38 / 289
宝石
9
しおりを挟む
*
次の日の朝、ローズは職場で信じられない話を聞いた。
ケリーが一昨日の朝、死んでいるのが発見されたという。
(う、嘘だわ…そんなこと…)
ローズの頭に、あの日の夢が…宝石と交わした会話がまざまざと思い出される。
(まさか…まさか、あの宝石が……)
ローズは、その考えを必死で頭から払い除けた。
そんなことがあるはずはない。
たまたま偶然が重なっただけなのだ…と。
その日の昼間、教会でケリーの葬儀が執り行われ、ローズやソフィ、その他の友人達も参列した。
「ミッシェル…!
ケリーは、なぜこんなことに…?」
ソフィが、ケリーの妹のミッシェルに聞いた所によると、ケリーは何の前触れもなく死んだのだという。
なかなか起きて来ないケリーを不審に思い、ミッシェルが見に行くと、すでにケリーは事切れていたのだということだった。
柩の中のケリーは、まるで眠っているようにやすらかな表情を浮かべていた。
「ケリー……」
ケリーの亡骸を前にして、ローズの涙は止まらなかった。
様々な想いがローズの胸に去来し、ローズは軽い眩暈を感じる。
「君…大丈夫?」
よろめいたローズの身体を逞しい腕が捕えた。
「あ、ありがとう、マイク…」
「なぜ、僕の名前を?」
「あ…ごめんなさい。
私…あなたの家の近所に住んでるの。
それに、ケリーとはクラスメイトだったから…あの、何度かあなた方を見かけたことがあって…」
「そうだったの…じゃあ、送るよ。」
「いえ、良いのよ。
私なら大丈夫だから…」
「大丈夫じゃないだろ。
酷い顔色してるよ。」
マイクは、ローズを車に載せ、家まで送り届けた。
「君は、ケリーとは仲が良かったの?」
「え…それは……」
「良かったら、ケリーの話を聞かせてもらえないかな?
それに、君の身体も心配だから…」
今まで言葉さえ交わしたことのなかった憧れのマイクが、今、自分の部屋にいることが、まるで夢のように感じられた。
だが、そんな嬉しさよりも、これも宝石との取引のせいではないかと思うと、罪悪感の方が遥かに大きくローズの胸にのしかかった。
次の日の朝、ローズは職場で信じられない話を聞いた。
ケリーが一昨日の朝、死んでいるのが発見されたという。
(う、嘘だわ…そんなこと…)
ローズの頭に、あの日の夢が…宝石と交わした会話がまざまざと思い出される。
(まさか…まさか、あの宝石が……)
ローズは、その考えを必死で頭から払い除けた。
そんなことがあるはずはない。
たまたま偶然が重なっただけなのだ…と。
その日の昼間、教会でケリーの葬儀が執り行われ、ローズやソフィ、その他の友人達も参列した。
「ミッシェル…!
ケリーは、なぜこんなことに…?」
ソフィが、ケリーの妹のミッシェルに聞いた所によると、ケリーは何の前触れもなく死んだのだという。
なかなか起きて来ないケリーを不審に思い、ミッシェルが見に行くと、すでにケリーは事切れていたのだということだった。
柩の中のケリーは、まるで眠っているようにやすらかな表情を浮かべていた。
「ケリー……」
ケリーの亡骸を前にして、ローズの涙は止まらなかった。
様々な想いがローズの胸に去来し、ローズは軽い眩暈を感じる。
「君…大丈夫?」
よろめいたローズの身体を逞しい腕が捕えた。
「あ、ありがとう、マイク…」
「なぜ、僕の名前を?」
「あ…ごめんなさい。
私…あなたの家の近所に住んでるの。
それに、ケリーとはクラスメイトだったから…あの、何度かあなた方を見かけたことがあって…」
「そうだったの…じゃあ、送るよ。」
「いえ、良いのよ。
私なら大丈夫だから…」
「大丈夫じゃないだろ。
酷い顔色してるよ。」
マイクは、ローズを車に載せ、家まで送り届けた。
「君は、ケリーとは仲が良かったの?」
「え…それは……」
「良かったら、ケリーの話を聞かせてもらえないかな?
それに、君の身体も心配だから…」
今まで言葉さえ交わしたことのなかった憧れのマイクが、今、自分の部屋にいることが、まるで夢のように感じられた。
だが、そんな嬉しさよりも、これも宝石との取引のせいではないかと思うと、罪悪感の方が遥かに大きくローズの胸にのしかかった。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる