Angel's Ring

ルカ(聖夜月ルカ)

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 「ファビアンさん…」

「その顔は…まさか…」

私はファビアンさんの言葉の意味を理解し、こくりと頷きました。



「またダメだったのか…
それで、今度はどうしたんだ?」

「それが…食器を洗うのは手際が良いなんて誉められて、私もその気になってせっせと洗ってたんですが…
それを棚にしまう時にですね…全部…」

「割っちまったのか?!」

「はい…一枚残らず全部…」

「わちゃ~~…
そりゃあクビにもなるわな。」

「はい…仕方ありませんね。
私が悪いんですから…
それで、ファビアンさんの方は?」

「……俺もだ…
せっかく雇ってもらった店に、たまたま俺のことを知ってる奴が来て店主にチクりやがったんだ…」

「えっ?それでは、何か悪いことがあったってわけでもへまをやらかしたとかなんでもないのにやめさせられたんですか?」

「その通りさ…」

「酷い!!あんまりです!!!
私、今からそのお店に行って…」

「やめとけ、やめとけ。
そんなことしても無駄だ。
いつものことだ。俺はなんとも思ってないしな。
ただ…金の方がかなり切羽詰って来たぞ。
困ったな…」



あれ以来、私達は、いろんな所で仕事を探して回ったのですが、どこへ行ってもへまばかりしてはクビになっているのです。
私は自分がこんなにも何も出来ないということには気付いていなかったので、最近、少々凹み気味です。
確かに、天界にいる頃はしょちゅう怒られてましたが、天使の仕事は人間の仕事よりももっと難しいものですから、そのせいだと思っていたのです。
仮にも私は長年天使をやってた身、まさか、普通の人間に出来ることがうまく出来ないなんて考えてもみませんでした。
どうやら私は少し慢心していたようです。

結局、この町では仕事はみつかりそうにないので、次の朝、私達はもう一つ先の町まで行ってみることにしました。
とにかくなんとか仕事をみつけないと、このままでは干上がってしまいます…
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