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第一章
第9話(3) 対峙
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「ひとまず合流出来たことを喜ぶとするか」
「……そうですわね」
御剣の言葉に万夜が頷く。千景が問う。
「億葉は?」
「見当たらないということは残念ながら脱落したということだろう」
「ちっ……黒谷は?」
「黒駆さんですよ……千景さん動かないで下さい」
愛は治療の術を施しながら、落ち着きのない千景をたしなめる。
「こちらにいらっしゃらないということは、あの方も脱落でしょう?」
「相手方の忍び、朔月望さんに倒されたようです」
愛が万夜の質問に答える。又左が口を開く。
「現状を整理するにゃ、まず相手の一人、風坂名秋は千景が倒したと……」
「おう、楽勝だったぜ」
「さっきまでボロボロだったじゃありませんか……」
「よくあの量の出血でここまで動けましたね……」
治療が済んで、スクッと立ち上がって自慢気にガッツポーズを取ってみせる千景を万夜と愛が呆れ気味に見つめる。
「そして、仁藤正人と、朔月望は愛が倒したということにゃ」
「お手柄だな、愛」
御剣の言葉に愛は恐縮する。
「すみません、皆さんとの早急な合流を優先した為、星ノ条隊に回収されたかどうかまでは確認していないのですが……とりあえず、二人とも気絶させときました」
「さらっと恐ろしいことを言っていますわね……」
万夜が苦笑する。御剣が腕を組み、頷きながら話す。
「ということは現在、武枝隊は少なくとも、隊長である武枝本人と副隊長の火場、そして林根、さらに山牙が健在ということになるか。風林火山カルテットの内、三人も残っているのは厄介だな……」
「風林火山カルテット?」
「武枝ご自慢の部下たちだ、一々名前を呼ぶのが面倒だから、頭文字を取ってそのように呼んでいるとか言っていたな」
「発想が似た者同士だな、名前もよく似ているし」
千景はそう言って笑う。御剣はややムッとする。
「名前は向こうが寄せてきたのだぞ。我が家はそうでもないのだが、あそこの家はなにかと対抗心を燃やしてくるのだ。私が御剣という名を付けられたと聞いて、『それではこちらは剣を折る盾だ!』とかなんとか言って、御盾という名前になったと聞く」
「へ~そりゃまた結構な対抗心だ」
「かれこれ四百年以上の因縁があるからにゃ……」
「ええっ! 戦国時代からですか⁉」
又左の言葉に愛が驚く。
「……どうでも宜しいですけど、そろそろどなたか降ろして下さいます⁉」
木の枝に引っ掛かったままの万夜がウンザリしたように叫ぶ。御剣が首を傾げる。
「万夜、なんでそんなところにいる?」
「さっきも申し上げたでしょう⁉ 馬鹿力の相手に投げ飛ばされた結果ですわ!」
「自然と一体化しようとしているのかと……」
「そんなわけが……姉様!」
万夜が叫ぶと同時に、茂みから大きな白い犬に跨った御盾が飛び出してきて御剣の背後から襲い掛かる。
「!」
御盾の振り下ろした鉄製の軍配を御剣が刀で受け止める。御盾がニヤっと笑う。
「ふん、奇襲失敗か! そうでなくてはな!」
「四百年前の意趣返しか?」
「なかなか乙なものであろう!」
御盾が笑う。千景が二人の間に入る。
「隊長はやらせねえよ!」
「尚右(なおすけ)! 距離を取れ!」
御盾が自身の跨る犬に指示を出す。犬は背を向けて後退する。
「待ちやがれ! どわっ⁉」
後を追おうとした千景に別の方角の茂みから吹っ飛んできた勇次がぶつかる。
「勇次⁉ お前、その傷!」
勇次の体は肩や膝、脇腹など至る所から出血している。同じ方角から長い槍を持った赤髪の少女がゆっくりと姿を現す。
「ちょろちょろ逃げ回らないでさ……そろそろ観念してよ」
「! てめえ……アタシの勇次をよくも!」
「? アンタ誰? 勇次君はアタシの大事な獲物だよ?」
「! わけ分かんねえこと言ってんじゃねーぞ! てめえからぶっ飛ばす!」
「やってみな!」
「待て! 恋夏‼ 一旦こちらに下がれ!」
「! 姐さん……」
御盾の言葉にふと我に返ったような赤髪の少女は素直に御盾の下に駆け寄る。御盾の周りには火場と林根と朔月も集まっている。
「……其方の名前は?」
「山牙恋夏(やまがれんか)……」
「ふむ……まあよい、其方ら横一列に並べ」
火場たちが並び、頭を下げる。御盾がその頭上で手に持った軍配を左右に振りかざす。
「よし、かかれ!」
山牙を先頭に上杉山隊に向かって突っ込んでいく。林根が冷静に問う。
「隊長、山牙さんですが……」
「様子がおかしいのは承知している、目は光らせておく。いよいよとなれば、此方かあ奴が止める。例え間に合わなくても魔……雅さまがなんとかするじゃろう」
「了解しました」
林根は頷くとブーストを噴かす。山牙の迅速な攻撃に勇次の反応が遅れる。
「くっ!」
「又左!」
「分かったにゃ!」
「うおっ⁉」
勇次は驚く。巨大化した又左が自らの体を咥えて、山牙の攻撃を躱したからである。
「尻尾が二本に分かれている⁉」
「巨大化したことよりもまずそこに注目するとはなかなか通だにゃ……これがワシの妖猫としての真の姿にゃ!」
「かわいげが無くなっている! 元々無いようなもんだけど……」
「! ええ~い! この恩知らず!」
「ぐえっ!」
又左は勇次を乱暴に投げる。そこに万夜の治療を終えた愛が駆け寄る。
「よし、勇次はまず治療しろ! 又左、背を貸せ!」
「ほいにゃ!」
御剣が又左に跨る。千景が御剣に尋ねる。
「姐御よお、心なしか連中の力が上がっているような気がするんだが?」
「それはそうだ! 武枝は味方の能力を一定時間上昇させることが出来るからな!」
「! そういう大事なことは早く言えよ!」
「どこが儀式のようなものなんですの⁉」
「今言った! それで許せ! お前らならば必ず打ち勝てると信じている!」
「し、しょうがねえなあ!」
「し、仕方がありませんわね!」
千景と万夜が身構える。
「テンションが上がっているせいか、万夜さんまであっさりノセられている……」
愛が呆れ気味に呟く。
「……そうですわね」
御剣の言葉に万夜が頷く。千景が問う。
「億葉は?」
「見当たらないということは残念ながら脱落したということだろう」
「ちっ……黒谷は?」
「黒駆さんですよ……千景さん動かないで下さい」
愛は治療の術を施しながら、落ち着きのない千景をたしなめる。
「こちらにいらっしゃらないということは、あの方も脱落でしょう?」
「相手方の忍び、朔月望さんに倒されたようです」
愛が万夜の質問に答える。又左が口を開く。
「現状を整理するにゃ、まず相手の一人、風坂名秋は千景が倒したと……」
「おう、楽勝だったぜ」
「さっきまでボロボロだったじゃありませんか……」
「よくあの量の出血でここまで動けましたね……」
治療が済んで、スクッと立ち上がって自慢気にガッツポーズを取ってみせる千景を万夜と愛が呆れ気味に見つめる。
「そして、仁藤正人と、朔月望は愛が倒したということにゃ」
「お手柄だな、愛」
御剣の言葉に愛は恐縮する。
「すみません、皆さんとの早急な合流を優先した為、星ノ条隊に回収されたかどうかまでは確認していないのですが……とりあえず、二人とも気絶させときました」
「さらっと恐ろしいことを言っていますわね……」
万夜が苦笑する。御剣が腕を組み、頷きながら話す。
「ということは現在、武枝隊は少なくとも、隊長である武枝本人と副隊長の火場、そして林根、さらに山牙が健在ということになるか。風林火山カルテットの内、三人も残っているのは厄介だな……」
「風林火山カルテット?」
「武枝ご自慢の部下たちだ、一々名前を呼ぶのが面倒だから、頭文字を取ってそのように呼んでいるとか言っていたな」
「発想が似た者同士だな、名前もよく似ているし」
千景はそう言って笑う。御剣はややムッとする。
「名前は向こうが寄せてきたのだぞ。我が家はそうでもないのだが、あそこの家はなにかと対抗心を燃やしてくるのだ。私が御剣という名を付けられたと聞いて、『それではこちらは剣を折る盾だ!』とかなんとか言って、御盾という名前になったと聞く」
「へ~そりゃまた結構な対抗心だ」
「かれこれ四百年以上の因縁があるからにゃ……」
「ええっ! 戦国時代からですか⁉」
又左の言葉に愛が驚く。
「……どうでも宜しいですけど、そろそろどなたか降ろして下さいます⁉」
木の枝に引っ掛かったままの万夜がウンザリしたように叫ぶ。御剣が首を傾げる。
「万夜、なんでそんなところにいる?」
「さっきも申し上げたでしょう⁉ 馬鹿力の相手に投げ飛ばされた結果ですわ!」
「自然と一体化しようとしているのかと……」
「そんなわけが……姉様!」
万夜が叫ぶと同時に、茂みから大きな白い犬に跨った御盾が飛び出してきて御剣の背後から襲い掛かる。
「!」
御盾の振り下ろした鉄製の軍配を御剣が刀で受け止める。御盾がニヤっと笑う。
「ふん、奇襲失敗か! そうでなくてはな!」
「四百年前の意趣返しか?」
「なかなか乙なものであろう!」
御盾が笑う。千景が二人の間に入る。
「隊長はやらせねえよ!」
「尚右(なおすけ)! 距離を取れ!」
御盾が自身の跨る犬に指示を出す。犬は背を向けて後退する。
「待ちやがれ! どわっ⁉」
後を追おうとした千景に別の方角の茂みから吹っ飛んできた勇次がぶつかる。
「勇次⁉ お前、その傷!」
勇次の体は肩や膝、脇腹など至る所から出血している。同じ方角から長い槍を持った赤髪の少女がゆっくりと姿を現す。
「ちょろちょろ逃げ回らないでさ……そろそろ観念してよ」
「! てめえ……アタシの勇次をよくも!」
「? アンタ誰? 勇次君はアタシの大事な獲物だよ?」
「! わけ分かんねえこと言ってんじゃねーぞ! てめえからぶっ飛ばす!」
「やってみな!」
「待て! 恋夏‼ 一旦こちらに下がれ!」
「! 姐さん……」
御盾の言葉にふと我に返ったような赤髪の少女は素直に御盾の下に駆け寄る。御盾の周りには火場と林根と朔月も集まっている。
「……其方の名前は?」
「山牙恋夏(やまがれんか)……」
「ふむ……まあよい、其方ら横一列に並べ」
火場たちが並び、頭を下げる。御盾がその頭上で手に持った軍配を左右に振りかざす。
「よし、かかれ!」
山牙を先頭に上杉山隊に向かって突っ込んでいく。林根が冷静に問う。
「隊長、山牙さんですが……」
「様子がおかしいのは承知している、目は光らせておく。いよいよとなれば、此方かあ奴が止める。例え間に合わなくても魔……雅さまがなんとかするじゃろう」
「了解しました」
林根は頷くとブーストを噴かす。山牙の迅速な攻撃に勇次の反応が遅れる。
「くっ!」
「又左!」
「分かったにゃ!」
「うおっ⁉」
勇次は驚く。巨大化した又左が自らの体を咥えて、山牙の攻撃を躱したからである。
「尻尾が二本に分かれている⁉」
「巨大化したことよりもまずそこに注目するとはなかなか通だにゃ……これがワシの妖猫としての真の姿にゃ!」
「かわいげが無くなっている! 元々無いようなもんだけど……」
「! ええ~い! この恩知らず!」
「ぐえっ!」
又左は勇次を乱暴に投げる。そこに万夜の治療を終えた愛が駆け寄る。
「よし、勇次はまず治療しろ! 又左、背を貸せ!」
「ほいにゃ!」
御剣が又左に跨る。千景が御剣に尋ねる。
「姐御よお、心なしか連中の力が上がっているような気がするんだが?」
「それはそうだ! 武枝は味方の能力を一定時間上昇させることが出来るからな!」
「! そういう大事なことは早く言えよ!」
「どこが儀式のようなものなんですの⁉」
「今言った! それで許せ! お前らならば必ず打ち勝てると信じている!」
「し、しょうがねえなあ!」
「し、仕方がありませんわね!」
千景と万夜が身構える。
「テンションが上がっているせいか、万夜さんまであっさりノセられている……」
愛が呆れ気味に呟く。
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