104 / 289
昔話
4
しおりを挟む
「た…大変です!なにやら町の方から明かりが…もしかしたら追っ手かもしれません!」
血相を変えて走り込んで来たたクラウドが、有り難くない知らせを伝えた。
「ヤバイ!逃げなきゃ!」
「とりあえず、森の反対側へ行ってみましょう!」
クラウドが慌ててヴェリエルの縄を解き、カルフが焼きあがった野菜を袋に詰め込むと、四人はそそくさをその場を立ち去った。
*
「それにしてもあんたって大嘘つきだね…それも、天使を騙すなんてさ…」
アルルの咎めるような視線がカルフの心を突き刺す。
「し、仕方ないだろ!
あいつの正体がわからなかったんだから。
天使たっていろんな奴がいるだろうし、弱みをみせたらつけこまれそうだし。
……そもそもこんなことになったのは誰のせいだと思ってるんだ!?
誰のせいで僕がこんなへんてこりんな恰好をしてるかわかってるのか!」
「意外と似合ってるよ…」
アルルは横目でカルフを見やり、口許を押さえて肩を震わせた。
(あぁぁ、なんの因果で……)
何を言っても動じないアルルにカルフは怒る気さえ失い、とぼとぼと重い足をひきずる。
「ねぇねぇ…足が痛い。
どこかで休もうよ。」
「だめだよ。
追っ手がかかってるかもしれないんだから、早く逃げなきゃ。
そうでなくても、クラウドさん達からずいぶん遅れてしまってるんだ。」
「あんたがもたもたしてるからだろ!」
「そんなこと言うなら、どれだけ重いかこの野菜の袋を持ってみろよ!
それでなくても、今日はあいつをおびき出すためにどれだけ疲れたことか…」
野菜で膨らんだ袋は、ずっしりとカルフの肩に食い込んでいた。
「あ~、やだやだ。
愚痴っぽい男って最低…
ねぇねぇ、おぶってくれない?
私、本当に足が痛くて…」
「おあいにくさま!僕の背中は野菜達でもう満員なんだ!」
その返答に、アルルは顔をしかめ、舌を打った。
血相を変えて走り込んで来たたクラウドが、有り難くない知らせを伝えた。
「ヤバイ!逃げなきゃ!」
「とりあえず、森の反対側へ行ってみましょう!」
クラウドが慌ててヴェリエルの縄を解き、カルフが焼きあがった野菜を袋に詰め込むと、四人はそそくさをその場を立ち去った。
*
「それにしてもあんたって大嘘つきだね…それも、天使を騙すなんてさ…」
アルルの咎めるような視線がカルフの心を突き刺す。
「し、仕方ないだろ!
あいつの正体がわからなかったんだから。
天使たっていろんな奴がいるだろうし、弱みをみせたらつけこまれそうだし。
……そもそもこんなことになったのは誰のせいだと思ってるんだ!?
誰のせいで僕がこんなへんてこりんな恰好をしてるかわかってるのか!」
「意外と似合ってるよ…」
アルルは横目でカルフを見やり、口許を押さえて肩を震わせた。
(あぁぁ、なんの因果で……)
何を言っても動じないアルルにカルフは怒る気さえ失い、とぼとぼと重い足をひきずる。
「ねぇねぇ…足が痛い。
どこかで休もうよ。」
「だめだよ。
追っ手がかかってるかもしれないんだから、早く逃げなきゃ。
そうでなくても、クラウドさん達からずいぶん遅れてしまってるんだ。」
「あんたがもたもたしてるからだろ!」
「そんなこと言うなら、どれだけ重いかこの野菜の袋を持ってみろよ!
それでなくても、今日はあいつをおびき出すためにどれだけ疲れたことか…」
野菜で膨らんだ袋は、ずっしりとカルフの肩に食い込んでいた。
「あ~、やだやだ。
愚痴っぽい男って最低…
ねぇねぇ、おぶってくれない?
私、本当に足が痛くて…」
「おあいにくさま!僕の背中は野菜達でもう満員なんだ!」
その返答に、アルルは顔をしかめ、舌を打った。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる