その間、大樹の回りの木々が倒れて来ないかの警戒は怠れません。
風圧で何が飛んでくるかわからなのです。
かといって後ろに直ぐに下がれるか、と言われればそう言うわけにもいかないようです。


「ユナ?後ろにいるだろ?
おわっ」
風に煽られフラりと足を持っていかれてしまいます。


「 くそ!また風が強くなってきた!」

「大丈夫!?ユナなら私の後ろに…、って、え?確か後ろにいたのにっ!
え!?いない!うそ!どこ行ったの!」

アンジェは、後ろに手を何度も伸ばしますが、ユナは居ないのでユナの手などあるはずもありません。

「な!?」
「さっきまで確かにいたのに!!いない!?」

「アンジェ、落ち着け。大丈夫だ!おい!ユナ!どこだ!」


シンは、アンジェの肩に手をおいて落ち着けようと背中を軽く叩いて、ユナを探します。
それを見てリノは少し不貞腐れながらも、ユナを探しましました。
そのリノの態度の変化にシンは気がつき、リノに目線で合図を送ってきました。
目線のあったリノは最初こそ不貞腐れつつもシンの目力に負け、コクりと頷くと、アンジェの側に直ぐに駆け寄り手をにぎります。
少しだけ、彼女は驚いた顔をしましたが、すぐにぎゅっと彼の手をにぎりしめました。握力で若干顔をしかめていますが、それ以上に嬉しそうです。

「離れると危ない。みんな手を繋いでいこう。」
「う、うん。わかった、戦うのは任せて」

((それは、俺らの言う台詞じゃないかなぁ…)) 

兄弟二人は苦笑しながらも、実際に実力がアンジェの方が上なので苦笑いに留めていました。

「ユナー!」
「おーい、ゆなーーー」
「返事してーーー!」

三人は銘々にユナを呼び辺りを探ります。
しかし、返事はありません。
しかも、この行為は辺りの獣も呼び寄せてしまっています。

「アイツもしかして神隠しにでもあっちまったのか!?」
「リノ!滅多なこというなよ!」
「だってよ!ここは、神様のいる大樹なんだろ!何があっても可笑しくないだろ!」
「落ち着いてよ。リノ、私が手を離さなければ……こんなことには」

涙ぐむアンジェにリノは慌てました。

「ごめん!!ユナが居なくなったのが突然だったから…」

必死で慰めようとしていました。
ポロポロと涙をこぼした後に、アンジェは直ぐ様表示が変わりました。
鋭い目付きで空を見上げると

「!!リノごめん!退いて!!」

アンジェの目が冷たく、戦う者の目付きになります。

「え?っわっ」
「うお!なんだ?」

アンジェは二人の手を離し、彼らの肩を台に高く高く飛び上がりました。

「アンジェ!って、あ」


二人してうっかり眺めていましたが、いち早く気を戻したシンは、リノの頭を叩きます。

「リノ、囲まれている」
「………、いてて、うえ、マジかよ…」

金色に輝く瞳が、此方をジーっと覗いていました。
その上で、アンジェがひらひらと蝶のように、スカートを閃かせながら飛び回っています。
中は見えそうでしたが、暗がりのせいで残念ながら何も見えません。
アンジェは、空中から彼等を狙っていた獣に踵を叩き込み鈍い地響きとともに、大きな獣は地面に叩きつけられました。
その上に、華麗に彼女は降り立ちます。

「みた?」


「見えなかった!!」 

「リノ」 

 にっこりとアンジェは微笑みながら親指で自分の首の前で横に一線。
リノは顔を真っ青にして震えつつも目の前の狼たちと対峙します。

「流石に俺たちは素手じゃコイツらに勝てねぇよ」
「だが、ここで炎は駄目だぞ」
「わかってる、俺も焼け死にたくない」
「なら、こいつはどうだ!」

リノはパチンコを取り出すと、三つほど、変わった色の玉をつがえました。

「それは?」
「やってみてのお楽しみー」

パンとゴムが弾く音が響くと真っ直ぐに狼達の方に真っ直ぐに飛んでいき複数の野犬の顔面に直撃しました。  

「キャイン !!」 

酷い匂いが広がります。

「おい、これは、大丈夫なのか?」
「大丈夫、動物避けだよ。まぁ、目に入ると目は潰れるけどな」


「…そうか。ところでそれは毒なのか?」
「あぁ、人間にも有効だな」
「そうか」
シンは少し残念そうにいいながら、彼はリノの隣でボーガンで狙いを定めていました。

「今晩のメシはどいつがいい?」
「俺アイツがいい」

そう無邪気にリノは笑って指差します。

「OK」 

あっという間に狙いを定めると、派手な音を立て矢は綺麗な弧を描いて近くにいた猪の脳天を貫きます。

「よっしゃ!」
「はは、多分風の精霊にズタズタにされた獲物を食うつもりだったんだろけど当てが外れたな」

「だけど、こいつらがこんなにいるのなら、ユナは…?」

「探すぞ」




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