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水の底
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「だけどナギ!」
尚もいい募るユナに対してナギは笑顔を張り付けて、さっさと汚れを落としてこいとばかりに手を振ります。
それでもユナは食い下がってナギに話しかけようとしましたが、その間にシンの手が割り込みました。
「俺もあんたには話がある」
彼は至極真面目な顔でそういいました。
ですが、真面目に話をしようとしている筈なのに、やはり仮面のせいで台無しです。ナギはその様に少し笑顔でかたまりました。
そんなことなど気にも止めずにシンは続けます。
「あんたは何者なんだ?それに精霊なのか?それとも‥‥‥‥神様なのか?」
「それも後で答えたげるからさ。
落ち着きなよ。
あぁ‥‥‥‥、でもぼくもさっきから気になってたんだけど。
ねぇ、ユナのお友達君はさ。なんでお面をつけてるの?」
「これは‥‥‥‥‥‥」
突然の存在にうっかり自分の格好を忘れていたようでした。それに今の格好が異常であることは自覚しているので、シンは言葉を濁します。
そんな彼の助け船を出すかのようにジーンが饒舌に語りだしました。
『あぁ、これはですね。
氷の里の研究者達のノエル様の開発なされたものです。
ただの人間であるこの少年にもこの通り!!僕の姿が見え、その上触れる事が出きるのです!!』
興奮気味に彼は語りました。
「へぇ、そうなんだ。
そう言えば君は昔も人と話がっていたものね。
それは、素晴らしいね。
だけどね。君達」
ナギは静かに震えていました。
美しい七色の瞳にには苛立ちが込もっていました。
「ボク、さっきから言ってるよね?
その汚れを払えっと、話はその後だって言ってるよね??」
「そうだけど‥‥」
「でも、とかだってとかはいいから!
めんどくさいからさっさと入ってきなっての!!」
彼女の腕が摘まむように動かすと、ふわりとクレーンに捕まれたようにユナとシンの身体が浮きます。
「うわっ、」
「ちょっ、わっ」
「いいからさっさと行ってこい!!」
ナギが投げる動作をすれば、
彼らもその動作にあわせてらそのまま二人をお湯に放り投げてしまい、重力に引かれ、ユナ達は大きな水飛沫をあげて湯に沈んでしまいました。
「よし、これで静かになったね」
ごぼごほと沈んだ二人の吐く空気がブクブクと浮かんできまいます。
『うっわ、無茶をなさいますね。
あの辺りは水深がかなりありますよ。溺れたらどうするのですか?』
「大丈夫さ。君もどうだい? 」
ニッコリとナギは微笑みました。その目は本気です。
『謹んでお断りいたします』
「そう?」
『ええ、死にたくはないので』
「そっか。それにしてもさ。
自分で言うのも、難だけどよく彼らは生きていたね。
本来ならもうとっくの昔に亡者の仲間入りしてるんだけど、どうしてかな?」
『そうですね。リーンゼィル様がいたとはいえ、禍時を通り抜けて来たわけですし、恐らくですが、リィン様のご加護でしょうか?』
「加護??リィン様は彼はもうどこにもいないでしょ?」
『‥‥‥‥』
「本当に損な役回りをさせられるね。君達」
『それは貴方の方では?』
「ははは、そうかもね。本当に女神様はろくなことをしないよ」
『‥‥‥‥』
ジーンは黙って下を向いてしまいます。
「可哀想な子・」
そんなやり取りを二人が繰り広げるなか、ユナとシンは深い湯の底をみていました。
────!?
っう!思ったよりもずっと深い。
───溺れる!!
慌てて水面から這い出ようとユナはもがきますが、上がるどころか沈んで行ってしまいます。
───どうして!?
『落ち着けユナ』
お面が、ギョロりとこちらをみていました。
シンがユナの腕を引いています。
ユナは驚いて口の中の空気を全て吐き出してしまいました。
いつまで経っても、彼の被るお面は見慣れません。
はっ!?───シン!なんで喋ってるの?!
『この中はどうやら息ができるみたいだぞ』
───そんなわけ‥‥‥‥
って本当だ。息ができ‥‥てる。
っていうか、ここお風呂なのに魚が泳いでる!?
湯の中だというのに、目の前を泳ぐそれは、色とりどりの魚達。
ピンクや青に黄色と様々な魚が優美に泳いでいました。
そうしてすぐにその淀んだ眼光が、一斉に此方を向きます
『ひぃ!?』
『やばいな』
シンは構えてユナを掴んで地上にでようとしますが、泳ぎで魚に勝てるはずもなくあっという間に追い付かれてしまいました。
喰われる!!そう思って目を閉じた彼らでしたが、痛みはなくむしろ暖かいです。魚の小さな口が傷や汚れに触れてそこから柔らかな光が満ちていきます。
『おい!ユナ、みろよ』
『うん、すごいね。スゴいけど服食べられてない?』
『‥‥‥‥』
確かに魚達は汚れを払ってはくれていますが、ついでに服もムシャムシャと食べているではありませんか。
『マジかよ‥‥全部喰われる前に逃げるぞ!!』
ユナを掴んでシンは慌てて再度逃げ出しました。
尚もいい募るユナに対してナギは笑顔を張り付けて、さっさと汚れを落としてこいとばかりに手を振ります。
それでもユナは食い下がってナギに話しかけようとしましたが、その間にシンの手が割り込みました。
「俺もあんたには話がある」
彼は至極真面目な顔でそういいました。
ですが、真面目に話をしようとしている筈なのに、やはり仮面のせいで台無しです。ナギはその様に少し笑顔でかたまりました。
そんなことなど気にも止めずにシンは続けます。
「あんたは何者なんだ?それに精霊なのか?それとも‥‥‥‥神様なのか?」
「それも後で答えたげるからさ。
落ち着きなよ。
あぁ‥‥‥‥、でもぼくもさっきから気になってたんだけど。
ねぇ、ユナのお友達君はさ。なんでお面をつけてるの?」
「これは‥‥‥‥‥‥」
突然の存在にうっかり自分の格好を忘れていたようでした。それに今の格好が異常であることは自覚しているので、シンは言葉を濁します。
そんな彼の助け船を出すかのようにジーンが饒舌に語りだしました。
『あぁ、これはですね。
氷の里の研究者達のノエル様の開発なされたものです。
ただの人間であるこの少年にもこの通り!!僕の姿が見え、その上触れる事が出きるのです!!』
興奮気味に彼は語りました。
「へぇ、そうなんだ。
そう言えば君は昔も人と話がっていたものね。
それは、素晴らしいね。
だけどね。君達」
ナギは静かに震えていました。
美しい七色の瞳にには苛立ちが込もっていました。
「ボク、さっきから言ってるよね?
その汚れを払えっと、話はその後だって言ってるよね??」
「そうだけど‥‥」
「でも、とかだってとかはいいから!
めんどくさいからさっさと入ってきなっての!!」
彼女の腕が摘まむように動かすと、ふわりとクレーンに捕まれたようにユナとシンの身体が浮きます。
「うわっ、」
「ちょっ、わっ」
「いいからさっさと行ってこい!!」
ナギが投げる動作をすれば、
彼らもその動作にあわせてらそのまま二人をお湯に放り投げてしまい、重力に引かれ、ユナ達は大きな水飛沫をあげて湯に沈んでしまいました。
「よし、これで静かになったね」
ごぼごほと沈んだ二人の吐く空気がブクブクと浮かんできまいます。
『うっわ、無茶をなさいますね。
あの辺りは水深がかなりありますよ。溺れたらどうするのですか?』
「大丈夫さ。君もどうだい? 」
ニッコリとナギは微笑みました。その目は本気です。
『謹んでお断りいたします』
「そう?」
『ええ、死にたくはないので』
「そっか。それにしてもさ。
自分で言うのも、難だけどよく彼らは生きていたね。
本来ならもうとっくの昔に亡者の仲間入りしてるんだけど、どうしてかな?」
『そうですね。リーンゼィル様がいたとはいえ、禍時を通り抜けて来たわけですし、恐らくですが、リィン様のご加護でしょうか?』
「加護??リィン様は彼はもうどこにもいないでしょ?」
『‥‥‥‥』
「本当に損な役回りをさせられるね。君達」
『それは貴方の方では?』
「ははは、そうかもね。本当に女神様はろくなことをしないよ」
『‥‥‥‥』
ジーンは黙って下を向いてしまいます。
「可哀想な子・」
そんなやり取りを二人が繰り広げるなか、ユナとシンは深い湯の底をみていました。
────!?
っう!思ったよりもずっと深い。
───溺れる!!
慌てて水面から這い出ようとユナはもがきますが、上がるどころか沈んで行ってしまいます。
───どうして!?
『落ち着けユナ』
お面が、ギョロりとこちらをみていました。
シンがユナの腕を引いています。
ユナは驚いて口の中の空気を全て吐き出してしまいました。
いつまで経っても、彼の被るお面は見慣れません。
はっ!?───シン!なんで喋ってるの?!
『この中はどうやら息ができるみたいだぞ』
───そんなわけ‥‥‥‥
って本当だ。息ができ‥‥てる。
っていうか、ここお風呂なのに魚が泳いでる!?
湯の中だというのに、目の前を泳ぐそれは、色とりどりの魚達。
ピンクや青に黄色と様々な魚が優美に泳いでいました。
そうしてすぐにその淀んだ眼光が、一斉に此方を向きます
『ひぃ!?』
『やばいな』
シンは構えてユナを掴んで地上にでようとしますが、泳ぎで魚に勝てるはずもなくあっという間に追い付かれてしまいました。
喰われる!!そう思って目を閉じた彼らでしたが、痛みはなくむしろ暖かいです。魚の小さな口が傷や汚れに触れてそこから柔らかな光が満ちていきます。
『おい!ユナ、みろよ』
『うん、すごいね。スゴいけど服食べられてない?』
『‥‥‥‥』
確かに魚達は汚れを払ってはくれていますが、ついでに服もムシャムシャと食べているではありませんか。
『マジかよ‥‥全部喰われる前に逃げるぞ!!』
ユナを掴んでシンは慌てて再度逃げ出しました。
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