シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした

黒姫

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 義母の嫌がらせで北の領地に出発しなければならない日までひと月ほどありましたので、私はお祖父様から領地について徹底的に学びました。私がシナリオを壊そうとしたおかげでお祖父様は私へのいじめの一端を担った形となってしまいましたが、元々は人畜無害なNPCキャラクターでゲームに必要な情報を教えてくれる便利な存在です。ゲームではヒロインの義妹ヒュンフェをヘルプするのですが幸い私の質問にも答えて下さいました。

 まず私はこの王国が南半球に位置しており、その最北端にあるお祖父様の領地は赤道のあたりにあることを知りました。つまり私は熱帯で暮らす事になったのです。領地にはノルテ族という原住民がおりますが、彼らが主食にしているサカサマタタビと言う果物は人間の生態に大きな影響を及ぼします。ノルテ族の平均寿命は35歳で、この世界の普通の人間と比べると25年ほど短いのですが、その代わり1日の睡眠が1分で足りるのです。子供の成長は早く、女の子の平均初潮年齢は8歳、初産の年齢は10歳です。妊娠期間は同じですが双子か三つ子が生まれるのが普通です。男女比は5:1です。家長は常に女性で、数人の夫を持ちます。家長の次に権力が強いのは補佐役を務める兄か弟で、彼は結婚しません。おそらくこの辺が神様が変えてくださった設定なのでしょう。

「ねえ、ウノ、あなたは私の親戚なのよね。」

「ほとんど他人ですがね。フィーアお嬢様のひい祖父さんの姪の娘が俺の母親ですから。」

「ちょっとでも血がつながっていれば良いのよ。今日からお兄様とお呼びするわ。」

 私は5人の中で唯一血縁だったウノを『兄』として私の補佐役にし、ドス、トレス、クワトロ、スインコを婚約者にしました。

 ウノお兄様を私の補佐にしたのは大正解でした。前世で大学生だった私は雑学が大好きで、ゲームをやっていない時はYouTubeやウィキペディアで、歴史、テクノロジー、医学、農業、社会制度など多方面に渡る知識のごくごく表面だけをかじっておりました。ウノお兄様は私がたれ流す雑多で浅い知識をじっくり検討して、実現可能かつ有用なものを選び、必要な人材を確保してプロジェクトを推し進める能力に非常に長けておいでだったのです。私はお兄様にだけは私の前世と、これから起こりうる未来についてお話ししました。

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