2 / 6
滝の話
しおりを挟む
124 本当にあった怖い名無し 2024/10/15 ID:40QkwTYN0
私が住む村の話です。
私の村はいわゆる限界集落というもので、土地は広いのですが村民は両手両足で数えられるほどの人数です。栃木の山奥ということもあり、自然が豊かなことだけが取り柄の村です。山奥には滝があり、中々絶景です。
ある日、X、いえTwitterをぼんやり眺めていたら変な投稿を見つけました。
それは、鬱蒼とした森の中の写真でした。素人が撮るような、ブレブレの写真でした。そして一言「おいで」と書かれて。
そのアカウントは名前が意味のない単語の羅列というか、キーボードを適当に打ち込んでできる感じの名前でした。アイコンは初期アイコンから変えてなくて、自己紹介の部分も名前と同じく子どもがブラインドタッチを真似してできるような……そういう文章です。
投稿はいわゆるバズツイートのリプライ欄に貼られていました。万バズを超えた投稿にだいたい貼られており、スパムの一種だとその時は思いました。ただ、スパムにしては気味が悪いな、と。
その後もバズツイートのリプ欄にはそのアカウントの投稿がスパムに紛れてありました。いつしか私はその投稿を毎日探すようになりました。なぜならだんだんとその写真の景色が「進んで」いたからです。森の中、というより舗装されていない山道を進んでいるみたいで、徐々に写真の中の景色が変わっていきました。いったいどこへ行くんだろうと思っていたら、ある日いつもの森ではなく、滝の写真が投稿されました。
綺麗な滝でした。その日以降は滝の写真が投稿されるようになりました。これで終わりかなと私もだんだんと興味が薄れていきました。が、ある日気づいてしまいました。
その滝は、私が住んでいる村の滝でした。
最初は写真のブレで気づきませんでしたが、確かにその滝は私が住む村の滝でした。文字だと伝えにくいのですが、何個か特徴があり合致しています。何より、あの滝で何度も遊んだ私があの滝を一番見たことがあるので間違えようがないと自負しています。
先述の通り、私の村はほとんど人が住んでいません。まして、高齢者ばかりですのでTwitterでバズツイートに毎日リプを送るという芸当ができる人間はかなり限られます。しかし、私が知る限り村民でネットをある程度使いこなせる人間は全員シロでした。
つまり観光客が考えられるわけですが、流石に私も怖いですし、素人の捜査では限界があるのでそれ以上の追求は辞めました。
数日後、いつもの滝の投稿にリプライがついていました。見てみると「この滝はどこですか?」と場所を訪ねる質問でした。その質問に対し、投稿者は「栃木県〇〇市~」とかなり正確な住所が載っていました。質問者はどうやらドライブが趣味の方のようでした。きっと、何かの拍子にこのアカウントが目について滝を見て気になったのでしょう。
調べてみると確かにその滝がある位置でした。ですが、微妙に滝と位置がずれていました。怖かったですが、好奇心には勝てず、調べてみることにしました。
実際に行ってみたところ、住所の位置には小さな祠がありました。
確かに私が子供のころからある、小さな祠です。今の今まで忘れていたくらい。
じゃあ、なんでこのアカウントはこの祠の写真を載せないんだろう。そもそもなんでこんなところに呼ぶんだろう。
考えてもわからないので、帰ることにしました。山の入口で定食屋のおばちゃんと会いました。
「あら、Sちゃん山に行ってたの?」
「ええ、まあ……おばちゃんは?」
「それがさっきお客さんがね、滝を見に来たっていうから案内してあげたの。この村に旅行だなんて珍しいわねぇ」
「へ~……」
そこで私は気づきました。もしかして、あのリプ主じゃないのか?
私は帰り道に獣道のような近道を通ったのですれ違わなかったようです。
何か嫌な予感がしましたが、もう暗くなるし、疲れているし、本当に何も関係ない観光客かもしれない。そう何個も言い訳を作り私は帰りました。
また数日後、滝の写真が投稿されていました。
写真には半裸になり笑顔でピースする男性が映っていました。そして、足元には壊れた祠がありました。
その男性が、先日行方不明者として探されている投稿に載っていた男性と同じ顔ということに気が付いたのはしばらくしてからでした。定食屋のおばちゃんには怖くて確認しませんでした。いや、確認できませんでした。行方不明者として捜索願が出されたことを知ったころには、もうあのアカウントは存在しなかったからです。
なお、最後の投稿にはいつものようなスパム手法で「もう大丈夫です」と書かれていました。
添付された写真には、手ブレでよく見えませんでしたが、滝の下が少し赤黒くなっているように見えました。
以来、滝には近づいていません。この村からも出ようと思っています。
128 本当にあった怖い名無し 2024/10/15 ID:fRSplf7w
>>124
それ、本当に祠が壊されてたら問題じゃないか?あと俺栃木県民なんだけど普通に気になる
よかったら場所教えてくれない?
129 本当にあった怖い名無し 2024/10/15 ID:40QkwTYN0
>>128
今のところ村は変わってないし……祠がどうこうとかはよくわかんない
特定怖いからヒントだけ
K市
130 本当にあった怖い名無し 2024/10/15 ID:fRSplf7w
>>129
おけありがと
131 本当にあった怖い名無し 2024/10/15 ID:UBS2ouNj
なんか眺めてたら凸始まってて草
133 本当にあった怖い名無し 2024/10/15 ID:M0FWHuoZ
古のインターネットすぎる
135 本当にあった怖い名無し 2024/10/15 ID:fRSplf7w
流石に今からは無理w
後日スレ立てるわ
136 本当にあった怖い名無し 2024/10/15 ID:M0FWHuoZ
楽しみ
私が住む村の話です。
私の村はいわゆる限界集落というもので、土地は広いのですが村民は両手両足で数えられるほどの人数です。栃木の山奥ということもあり、自然が豊かなことだけが取り柄の村です。山奥には滝があり、中々絶景です。
ある日、X、いえTwitterをぼんやり眺めていたら変な投稿を見つけました。
それは、鬱蒼とした森の中の写真でした。素人が撮るような、ブレブレの写真でした。そして一言「おいで」と書かれて。
そのアカウントは名前が意味のない単語の羅列というか、キーボードを適当に打ち込んでできる感じの名前でした。アイコンは初期アイコンから変えてなくて、自己紹介の部分も名前と同じく子どもがブラインドタッチを真似してできるような……そういう文章です。
投稿はいわゆるバズツイートのリプライ欄に貼られていました。万バズを超えた投稿にだいたい貼られており、スパムの一種だとその時は思いました。ただ、スパムにしては気味が悪いな、と。
その後もバズツイートのリプ欄にはそのアカウントの投稿がスパムに紛れてありました。いつしか私はその投稿を毎日探すようになりました。なぜならだんだんとその写真の景色が「進んで」いたからです。森の中、というより舗装されていない山道を進んでいるみたいで、徐々に写真の中の景色が変わっていきました。いったいどこへ行くんだろうと思っていたら、ある日いつもの森ではなく、滝の写真が投稿されました。
綺麗な滝でした。その日以降は滝の写真が投稿されるようになりました。これで終わりかなと私もだんだんと興味が薄れていきました。が、ある日気づいてしまいました。
その滝は、私が住んでいる村の滝でした。
最初は写真のブレで気づきませんでしたが、確かにその滝は私が住む村の滝でした。文字だと伝えにくいのですが、何個か特徴があり合致しています。何より、あの滝で何度も遊んだ私があの滝を一番見たことがあるので間違えようがないと自負しています。
先述の通り、私の村はほとんど人が住んでいません。まして、高齢者ばかりですのでTwitterでバズツイートに毎日リプを送るという芸当ができる人間はかなり限られます。しかし、私が知る限り村民でネットをある程度使いこなせる人間は全員シロでした。
つまり観光客が考えられるわけですが、流石に私も怖いですし、素人の捜査では限界があるのでそれ以上の追求は辞めました。
数日後、いつもの滝の投稿にリプライがついていました。見てみると「この滝はどこですか?」と場所を訪ねる質問でした。その質問に対し、投稿者は「栃木県〇〇市~」とかなり正確な住所が載っていました。質問者はどうやらドライブが趣味の方のようでした。きっと、何かの拍子にこのアカウントが目について滝を見て気になったのでしょう。
調べてみると確かにその滝がある位置でした。ですが、微妙に滝と位置がずれていました。怖かったですが、好奇心には勝てず、調べてみることにしました。
実際に行ってみたところ、住所の位置には小さな祠がありました。
確かに私が子供のころからある、小さな祠です。今の今まで忘れていたくらい。
じゃあ、なんでこのアカウントはこの祠の写真を載せないんだろう。そもそもなんでこんなところに呼ぶんだろう。
考えてもわからないので、帰ることにしました。山の入口で定食屋のおばちゃんと会いました。
「あら、Sちゃん山に行ってたの?」
「ええ、まあ……おばちゃんは?」
「それがさっきお客さんがね、滝を見に来たっていうから案内してあげたの。この村に旅行だなんて珍しいわねぇ」
「へ~……」
そこで私は気づきました。もしかして、あのリプ主じゃないのか?
私は帰り道に獣道のような近道を通ったのですれ違わなかったようです。
何か嫌な予感がしましたが、もう暗くなるし、疲れているし、本当に何も関係ない観光客かもしれない。そう何個も言い訳を作り私は帰りました。
また数日後、滝の写真が投稿されていました。
写真には半裸になり笑顔でピースする男性が映っていました。そして、足元には壊れた祠がありました。
その男性が、先日行方不明者として探されている投稿に載っていた男性と同じ顔ということに気が付いたのはしばらくしてからでした。定食屋のおばちゃんには怖くて確認しませんでした。いや、確認できませんでした。行方不明者として捜索願が出されたことを知ったころには、もうあのアカウントは存在しなかったからです。
なお、最後の投稿にはいつものようなスパム手法で「もう大丈夫です」と書かれていました。
添付された写真には、手ブレでよく見えませんでしたが、滝の下が少し赤黒くなっているように見えました。
以来、滝には近づいていません。この村からも出ようと思っています。
128 本当にあった怖い名無し 2024/10/15 ID:fRSplf7w
>>124
それ、本当に祠が壊されてたら問題じゃないか?あと俺栃木県民なんだけど普通に気になる
よかったら場所教えてくれない?
129 本当にあった怖い名無し 2024/10/15 ID:40QkwTYN0
>>128
今のところ村は変わってないし……祠がどうこうとかはよくわかんない
特定怖いからヒントだけ
K市
130 本当にあった怖い名無し 2024/10/15 ID:fRSplf7w
>>129
おけありがと
131 本当にあった怖い名無し 2024/10/15 ID:UBS2ouNj
なんか眺めてたら凸始まってて草
133 本当にあった怖い名無し 2024/10/15 ID:M0FWHuoZ
古のインターネットすぎる
135 本当にあった怖い名無し 2024/10/15 ID:fRSplf7w
流石に今からは無理w
後日スレ立てるわ
136 本当にあった怖い名無し 2024/10/15 ID:M0FWHuoZ
楽しみ
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる