41 / 43
水の底
しおりを挟む
「だけどナギ!」
尚もいい募るユナに対してナギは笑顔を張り付けて、さっさと汚れを落としてこいとばかりに手を振ります。
それでもユナは食い下がってナギに話しかけようとしましたが、その間にシンの手が割り込みました。
「俺もあんたには話がある」
彼は至極真面目な顔でそういいました。
ですが、真面目に話をしようとしている筈なのに、やはり仮面のせいで台無しです。ナギはその様に少し笑顔でかたまりました。
そんなことなど気にも止めずにシンは続けます。
「あんたは何者なんだ?それに精霊なのか?それとも‥‥‥‥神様なのか?」
「それも後で答えたげるからさ。
落ち着きなよ。
あぁ‥‥‥‥、でもぼくもさっきから気になってたんだけど。
ねぇ、ユナのお友達君はさ。なんでお面をつけてるの?」
「これは‥‥‥‥‥‥」
突然の存在にうっかり自分の格好を忘れていたようでした。それに今の格好が異常であることは自覚しているので、シンは言葉を濁します。
そんな彼の助け船を出すかのようにジーンが饒舌に語りだしました。
『あぁ、これはですね。
氷の里の研究者達のノエル様の開発なされたものです。
ただの人間であるこの少年にもこの通り!!僕の姿が見え、その上触れる事が出きるのです!!』
興奮気味に彼は語りました。
「へぇ、そうなんだ。
そう言えば君は昔も人と話がっていたものね。
それは、素晴らしいね。
だけどね。君達」
ナギは静かに震えていました。
美しい七色の瞳にには苛立ちが込もっていました。
「ボク、さっきから言ってるよね?
その汚れを払えっと、話はその後だって言ってるよね??」
「そうだけど‥‥」
「でも、とかだってとかはいいから!
めんどくさいからさっさと入ってきなっての!!」
彼女の腕が摘まむように動かすと、ふわりとクレーンに捕まれたようにユナとシンの身体が浮きます。
「うわっ、」
「ちょっ、わっ」
「いいからさっさと行ってこい!!」
ナギが投げる動作をすれば、
彼らもその動作にあわせてらそのまま二人をお湯に放り投げてしまい、重力に引かれ、ユナ達は大きな水飛沫をあげて湯に沈んでしまいました。
「よし、これで静かになったね」
ごぼごほと沈んだ二人の吐く空気がブクブクと浮かんできまいます。
『うっわ、無茶をなさいますね。
あの辺りは水深がかなりありますよ。溺れたらどうするのですか?』
「大丈夫さ。君もどうだい? 」
ニッコリとナギは微笑みました。その目は本気です。
『謹んでお断りいたします』
「そう?」
『ええ、死にたくはないので』
「そっか。それにしてもさ。
自分で言うのも、難だけどよく彼らは生きていたね。
本来ならもうとっくの昔に亡者の仲間入りしてるんだけど、どうしてかな?」
『そうですね。リーンゼィル様がいたとはいえ、禍時を通り抜けて来たわけですし、恐らくですが、リィン様のご加護でしょうか?』
「加護??リィン様は彼はもうどこにもいないでしょ?」
『‥‥‥‥』
「本当に損な役回りをさせられるね。君達」
『それは貴方の方では?』
「ははは、そうかもね。本当に女神様はろくなことをしないよ」
『‥‥‥‥』
ジーンは黙って下を向いてしまいます。
「可哀想な子・」
そんなやり取りを二人が繰り広げるなか、ユナとシンは深い湯の底をみていました。
────!?
っう!思ったよりもずっと深い。
───溺れる!!
慌てて水面から這い出ようとユナはもがきますが、上がるどころか沈んで行ってしまいます。
───どうして!?
『落ち着けユナ』
お面が、ギョロりとこちらをみていました。
シンがユナの腕を引いています。
ユナは驚いて口の中の空気を全て吐き出してしまいました。
いつまで経っても、彼の被るお面は見慣れません。
はっ!?───シン!なんで喋ってるの?!
『この中はどうやら息ができるみたいだぞ』
───そんなわけ‥‥‥‥
って本当だ。息ができ‥‥てる。
っていうか、ここお風呂なのに魚が泳いでる!?
湯の中だというのに、目の前を泳ぐそれは、色とりどりの魚達。
ピンクや青に黄色と様々な魚が優美に泳いでいました。
そうしてすぐにその淀んだ眼光が、一斉に此方を向きます
『ひぃ!?』
『やばいな』
シンは構えてユナを掴んで地上にでようとしますが、泳ぎで魚に勝てるはずもなくあっという間に追い付かれてしまいました。
喰われる!!そう思って目を閉じた彼らでしたが、痛みはなくむしろ暖かいです。魚の小さな口が傷や汚れに触れてそこから柔らかな光が満ちていきます。
『おい!ユナ、みろよ』
『うん、すごいね。スゴいけど服食べられてない?』
『‥‥‥‥』
確かに魚達は汚れを払ってはくれていますが、ついでに服もムシャムシャと食べているではありませんか。
『マジかよ‥‥全部喰われる前に逃げるぞ!!』
ユナを掴んでシンは慌てて再度逃げ出しました。
尚もいい募るユナに対してナギは笑顔を張り付けて、さっさと汚れを落としてこいとばかりに手を振ります。
それでもユナは食い下がってナギに話しかけようとしましたが、その間にシンの手が割り込みました。
「俺もあんたには話がある」
彼は至極真面目な顔でそういいました。
ですが、真面目に話をしようとしている筈なのに、やはり仮面のせいで台無しです。ナギはその様に少し笑顔でかたまりました。
そんなことなど気にも止めずにシンは続けます。
「あんたは何者なんだ?それに精霊なのか?それとも‥‥‥‥神様なのか?」
「それも後で答えたげるからさ。
落ち着きなよ。
あぁ‥‥‥‥、でもぼくもさっきから気になってたんだけど。
ねぇ、ユナのお友達君はさ。なんでお面をつけてるの?」
「これは‥‥‥‥‥‥」
突然の存在にうっかり自分の格好を忘れていたようでした。それに今の格好が異常であることは自覚しているので、シンは言葉を濁します。
そんな彼の助け船を出すかのようにジーンが饒舌に語りだしました。
『あぁ、これはですね。
氷の里の研究者達のノエル様の開発なされたものです。
ただの人間であるこの少年にもこの通り!!僕の姿が見え、その上触れる事が出きるのです!!』
興奮気味に彼は語りました。
「へぇ、そうなんだ。
そう言えば君は昔も人と話がっていたものね。
それは、素晴らしいね。
だけどね。君達」
ナギは静かに震えていました。
美しい七色の瞳にには苛立ちが込もっていました。
「ボク、さっきから言ってるよね?
その汚れを払えっと、話はその後だって言ってるよね??」
「そうだけど‥‥」
「でも、とかだってとかはいいから!
めんどくさいからさっさと入ってきなっての!!」
彼女の腕が摘まむように動かすと、ふわりとクレーンに捕まれたようにユナとシンの身体が浮きます。
「うわっ、」
「ちょっ、わっ」
「いいからさっさと行ってこい!!」
ナギが投げる動作をすれば、
彼らもその動作にあわせてらそのまま二人をお湯に放り投げてしまい、重力に引かれ、ユナ達は大きな水飛沫をあげて湯に沈んでしまいました。
「よし、これで静かになったね」
ごぼごほと沈んだ二人の吐く空気がブクブクと浮かんできまいます。
『うっわ、無茶をなさいますね。
あの辺りは水深がかなりありますよ。溺れたらどうするのですか?』
「大丈夫さ。君もどうだい? 」
ニッコリとナギは微笑みました。その目は本気です。
『謹んでお断りいたします』
「そう?」
『ええ、死にたくはないので』
「そっか。それにしてもさ。
自分で言うのも、難だけどよく彼らは生きていたね。
本来ならもうとっくの昔に亡者の仲間入りしてるんだけど、どうしてかな?」
『そうですね。リーンゼィル様がいたとはいえ、禍時を通り抜けて来たわけですし、恐らくですが、リィン様のご加護でしょうか?』
「加護??リィン様は彼はもうどこにもいないでしょ?」
『‥‥‥‥』
「本当に損な役回りをさせられるね。君達」
『それは貴方の方では?』
「ははは、そうかもね。本当に女神様はろくなことをしないよ」
『‥‥‥‥』
ジーンは黙って下を向いてしまいます。
「可哀想な子・」
そんなやり取りを二人が繰り広げるなか、ユナとシンは深い湯の底をみていました。
────!?
っう!思ったよりもずっと深い。
───溺れる!!
慌てて水面から這い出ようとユナはもがきますが、上がるどころか沈んで行ってしまいます。
───どうして!?
『落ち着けユナ』
お面が、ギョロりとこちらをみていました。
シンがユナの腕を引いています。
ユナは驚いて口の中の空気を全て吐き出してしまいました。
いつまで経っても、彼の被るお面は見慣れません。
はっ!?───シン!なんで喋ってるの?!
『この中はどうやら息ができるみたいだぞ』
───そんなわけ‥‥‥‥
って本当だ。息ができ‥‥てる。
っていうか、ここお風呂なのに魚が泳いでる!?
湯の中だというのに、目の前を泳ぐそれは、色とりどりの魚達。
ピンクや青に黄色と様々な魚が優美に泳いでいました。
そうしてすぐにその淀んだ眼光が、一斉に此方を向きます
『ひぃ!?』
『やばいな』
シンは構えてユナを掴んで地上にでようとしますが、泳ぎで魚に勝てるはずもなくあっという間に追い付かれてしまいました。
喰われる!!そう思って目を閉じた彼らでしたが、痛みはなくむしろ暖かいです。魚の小さな口が傷や汚れに触れてそこから柔らかな光が満ちていきます。
『おい!ユナ、みろよ』
『うん、すごいね。スゴいけど服食べられてない?』
『‥‥‥‥』
確かに魚達は汚れを払ってはくれていますが、ついでに服もムシャムシャと食べているではありませんか。
『マジかよ‥‥全部喰われる前に逃げるぞ!!』
ユナを掴んでシンは慌てて再度逃げ出しました。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる