君とボクの交われない交差点 ~始まりを求める僕と終わりを求める君~

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剣と獣

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ユナの叫びに、呼応するように地面に突き立てられた剣は浮き上がり、真っ直ぐにユナ達を追います。
それは、辺りの木々を斬り倒しながら猛スピードで追いかけてきます。
ですが、それよりも早く風のドラゴンが、後ろから迫っています。

「リーンゼィルさん!
ドラゴンに、追い付かれそうです!!」

「わかっている!!フェイン!そこの崖を登れ!」

リーンゼィルの言葉に従い、フェインは軽々と彼らを背に登っていきます。

彼らを追おうと、風の精霊の集合体であるドラゴンは、うねりとぐろをまいています。
しかし、崖を上ろうと鎌首をもたげたところで、ユナ達を追ってきた剣によって打ち砕かれてしまいました。
光を放ちながら四散した風の精霊は、ぐったりとしており、動くことも出来ずそのままの場所で踞っています。


「やった!
リーンゼィルさん!風の精霊達はなんとかなりました!」

「よし!ユナよくやった!
このまま泉までいくぞ!」

つかの間に喜んだ彼らでしたが、剣は更にスピードをあげて、ユナ達を追いかけてきましまた。ユナ達にも刺さりそうな勢いで。


「あれ?変な音がする」

ユナは音のする方へと振り返りました。そして、猛スピードでユナ達を追いかけてくる剣をみてしまいました。

「うぇあ!?
リーンゼィルさん!どうしよう!!剣がすごい勢いで突っ込んでくる!あんなの掴めないよ!!」

「はは、そんなわけ無いだろう?」

リーンゼィルは、ユナの言葉に半信半疑で、フェインを駆りながらですが、ほんのすこしだけ振り替えると後ろから鈍く光る切っ先が此方を向いておます。


「なっ!!!
おい!このままだとこっちが刺されるぞ!ユナ止めれないか!」

「わーーーん!
ごめんなさ~い!止めかたがわかりません!!」

泣き叫ぶユナに気にも掛けず、フェインを繰りながらリーンゼィルは、真っ直ぐに泉への道を走ります。

「っぐ、あまり触りたくないが
しかたない!ユナもう一度あの剣を掴むぞ。
なんか更に呪われそうで本当は嫌だが…」

「は、はい。でも、もう一度試さないと!!!剣よとまれ!」

止まれと命じますが、更に光輝いて剣はユナに向かってロケットのように、飛んでいきます。

「ぴゃ!?うそ!更に早くなった!!」

「落ち着けユナ!
おれも今は手を貸せない!フェイン。何処かに止まれるところへ!」

そういったばかりなのに、剣は鋭くリーンゼィルの背中に突き刺さりました。

「ぎゃーーー!
リーンゼィルさんに突き刺さったぁ!!!」

「ギャイン」

ユナのあまりの悲鳴にフェインまでもが驚いて急に止まってしまい、リーンゼィルを振り落としてしまいました。
転がってしまったその先は崖で、フェインは慌ててリーンゼィルの服を咥えて平地におろします。

ですが、まだ剣は突き刺さったままです。

「リーンゼィルさん!」
慌ててユナは駆け寄り揺さぶろうとしました。
が、パチリ と、閉じていたリーンゼィルが目を開きました。

「ぎゃ!!」

「っ、ユナ。俺は大丈夫だ。悪いが、これ引き抜いてくれ。」

しかし、ユナは泡を吹いて失神していました。仕方なく頭にチョップしてユナをたたき起こします。

「しっかりしろ。俺は大丈夫だ。ほら、血も出てない。」

そう言われてユナはリーンゼィルの服を捲ると血がでていません。

「え?血が出てない。」

「どうやら、この剣は、俺やお前に害せないらしい。
ビックリしたけどな。
ただ、一人じゃうまく抜けない。手伝ってくれ」

「は、はい」
「俺が剣に触れておくから、お前も後ろから引いてくれ」
「あっ、はい!」

リーンゼィルの背中に回ってユナは柄を握るとずるりと、剣をリーンゼィルから抜きとりました。
剣は地面に突き刺さります。


「しかし、困ったな。二人で持ちつづけるのは厳しいし。置いて言ったらまた刺されそうだ。
どうしたものかな。」

「この際、剣に浮いて着いてきてもらうってのはどうでしょう?」

「え、……また、突き刺さるのは嫌だな。
うー…
そうだ!!ユナこい。」

リーンゼィルは腕を広げます。

「へ?」

「しかたないだろ?俺とお前に触れてさえもいれば軽くなるだろ!
なら、俺が剣背負ってとお前を抱っこして、そんでお前が剣を抱えてたら問題ない」

名案とばかりにリーンゼィルは言いますがユナは若干恥ずかしそうです。

「ほら、早く」

腕を開いて彼はユナを急かします。

「えぇ…、あぅ、は、はい。」

狼のフェインに、あきれたような目で見られても、まるで気にしていませんでしたが、しかし、思うところがあるのでしょう。
フェインは吠えます。

「ワンワン    訳(リィン、リィン)」

「なんだ?フェイン」

ユナに向かって腕を広げたままリィンはフェイに振り返ります。

「ワンワンワオーン」訳(リィン、森の戦士。なのに今、ベビーシッターみたい)

「なっ、そんなわけないだろ!!」

「?リーンゼィルさん。狼と話せるんですか?」

不思議そうな顔でユナがリーンゼィルを見ています。

「ん?当たり前だろ?なんで?」

「ワンワン!!訳(当たり前だろ!リーンゼィルは特別なんだ!!)」

「ぴゃ!なんかめちゃめちゃ怒ってる!ごめんなさい!!」

あまりに吠えるフェインにユナは、亀のように丸くなります。

「フェイン!
ユナをいじめるな。
これでも、光の神の選びし子だ」

「ワン!ワンワンワン!!訳(でも!赤髪だ!!リィンに良くないもの連れてくるに決まっている!
リィンが言うから我慢してたけど殺すべきだ!)」

「フェイン!止めろ!」

「ワンワン!訳(リーンゼィルは、特別な子だ!だのに!)」
「フェイン!いい加減にしないとお仕置きだぞ。」

『グルルルルルル』
「だめだ!」

リーンゼィルは、首に下げている銀色の笛を強くならしました。
その音に、フェインは伏せをするかのように頭を下げてしまいました。

「ダメだっての!まったく!ほら!ユナも駄々子ねてないでいくぞ!ほら、フェインもナギ様を追うぞ!」

そう言ってユナを抱えて剣を背負うと痛みで頭を押さえているフェインに乗っかりました。
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