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崩れた神殿
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「え……あ……あ、僕は、カルフ…」
「ふ~ん…で、なんでこんなとこにいんの?」
「あ…あの、僕は宿屋の主人に魔物退治を頼まれて……」
「あ、あぁ、あんたなのね。
私の他に頼まれた剣士って。
……なんだか、あんまり強くなさそうね…
それに、あんたが遅いからもうほとんどの魔物は私がやっつけちゃったし~…」
そう言って女性が指差した先には、なにやら黒いものが山のようになっていた。
いやな予感を感じながら、カルフが恐る恐る近付くと、そこには黒焦げになったものや身体をバラバラにされた魔物の亡骸が山積みされていた。
「やっぱり、こういう時には風の魔法はだめね。
グロいもの。
だから、途中からは火で焼いてやったわ。
そうね…多分、魔物の九割はやっつけたと思う。
これだけ倒せばもう良いでしょう。
さ、帰りましょうよ。」
「な、なにを!
僕はまだなにもしちゃいない!」
「良いわよ、あんたも一緒に戦ったことにしといてあげるから。
さ…」
カルフは、腕を掴もうとした女性の手を払いのけた。
「剣士としてそんな卑怯な真似は出来ない!
それに言っておくが、僕は遅れてはいない。
時間通りに指定された場所にいた。
でも、君がいないから、一人で入って来たんだ。」
「……カールだっけ?あんた、なんだか面倒臭い男ね。」
「カールじゃない!
僕はカルフだ!」
(なんだ、この女。
美人だと思ったら、すっごく性格悪いじゃないか!
……ま、確かに魔法の腕もすごいのかもしれないけど…)
「なに?私の顔に何かついてる?
それとも、惚れた?」
「バ、バ、バ、馬鹿なことを言うな!
と、とにかく、僕は頼まれたことをやる!
君が九割を仕留めたのなら、あとの一割をやっつけてやる!
一匹残らずな!!」
「……はいはい、わかりました。
じゃあ、私は飲んで待ってるから、一匹残らず倒したら教えてね~
あ、暗くなるまでにはやっつけてよね。
もうお酒も残り少ないんだから…」
「くぅ……」
女性の無礼な態度に、カルフは拳を握り締め、肩を震わせて懸命に耐えた。
(最悪だ…ちょっとばかり美人だからってこの女、調子に乗りやがって…)
「どぅりゃああーーーーー!」
カルフは、女への苛立ちを晴らすように、魔物をみつけては切り倒していった。
「ふ~ん…で、なんでこんなとこにいんの?」
「あ…あの、僕は宿屋の主人に魔物退治を頼まれて……」
「あ、あぁ、あんたなのね。
私の他に頼まれた剣士って。
……なんだか、あんまり強くなさそうね…
それに、あんたが遅いからもうほとんどの魔物は私がやっつけちゃったし~…」
そう言って女性が指差した先には、なにやら黒いものが山のようになっていた。
いやな予感を感じながら、カルフが恐る恐る近付くと、そこには黒焦げになったものや身体をバラバラにされた魔物の亡骸が山積みされていた。
「やっぱり、こういう時には風の魔法はだめね。
グロいもの。
だから、途中からは火で焼いてやったわ。
そうね…多分、魔物の九割はやっつけたと思う。
これだけ倒せばもう良いでしょう。
さ、帰りましょうよ。」
「な、なにを!
僕はまだなにもしちゃいない!」
「良いわよ、あんたも一緒に戦ったことにしといてあげるから。
さ…」
カルフは、腕を掴もうとした女性の手を払いのけた。
「剣士としてそんな卑怯な真似は出来ない!
それに言っておくが、僕は遅れてはいない。
時間通りに指定された場所にいた。
でも、君がいないから、一人で入って来たんだ。」
「……カールだっけ?あんた、なんだか面倒臭い男ね。」
「カールじゃない!
僕はカルフだ!」
(なんだ、この女。
美人だと思ったら、すっごく性格悪いじゃないか!
……ま、確かに魔法の腕もすごいのかもしれないけど…)
「なに?私の顔に何かついてる?
それとも、惚れた?」
「バ、バ、バ、馬鹿なことを言うな!
と、とにかく、僕は頼まれたことをやる!
君が九割を仕留めたのなら、あとの一割をやっつけてやる!
一匹残らずな!!」
「……はいはい、わかりました。
じゃあ、私は飲んで待ってるから、一匹残らず倒したら教えてね~
あ、暗くなるまでにはやっつけてよね。
もうお酒も残り少ないんだから…」
「くぅ……」
女性の無礼な態度に、カルフは拳を握り締め、肩を震わせて懸命に耐えた。
(最悪だ…ちょっとばかり美人だからってこの女、調子に乗りやがって…)
「どぅりゃああーーーーー!」
カルフは、女への苛立ちを晴らすように、魔物をみつけては切り倒していった。
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