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番人の館
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*
(……ん?)
その晩、僕は人の話し声と物音で目を覚ました。
わずかに開いた扉の隙間から外をのぞき見ると、クリフがあの男と一緒に階段を降りる所だった。
(まさか……!)
僕は二人にみつからないように、そっと後を尾行した。
二人は階段を降り、長い廊下を歩いて屋敷の奥へ向かった。
(……あそこか!?)
やはり、僕の推測通りだった。
男が手に持った鍵で扉を開いたが、扉が影となり、その先がどうなっているのかは見えなかったけど、気配からしてそこはやはり部屋ではなく外に通じてるように感じられた。
「では……」
男がクリフを扉の向こうへ行くように手振りで促し、クリフは黙ってそれに従った。
クリフの様子からして、特に危険なものはないように感じられた。
霧が出ていたら…或いは、なにか不穏なものがあれば、クリフがあんな風に少しも躊躇わず外へ出て行くはずがない。
では、あの扉は外への安全な脱出口のようなもの…?
ばたんという扉の閉じる音で、僕は物思いから覚めた。
「ま、待って!」
「ブラッドさん!」
男は、僕を見て酷く驚いたような顔を向けた。
「ここは外へ続いているんですね?
ドナルドやミッシェルもここから出て行ったんですね?
なぜ、僕は出してもらえないんです?
僕も帰りたいんです。
お願いです!ここを開けて下さい!」
僕の必死の叫びにも、男はただ首を振るだけだった。
「どうしてなんです!?
お金なら…今は持ち合わせがありませんが、家に着いたらお礼は必ずさせていただきます。
だから…」
「……まだ夜中ですよ。
さぁ、部屋に戻ってお眠りなさい。
私も眠ります。」
男は、僕の言葉を無視して、さっさと自分の部屋に戻って行く。
僕は力の限りに扉を叩き、ドアノブを廻し続けたが、扉はびくともしない。
扉が頑丈なことを知っているのか、男は騒ぐ僕をほったらかして部屋に入ってしまった。
(なぜ、僕だけ……)
ひとしきり暴れて…それが無駄な行為だと悟った僕は、情けない気持ちで扉の前に膝を着き、すごすごと部屋に戻った。
(きっと、皆、あそこから家に戻ったんだ…
もしかしたら、外に誰かこのあたりの地理に詳しい者がいて道案内をしてくれるんだろうか?
だけど、なんで僕だけ帰してもらえないんだろう?
あの男の目的は一体何なんだ?)
*****
その後も真っ白な霧は少しも晴れることはなく、毎日のように迷った者が屋敷を訪れ、そしてあの扉から出て行った。
僕は何度かその人と一緒に外へ出ようと試みたが、男の力にはまるで歯が立たず、外の様子をのぞき見る事さえ出来なかった。
(……ん?)
その晩、僕は人の話し声と物音で目を覚ました。
わずかに開いた扉の隙間から外をのぞき見ると、クリフがあの男と一緒に階段を降りる所だった。
(まさか……!)
僕は二人にみつからないように、そっと後を尾行した。
二人は階段を降り、長い廊下を歩いて屋敷の奥へ向かった。
(……あそこか!?)
やはり、僕の推測通りだった。
男が手に持った鍵で扉を開いたが、扉が影となり、その先がどうなっているのかは見えなかったけど、気配からしてそこはやはり部屋ではなく外に通じてるように感じられた。
「では……」
男がクリフを扉の向こうへ行くように手振りで促し、クリフは黙ってそれに従った。
クリフの様子からして、特に危険なものはないように感じられた。
霧が出ていたら…或いは、なにか不穏なものがあれば、クリフがあんな風に少しも躊躇わず外へ出て行くはずがない。
では、あの扉は外への安全な脱出口のようなもの…?
ばたんという扉の閉じる音で、僕は物思いから覚めた。
「ま、待って!」
「ブラッドさん!」
男は、僕を見て酷く驚いたような顔を向けた。
「ここは外へ続いているんですね?
ドナルドやミッシェルもここから出て行ったんですね?
なぜ、僕は出してもらえないんです?
僕も帰りたいんです。
お願いです!ここを開けて下さい!」
僕の必死の叫びにも、男はただ首を振るだけだった。
「どうしてなんです!?
お金なら…今は持ち合わせがありませんが、家に着いたらお礼は必ずさせていただきます。
だから…」
「……まだ夜中ですよ。
さぁ、部屋に戻ってお眠りなさい。
私も眠ります。」
男は、僕の言葉を無視して、さっさと自分の部屋に戻って行く。
僕は力の限りに扉を叩き、ドアノブを廻し続けたが、扉はびくともしない。
扉が頑丈なことを知っているのか、男は騒ぐ僕をほったらかして部屋に入ってしまった。
(なぜ、僕だけ……)
ひとしきり暴れて…それが無駄な行為だと悟った僕は、情けない気持ちで扉の前に膝を着き、すごすごと部屋に戻った。
(きっと、皆、あそこから家に戻ったんだ…
もしかしたら、外に誰かこのあたりの地理に詳しい者がいて道案内をしてくれるんだろうか?
だけど、なんで僕だけ帰してもらえないんだろう?
あの男の目的は一体何なんだ?)
*****
その後も真っ白な霧は少しも晴れることはなく、毎日のように迷った者が屋敷を訪れ、そしてあの扉から出て行った。
僕は何度かその人と一緒に外へ出ようと試みたが、男の力にはまるで歯が立たず、外の様子をのぞき見る事さえ出来なかった。
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