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王城からの景色
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「リチャード、久しぶりだね!」
「アズロ!来てくれたのか!
また空に連れてっておくれよ!」
リチャードと呼ばれた子供は、絹糸のような美しい金色の髪をなびかせ、何度もその場で跳ね上がる。
「うん、もちろんだよ。
ちょっと先に用事を済ませて来るから、待ってて。
あ、リチャード…こっちは僕の友人のアレク。」
「リチャード、よろしくな。」
「よろしく。」
二人は、簡単に挨拶を済ませると子供の部屋を出た。
「アズロ、今のチビ助は誰なんだ?
ここにいるってことは、王子か?」
「ううん、王様。」
「な、なんだって!?」
「彼は、このヴァルドの王だよ。」
アズロはこともなげに、そう言った。
「あいつが…王?」
「もちろん、国のことは摂政がやってるんだけどね。
でも、あの子は小さいながらもこの国のことを想ってるんだよ。
素直でとても良い子さ。」
アズロは、ある部屋の前で立ち止まり、その扉をノックした。
「入りたまえ。」
「こんにちは、オズワルドさん。」
「おぉ、アズロじゃないか…」
そう言いながら、中年の男は、アレクのことを訝し気にみつめた。
「そう…今日はこの人のことで来たんです。
彼は、あの森に現れた…」
「異界の者というわけか!?」
アズロは、オズワルドの言葉にゆっくりと頷く。
「そういうことです。
ラムゼルに助言を乞うたところ、時空の歪みが現れるまで待つしかないとのことで…かれこれ一週間程待ってるんですが、一向に現れる兆しがありません。」
「そうだったのか。
して、その他に異変は?」
「それは今のところありません。
彼はアレクと言います。
毎日、時空の歪みを探すばかりで、多少、気が滅入っているようなので、気分転換にと連れて来ました。」
「気分転換、か…
君は相変わらず職務に対する真剣さが足りないようだな。」
アズロは、小さく肩をすくめ、オズワルドは苦笑した。
「まぁ、良い。
アレクとやら…せいぜい気分転換をしていってくれ。」
「あ、ありがとうございます。」
「リチャード、久しぶりだね!」
「アズロ!来てくれたのか!
また空に連れてっておくれよ!」
リチャードと呼ばれた子供は、絹糸のような美しい金色の髪をなびかせ、何度もその場で跳ね上がる。
「うん、もちろんだよ。
ちょっと先に用事を済ませて来るから、待ってて。
あ、リチャード…こっちは僕の友人のアレク。」
「リチャード、よろしくな。」
「よろしく。」
二人は、簡単に挨拶を済ませると子供の部屋を出た。
「アズロ、今のチビ助は誰なんだ?
ここにいるってことは、王子か?」
「ううん、王様。」
「な、なんだって!?」
「彼は、このヴァルドの王だよ。」
アズロはこともなげに、そう言った。
「あいつが…王?」
「もちろん、国のことは摂政がやってるんだけどね。
でも、あの子は小さいながらもこの国のことを想ってるんだよ。
素直でとても良い子さ。」
アズロは、ある部屋の前で立ち止まり、その扉をノックした。
「入りたまえ。」
「こんにちは、オズワルドさん。」
「おぉ、アズロじゃないか…」
そう言いながら、中年の男は、アレクのことを訝し気にみつめた。
「そう…今日はこの人のことで来たんです。
彼は、あの森に現れた…」
「異界の者というわけか!?」
アズロは、オズワルドの言葉にゆっくりと頷く。
「そういうことです。
ラムゼルに助言を乞うたところ、時空の歪みが現れるまで待つしかないとのことで…かれこれ一週間程待ってるんですが、一向に現れる兆しがありません。」
「そうだったのか。
して、その他に異変は?」
「それは今のところありません。
彼はアレクと言います。
毎日、時空の歪みを探すばかりで、多少、気が滅入っているようなので、気分転換にと連れて来ました。」
「気分転換、か…
君は相変わらず職務に対する真剣さが足りないようだな。」
アズロは、小さく肩をすくめ、オズワルドは苦笑した。
「まぁ、良い。
アレクとやら…せいぜい気分転換をしていってくれ。」
「あ、ありがとうございます。」
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