Angel's Ring

Angel's Ring

１０

＊



 「ずいぶんと静かな町ですねぇ…」

隣の町に着いた途端、私はついそんなことを口走ってしまいました。
それほどその町は静かだったのです。



「おかしいなぁ…
なんでこんなに静かなんだろう？
静かっていうより、誰もいないじゃないか。」

その通りなのです。
町の中には、どなたもいらっしゃらないようなのです。
酒場の中にも、教会にも、とにかくどこにも人がまったくいらっしゃらないのです。



「一体、どうなってるんだ？」

「わかりません。
ファビアンさん、これからどうします？」

「とりあえず、民家を調べてみよう。
あんたはそっち側を頼む。
俺はこっちを見てくるよ。
誰かいたら連絡するんだぞ！」

「はい、わかりました！」

私達は二手に別れて、あたりの民家を捜索しました。
ところが、やはりどの家にもどなたもいらっしゃらなかったのです。



「やっぱり誰もいなかったか…」

「ええ…
そちらもですか？」

「あぁ、誰もいない…」

「どうしましょう？」

「仕方がない。
この先の町に行ってみよう。
何か、話が聞けるかもしれない。」

ファビアンさんのおっしゃる通り、このままここにいても進展はないような気がしました。
なんせ、この町にはどなたもいらっしゃらないのですから。
私達は、このままもう一つ先の町まで行ってみることにしました。