【第1章完】キラキラ!~美人七姉妹とのドキドキ同居生活!?※キラキラしたものとは言ってない~

阿弥陀乃トンマージ

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第1章

第9話(3)こんなコラボ動画、まいっちゃいますよねー!

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「……というわけで今日は結構な筋肉痛です」

 山田は自らの足をさする。

「そ、そう……」

「頭も使いました……」

 山田は自らの頭を軽く抑える。

「それは大変だったわね……」

「ええ、さすがのサファイアさんもヘトヘトなようです」

「オパール……あの子ったら、全く何を考えているのか……」

 山田の話を聞き、アメジストが頭を抱える。

「いや、サファイアもサファイアだろう……」

 アクアマリンが困惑した表情を浮かべる。

「……真面目過ぎるのよね、あの子は」

「真面目って言うか、融通が利かないっていうレベルだろ、それは」

 アメジストの言葉をアクアマリンが正す。

「……そうとも言うわね」

「そうだとしか言えねえよ」

「……いちいち突っかかってくるわね?」

「そうか? 気のせいだろ」

「いいえ、いつも以上にうざったいわ」

「うざったいって」

「何をそんなにイライラしているのよ?」

「……お前は何も思わねえのか?」

「え?」

「いきなりわけのわからない所に連れてこられて、待たされているこの状況をだよ」

 アクアマリンが大げさに両手を広げる。アメジストが冷静に答える。

「わけがわからなくはないわ。撮影スタジオでしょ。私も以前来たことがあるわ」

「まあ、それは言葉のあやだ。待たされているのはなんなんだよ?」

「それは彼女に聞いてみたら?」

「は~い♪ 呼んだ~?」

 ハイテンションのダイヤモンドが部屋に入ってくる。

「……呼んではねえが、聞きたいことがある。何をさせる気だ?」

「撮影スタジオだよ。撮影に決まっているじゃん♪」

 ダイヤモンドがアクアマリンに向かってウインクする。

「はあ⁉ き、聞いてねえぞ」

「言ってないからね」

 ダイヤモンドが悪びれずに即答する。アメジストが口を開く。

「たまには外で食事でも……と聞いたのだけど?」

「ああ、それは嘘」

 ダイヤモンドはまたも悪びれずに答える。アメジストが絶句する。

「う、嘘って……」

「まあ、撮影が終わったら、近くのレストランを予約してあるからさ、安心して」

「帰らせてもらうわ」

 アメジストが立ち上がって帰ろうとする。ダイヤモンドが慌てて止める。

「な、なんでよ?」

「撮影なんて聞いてないからよ」

「い、いや、今帰られると困るんだって!」

「そんなの知ったことじゃないわ」

「きょ、今日は大事なコラボ撮影の日なんだから!」

「コラボ?」

「そう、他の配信者さんと一緒に動画を撮影するの」

「勝手になさいよ」

 アメジストがなおも帰ろうとする。ダイヤモンドがさらに慌てて止める。

「いや、だから困るんだって!」

「何が困るのよ?」

「有名な配信者さんなんだよ、登録者数も数十万人の……」

「そんなの私には関係ないでしょう」

「それが関係あるんだって! 4人組だからこっちも4人で行きますって言っちゃったからさ……1人足りないってなると、色々と撮影の段取りが……」

「お前、合コンじゃねえんだからよ……」

 アクアマリンが呆れる。アメジストがため息交じりで話す。

「はあ……あのね、私は事務所所属の声優タレントなの? 事務所を通さず勝手に動画出演なんてしたら大事になるのよ。分かる?」

「うん、だからアメちゃんにはノーギャラだよ」

「はあ⁉ い、いや、そういう問題じゃなくて……」

「大丈夫、顔は出さないからさ。マリンちゃんも含めて」

「オ、オレもか⁉」

「これを見て!」

 ダイヤモンドがパソコンを見せる。画面には美少女キャラのアバターが2体映っている。

「……なんだこれは?」

「ふたりにはVTuberになってもらうよ」

「「はあっ⁉」」

 アクアマリンとアメジストが揃って声を上げる。

「名前は『アマリ』と『メジス』!」

「アマリって!」

「本名から取ったらバレるわよ!」

「まあまあ、そこは案外なんとかなるって~」

「ならないわよ!」

「今日だけお願い! 姉を助けると思って!」

 ダイヤモンドが両手を合わせて頭を下げる。アクアマリンたちがため息をつく。

「ったく、しょうがねぇなぁ……」

「まあ、これも経験かしらね……」

「ありがとう!」

 ダイヤモンドが笑顔を浮かべる。

「おはようございま~す」

「あ、おはようございます! 今日はよろしくお願いします!」

 部屋に3人の太った男性と1人の痩せた男性が入ってくる。アメジストが首を傾げる。

「……どちらさま?」

「ちょっと、知らないの⁉ 『ボーイッシュCD局』の皆さんだよ!」

「し、知らないわ……知っている?」

 アメジストは山田に尋ねる。

「えっと……似ている方々は知っていますが……」

「パチモンじゃねえか?」

「ちょいちょいマリンちゃん! 失礼だよ! ボイD知らないの⁉」

「略されても分かんねえよ!」

「あの……」

「あ、すみません、御本人たちを前にして緊張しちゃってるみたいで……ははっ……」

 ダイヤモンドが笑いながらペコペコと頭を下げる。

「ああ、そうなんですか……」

「いつも漫画やアニメのパロディネタ楽しみにしています! 『男〇』ネタ最高でした!」

「『〇坂』のパロディって……私がこういうのもなんだけど、マイナーでしょう……」

 アメジストが目を細める。

「物真似も最高ですよね! 藤〇也さんの物真似爆笑です!」

「藤竜〇さん⁉ 藤〇竜也さんじゃなくて⁉ 渋いな!」

 山田が困惑する。男性の1人が頭を下げる。

「ありがとうございます……早速ですけど、撮影始めちゃいますか?」

「はい! 始めちゃいましょう! いや~楽しみだな~『兆候叩き』!」

「『気配斬り』じゃねえのかよ! やっぱパチモンじゃねえか!」

 アクアマリンの叫び声がスタジオ中に響く。
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