37 / 289
宝石
8
しおりを挟む
*
*
*
目覚めた時、ローズは喋った言葉の一つ一つまで、不思議な程はっきりと覚えていた。
(昨夜はおかしな夢を見たわ。
宝石と話すなんて、本当におかしな夢…)
ローズは、不思議には感じながらも、夢の中の出来事を素直に信じる程子供ではなかった。
だが、馬鹿馬鹿しいとは想いながらもすべてを否定することも出来なかった。
その日は何も変わったこと等なかった。
マイクと偶然出会うようなこともなく、ごくありふれた一日が過ぎた。
そして、次の日…
(宝石は、三日以内に手放すように言ってたわ。
夢の中のことを信じるなんて馬鹿馬鹿しいことだけど…)
ローズは飾り石をハンカチにくるみ、職場に持って来ていた。
ハンカチを開いてそっとのぞいたその石はとても美しく、手放すのはやはり惜しいような気がして、ローズはどうしたものかと決心が着きかねていた。
「ローズ、お疲れ様。」
「ソフィ、良かったら、今夜、一緒に食事でもどう?」
「残念だけど、週末に引っ越すから今日は忙しいの。」
「あなた、引っ越すの?
そうだわ、それじゃあ、良かったら、これをお部屋に飾って。
とても綺麗よ。」
ローズは、ソフィに宝石を手渡した。
「石?綺麗ね。
でも、どうして…?」
「え…?えぇ、家に飾ろうと思って買ったんだけど、いざ飾ろうとしたらなんだか部屋に合わなくて…」
「そうなの?あなたインテリアにはうるさいものね。
ありがとう!
じゃあ、遠慮なくいただくわね。」
(私ったら…馬鹿みたい……
ソフィはあんな石、きっと飾らないわ…
こんなことなら売れば良かった…)
焦って馬鹿なことをしてしまったと、後悔しながら家路に着いたローズの足は重かった。
*
*
目覚めた時、ローズは喋った言葉の一つ一つまで、不思議な程はっきりと覚えていた。
(昨夜はおかしな夢を見たわ。
宝石と話すなんて、本当におかしな夢…)
ローズは、不思議には感じながらも、夢の中の出来事を素直に信じる程子供ではなかった。
だが、馬鹿馬鹿しいとは想いながらもすべてを否定することも出来なかった。
その日は何も変わったこと等なかった。
マイクと偶然出会うようなこともなく、ごくありふれた一日が過ぎた。
そして、次の日…
(宝石は、三日以内に手放すように言ってたわ。
夢の中のことを信じるなんて馬鹿馬鹿しいことだけど…)
ローズは飾り石をハンカチにくるみ、職場に持って来ていた。
ハンカチを開いてそっとのぞいたその石はとても美しく、手放すのはやはり惜しいような気がして、ローズはどうしたものかと決心が着きかねていた。
「ローズ、お疲れ様。」
「ソフィ、良かったら、今夜、一緒に食事でもどう?」
「残念だけど、週末に引っ越すから今日は忙しいの。」
「あなた、引っ越すの?
そうだわ、それじゃあ、良かったら、これをお部屋に飾って。
とても綺麗よ。」
ローズは、ソフィに宝石を手渡した。
「石?綺麗ね。
でも、どうして…?」
「え…?えぇ、家に飾ろうと思って買ったんだけど、いざ飾ろうとしたらなんだか部屋に合わなくて…」
「そうなの?あなたインテリアにはうるさいものね。
ありがとう!
じゃあ、遠慮なくいただくわね。」
(私ったら…馬鹿みたい……
ソフィはあんな石、きっと飾らないわ…
こんなことなら売れば良かった…)
焦って馬鹿なことをしてしまったと、後悔しながら家路に着いたローズの足は重かった。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる