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第三章
第28話(2) 力と技と速さの姉
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「……ふむ」
ある廃工場を御剣は歩く。そこに勇次が駆け寄ってくる。
「隊長!」
「どうだ?」
「今のところ異状はありません」
「そうか」
「あの……」
「なんだ?」
「隊長が出るほどの任務でしょうか? 俺たちだけでも大丈夫だと思いますが……」
「油断は禁物だ……と言いたいところではあるが、おそらくその通りだろうな。私は貴様らのお手並み拝見といこう」
御剣は腕を組み、近くの壁によりかかる。その時、妖レーダーが反応する。
「来た⁉」
「……冷静に周囲を確認しろ」
「はい! ……そこだ!」
「!」
勇次の振るった金棒が空を切り、地面を叩いた。
「なっ⁉ かわされた⁉ ぐはっ⁉」
勇次が吹き飛ばされる。御剣が呟く。
「この速さは……はっ! 勇次!」
妖が勇次の懐に入る。勇次の反応が遅れる。
「ちいっ⁉ えっ⁉」
「落ち着きなさい、勇次!」
一美が鎌で攻撃を受け止める。
「姉ちゃん! こ、こいつは⁉」
鎌の先には人によく似た体をした、全身茶色の妖がいる。大きさは勇次たちよりもかなり小柄である。御剣が声を上げる。
「奴は『快足』という種族の妖だ! その名の通り、速さ自慢だ!」
「……!」
「消えた!」
「初見の貴様らの手には余る! 私に任せろ!」
「いいえ、隊長! ここは私にお任せ下さい!」
「なに⁉ 一美……よかろう、やってみせろ」
鞘に手をかけた御剣はその手を離し、再び壁によりかかる。一美が声を上げる。
「勇次、地面を砕いて!」
「お、おう!」
勇次が一美の指示に従い、地面を砕く。破片が飛び散る。
「……そこ!」
「⁉」
「えい!」
「‼」
鎌に快足の体を器用に引っかけた一美は地面に快足を叩きつける。
「それ!」
「……‼」
一美が鎌を振るうと、快足の首は飛び、その体は霧消する。御剣が感心する。
「なるほど、飛び散る破片をかわした先にいると予測したのか。目で追えないのを予測で補ったというわけだな。鎌の刃先にひっかける技巧も見事だな」
「やったな、姉ちゃん!」
「まだよ、レーダーが反応しているわ!」
「え? うおっ⁉」
「……」
勇次が攻撃を喰らう。その前には人によく似た体をした、全身灰色の妖がいる。大きさは勇次たちと同じくらいである。御剣が声を上げる。
「奴は『妙技』という種族の妖だ! その名の通り、技自慢だ! 武器を使ってくるぞ!」
「そ、そんな⁉ ぐうっ⁉」
「勇次!」
「大丈夫、掠っただけだ!」
勇次が一美に答える。御剣が呟く。
「鎖鎌を使う種類とは珍しいな……やはりここは私が」
「いえ、隊長は見ていて下さい!」
「一美……! 気を付けろよ」
「ええ!」
「……!」
「はっ!」
「⁉」
一美は妙技が投げた鎖鎌の鎖の部分をあえて鎌の柄に巻き付かせる。一美が叫ぶ。
「ええい!」
「……⁉」
一美が引っ張り、宙に浮きあがった妙技が壁に打ち付けられる。さらに一美が鎖を引き寄せ、鎌を振るって、倒れた妙技の首を刎ねる。妙技は霧消する。御剣が再び感心する。
「なかなかの膂力だな……技術を力でもってねじ伏せたか……」
「すげえぜ、姉ちゃん! どあっ⁉」
勇次がまたも吹き飛ばされる。そこには人によく似た、全身紫色の巨体の妖が立っている。その妖が繰り出した拳を勇次は受けてしまう。
「勇次! 今度は何⁉」
「奴は『剛力』という種族の妖だ! その名の通り、力自慢だ!」
「くっ!」
一美が剛力に向かっていく。御剣が叫ぶ。
「一美! そいつとまともに受け合っては危険だ!」
「‼」
「はあっ!」
一美がこれでもかと身を屈め、鎌を横に薙ぐ。剛力の片足が斬れて、バランスを崩した剛力がたまらず倒れ込む。一美はそこをすかさず回り込み、首を刎ねる。剛力の巨体は霧消する。御剣は三度感心する。
「あえて攻撃を誘ったのか……力を速さで上回ってみせるとは、やるな……」
「はあ……はあ……」
「レーダーの反応が治まった。ご苦労だったな」
御剣が一美に声をかける。一美は呼吸を整えながら答える。
「はあ……はあ……ど、どうもすみません、無理を言ってしまって」
「貴様らの戦いぶりを見せてもらおうと思っていたからな。速さには技を、技には力を、力には速さで対応する柔軟性は見事だったぞ」
「あ、ありがとうございます……はっ、勇次⁉」
「うん? どうした?」
振り向いた一美のすぐ側に勇次が立っている。一美が驚く。
「うわっ⁉ た、立ち上がっている⁉」
「そんなに驚くなよ……」
「い、いや、あの巨体の攻撃を喰らっていたし……」
「咄嗟に金棒で防いで、直撃は避けたんだよ」
「そ、そう……本当に大丈夫?」
「だ、大丈夫だって、撫でるなよ。恥ずかしいな」
「姉が弟を想うのに、なにが恥ずかしいのよ!」
「き、気持ちは受け取っておくからさ……」
「私の気が済まないから、ナデナデさせなさい!」
「や、やめろって!」
「やめない!」
姉弟の微笑ましいやりとりを御剣が眺めながら呟く。
「ふっ……姉弟揃って、戦闘センスはなかなかのようだな……むっ⁉」
妖レーダーがまた反応する。
ある廃工場を御剣は歩く。そこに勇次が駆け寄ってくる。
「隊長!」
「どうだ?」
「今のところ異状はありません」
「そうか」
「あの……」
「なんだ?」
「隊長が出るほどの任務でしょうか? 俺たちだけでも大丈夫だと思いますが……」
「油断は禁物だ……と言いたいところではあるが、おそらくその通りだろうな。私は貴様らのお手並み拝見といこう」
御剣は腕を組み、近くの壁によりかかる。その時、妖レーダーが反応する。
「来た⁉」
「……冷静に周囲を確認しろ」
「はい! ……そこだ!」
「!」
勇次の振るった金棒が空を切り、地面を叩いた。
「なっ⁉ かわされた⁉ ぐはっ⁉」
勇次が吹き飛ばされる。御剣が呟く。
「この速さは……はっ! 勇次!」
妖が勇次の懐に入る。勇次の反応が遅れる。
「ちいっ⁉ えっ⁉」
「落ち着きなさい、勇次!」
一美が鎌で攻撃を受け止める。
「姉ちゃん! こ、こいつは⁉」
鎌の先には人によく似た体をした、全身茶色の妖がいる。大きさは勇次たちよりもかなり小柄である。御剣が声を上げる。
「奴は『快足』という種族の妖だ! その名の通り、速さ自慢だ!」
「……!」
「消えた!」
「初見の貴様らの手には余る! 私に任せろ!」
「いいえ、隊長! ここは私にお任せ下さい!」
「なに⁉ 一美……よかろう、やってみせろ」
鞘に手をかけた御剣はその手を離し、再び壁によりかかる。一美が声を上げる。
「勇次、地面を砕いて!」
「お、おう!」
勇次が一美の指示に従い、地面を砕く。破片が飛び散る。
「……そこ!」
「⁉」
「えい!」
「‼」
鎌に快足の体を器用に引っかけた一美は地面に快足を叩きつける。
「それ!」
「……‼」
一美が鎌を振るうと、快足の首は飛び、その体は霧消する。御剣が感心する。
「なるほど、飛び散る破片をかわした先にいると予測したのか。目で追えないのを予測で補ったというわけだな。鎌の刃先にひっかける技巧も見事だな」
「やったな、姉ちゃん!」
「まだよ、レーダーが反応しているわ!」
「え? うおっ⁉」
「……」
勇次が攻撃を喰らう。その前には人によく似た体をした、全身灰色の妖がいる。大きさは勇次たちと同じくらいである。御剣が声を上げる。
「奴は『妙技』という種族の妖だ! その名の通り、技自慢だ! 武器を使ってくるぞ!」
「そ、そんな⁉ ぐうっ⁉」
「勇次!」
「大丈夫、掠っただけだ!」
勇次が一美に答える。御剣が呟く。
「鎖鎌を使う種類とは珍しいな……やはりここは私が」
「いえ、隊長は見ていて下さい!」
「一美……! 気を付けろよ」
「ええ!」
「……!」
「はっ!」
「⁉」
一美は妙技が投げた鎖鎌の鎖の部分をあえて鎌の柄に巻き付かせる。一美が叫ぶ。
「ええい!」
「……⁉」
一美が引っ張り、宙に浮きあがった妙技が壁に打ち付けられる。さらに一美が鎖を引き寄せ、鎌を振るって、倒れた妙技の首を刎ねる。妙技は霧消する。御剣が再び感心する。
「なかなかの膂力だな……技術を力でもってねじ伏せたか……」
「すげえぜ、姉ちゃん! どあっ⁉」
勇次がまたも吹き飛ばされる。そこには人によく似た、全身紫色の巨体の妖が立っている。その妖が繰り出した拳を勇次は受けてしまう。
「勇次! 今度は何⁉」
「奴は『剛力』という種族の妖だ! その名の通り、力自慢だ!」
「くっ!」
一美が剛力に向かっていく。御剣が叫ぶ。
「一美! そいつとまともに受け合っては危険だ!」
「‼」
「はあっ!」
一美がこれでもかと身を屈め、鎌を横に薙ぐ。剛力の片足が斬れて、バランスを崩した剛力がたまらず倒れ込む。一美はそこをすかさず回り込み、首を刎ねる。剛力の巨体は霧消する。御剣は三度感心する。
「あえて攻撃を誘ったのか……力を速さで上回ってみせるとは、やるな……」
「はあ……はあ……」
「レーダーの反応が治まった。ご苦労だったな」
御剣が一美に声をかける。一美は呼吸を整えながら答える。
「はあ……はあ……ど、どうもすみません、無理を言ってしまって」
「貴様らの戦いぶりを見せてもらおうと思っていたからな。速さには技を、技には力を、力には速さで対応する柔軟性は見事だったぞ」
「あ、ありがとうございます……はっ、勇次⁉」
「うん? どうした?」
振り向いた一美のすぐ側に勇次が立っている。一美が驚く。
「うわっ⁉ た、立ち上がっている⁉」
「そんなに驚くなよ……」
「い、いや、あの巨体の攻撃を喰らっていたし……」
「咄嗟に金棒で防いで、直撃は避けたんだよ」
「そ、そう……本当に大丈夫?」
「だ、大丈夫だって、撫でるなよ。恥ずかしいな」
「姉が弟を想うのに、なにが恥ずかしいのよ!」
「き、気持ちは受け取っておくからさ……」
「私の気が済まないから、ナデナデさせなさい!」
「や、やめろって!」
「やめない!」
姉弟の微笑ましいやりとりを御剣が眺めながら呟く。
「ふっ……姉弟揃って、戦闘センスはなかなかのようだな……むっ⁉」
妖レーダーがまた反応する。
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