お礼(無謀)企画

ルカ(聖夜月ルカ)

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宝石

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目覚めた時、ローズは喋った言葉の一つ一つまで、不思議な程はっきりと覚えていた。

(昨夜はおかしな夢を見たわ。
宝石と話すなんて、本当におかしな夢…)



ローズは、不思議には感じながらも、夢の中の出来事を素直に信じる程子供ではなかった。
だが、馬鹿馬鹿しいとは想いながらもすべてを否定することも出来なかった。
その日は何も変わったこと等なかった。
マイクと偶然出会うようなこともなく、ごくありふれた一日が過ぎた。
そして、次の日…



(宝石は、三日以内に手放すように言ってたわ。
夢の中のことを信じるなんて馬鹿馬鹿しいことだけど…)

ローズは飾り石をハンカチにくるみ、職場に持って来ていた。
ハンカチを開いてそっとのぞいたその石はとても美しく、手放すのはやはり惜しいような気がして、ローズはどうしたものかと決心が着きかねていた。



「ローズ、お疲れ様。」

「ソフィ、良かったら、今夜、一緒に食事でもどう?」

「残念だけど、週末に引っ越すから今日は忙しいの。」

「あなた、引っ越すの?
そうだわ、それじゃあ、良かったら、これをお部屋に飾って。
とても綺麗よ。」

ローズは、ソフィに宝石を手渡した。



「石?綺麗ね。
でも、どうして…?」

「え…?えぇ、家に飾ろうと思って買ったんだけど、いざ飾ろうとしたらなんだか部屋に合わなくて…」

「そうなの?あなたインテリアにはうるさいものね。
ありがとう!
じゃあ、遠慮なくいただくわね。」



(私ったら…馬鹿みたい……
ソフィはあんな石、きっと飾らないわ…
こんなことなら売れば良かった…)

焦って馬鹿なことをしてしまったと、後悔しながら家路に着いたローズの足は重かった。 
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