お礼(無謀)企画

ルカ(聖夜月ルカ)

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宝石

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「やぁ、ローズ。
君に会えて嬉しいよ。」

「あなたは……誰?」

その場所はローズの寝室のようだが、なにか少し様子が違う。
しかし、なにがどう違うのかはわからず、ローズは奇妙な気持ちを感じていた。
その片隅の薄暗い場所に立つのは、華奢で背の高い男性…
背が高いせいなのか、ローズには男性だと感じられただけで本当の所はよくわからない。
声も少年のようでもあり女性のようにも感じられるものだったのだから。
そして、その顔もはっきりとは見えなかった。



「僕は、宝石だよ。
ほら、君が今日買ってくれた宝石。」

「宝石…?
宝石がなぜ人間の姿をしているの?」

そんな会話を交わしながら、ローズは心の底でそのおかしな内容を不審に感じる。



「そんなこと、気にする必要なんてないよ。
それよりも、僕は君にお礼が言いたくてね。
僕を選んでくれてありがとう。」

その言葉を聞くと、ローズはとても満たされた気分を感じた。
ただ、気に入って買っただけなのに、そんなことで礼を言われるなんて思ってもみなかったことだから。



「お礼だなんて…お礼を言いたいのはこちらの方なのに。あなたみたいな綺麗な宝石に来てもらえて、とても嬉しいわ。
ねぇ、あなたはなんていう宝石なの?」

「僕に名前なんてないよ。
なんなら、君が名前を付けてくれても良いよ。
僕は君みたいな人をずっと待ってたんだ。
……ローズ、知ってる?
僕達は、選ばれてるようで実は僕達が選んでるんだよ。」

そう言って、宝石は悪戯っぽい微笑みを浮かべる。



「選んでる…?
どういうことなの?」

「僕達は、買われる先、もらわれる先を選んでるってことさ。
この人の所に行きたいと思ったら、その想いを強く発するんだ。
そうすると、その人はその想いに反応してつい僕達をほしくなってしまう…まぁ、すべての人に通じるわけではないけどね。」

「じゃあ、私もあなたの想いに反応してしまったっていうことなの?」

「そうさ…僕は、君みたいな純粋な心の持ち主を探してたからね。
だから、必死に想いを発して…そして、僕の望みは叶った。」

「望みだなんて大袈裟ね。」

ローズは少女のように頬を染め、はにかんだ。 
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