ゲームのモブに転生したと思ったら、チートスキルガン積みのバグキャラに!? 最強の勇者? 最凶の魔王? こっちは最驚の裸族だ、道を開けろ

阿弥陀乃トンマージ

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第1章

第3話(2)突然の花魁サモナー

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 俺が声のした方に視線を向けると、頭に二本の曲がった短い角が生えた女がそこには立っていた。生えている髪の色は燃えるように赤く、長さはミディアムボブと言ったところだろうか。身長は小柄な方で、俺よりやや小さいアヤカを一回り小さくしたくらいである。両肩と胸の谷間を大胆に露出し、スカート部分に深いスリットが入った黒いワンピースドレスを着ている。



「誰だとはまた随分とご挨拶だね……」

「鬼か……!」



 アヤカが刀の鞘に手をかける。赤毛の女は鼻で笑う。



「はっ、オニだなんて、そんなローカルなものと一緒にしねえでくれんす……」

「なんだと……?」

「あちきは誇り高き魔族の女でありんす……」



 そう言って赤毛の女は品を作る。色っぽい……とは言えない。小さい女の子が精一杯に背伸びをしているような感じだ。口調も花魁?的なあれだろうか。なんというかこう……ミスマッチ感がすごい。



「魔族か……この地までくるのは珍しいな……」

「そう、こんな東方の片田舎ではまずお目にかかれねえ……」

「むっ……」

「出会えた幸運に感謝しなんし」



 いや、自分で言うことかよ。アヤカが刀の鞘に手をかけながら呟く。



「幸運? 不運の間違いではないか?」

「ふふっ、どうしてなかなか察しがいいね……」

「なに?」

「ここでアンタたちは死ぬことになるんだからねえ……!」



 赤毛の女が目をカッと見開く。目の色も赤い。アヤカが刀をサッと抜いて応える。



「やれるものならやってみろ……!」



「はっ、そんな剣で戦えるとでも?」

「丸腰の貴様には言われたくないな」

「武器なんて野蛮なものは持ちとうありんせん……」

「なに……? では、どう戦うつもりだ?」

「あちきはこういう戦い方をしんす……!」



 赤毛の女が胸元から分厚い本を取り出し、おもむろに開く。開かれたページが黒い光を放つと、剣と盾を持った骸骨が現れる。アヤカが声を上げる。



「モンスター召喚士か!」

「召喚士だなんて、堅苦しいわね……サモナーと呼んでちょうだい」

「ふん、同じことだろう」

「まあ、どうでもよろしゅうござりんす……いけ、ドクロナイト!」



 赤毛の女が指差すと、骸骨がこちらに向かってくる。ナイトっていうことは、騎士っていうことか。アヤカが俺に向かって声を上げる。



「キョウ殿! ここは拙者にお任せを!」

「ア、アヤカ!」

「はああっ!」

「!」



 アヤカの振るった刀を骸骨が盾で受け止める。アヤカがやや驚く。



「い、今の一撃に反応するとは!」

「……!」

「おっと!」



 骸骨が剣を振るう。アヤカがすかさず後方に飛んでそれをかわす。



「……」

「やるな……今のやりとりだけでも、相当の手練れだということがよく分かる……」



 アヤカが刀を構え直す。建物の分厚い壁も両断するアヤカの刀を盾で受け止めたんだ。あの骸骨、ただの骸骨じゃない……いや、動いている時点で普通ではないが。



「……余裕を見せている場合なのかえ?」

「む……」

「もうようござりんす、ドクロナイト、さっさと終わらせろ!」



 赤毛の女が大きな声を上げる。骸骨がアヤカの方に迫る。



「……‼」

「はっ!」

「………!」

「なっ⁉」



 骸骨の攻撃をアヤカは防ぐ。しかし、次の瞬間、盾で攻撃してきた。それを予期していなかったアヤカは右の側頭部を殴られたような形になり、転倒する。俺は声を上げる。



「アヤカ……!」

「くっ……油断しました……よくある西洋剣術の一種かと思っていたのですが……まさか、剣を囮にして、盾を用いてくるとは……!」

「西洋でも中世あたりで使い手がほとんどいなくなったとされる剣術さね……このような相手と戦うのは初めてでありんしょう?」



 赤毛の女がどこか楽しそうにしながら、アヤカに対して尋ねてくる。アヤカは体勢を素早く立て直しながら答える。



「そうだな……こういうのは初めてだ」

「それならばアンタには勝ち目が無い……」

「……何を?」

「このドクロナイトは中世からの数百年の長きに及ぶ戦いの蓄積というものがある。たかだか、十数年、あるいは二十年くらい生きたアンタが到底敵う相手ではありんせん……」

「……ふん!」

「……⁉」



 通り過ぎたアヤカが振るった刀が骸骨をあっという間にバラバラにする。骸骨が音を立てて、地面に落ちる。それを背にしながらアヤカがフッと笑い、剣を赤毛の女に向ける。



「『剣術小町』のアヤカを舐めてもらっては困る……。そちらがデータ蓄積でくるならば、こちらはデータを常にアップデート出来るからな! 拙者は今を生きている!」
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