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王城からの景色
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「わぁ~~い!」
アズロに抱かれ、空を舞うリチャードの姿を、アレクは厳しい表情でちらりとみつめた。
「全く、アズロの奴…
大切な王様をあんな高くまで連れて行きやがって。
なにかあったらどうする気だ。」
アレクは、ぶつぶつと独り言を言った。
「アレク様、何か食べるものでもお持ちしましょうか?」
「いや、けっこうだ。
あ、悪いんだが、このジュースをもう一杯もらえるか?」
「はい、すぐにお持ち致します。」
メイドは、アレクに深々と頭を下げ、その場を離れた。
(それにしてもすごい眺めだな…)
尖塔を繋ぐ通路から、下を望むと、そこにはヴァルドの広大な景色が広がっていた。
東にはアレクの迷い込んだ深い森が…
上から見ると、思っていた以上に広い森だということがわかった。
城下町に目を移すと、そこには小箱のような商店や民家が立ち並び、大勢の人々が忙しなく行きかっていた。
南側には緩やかな大河が流れ、その水面が陽の光を浴びて、きらきらと輝く。
(……けっこう良いところだな。)
アレクがしみじみとしているところへ、甲高い歓声を上げるリチャードとアズロがゆっくりと舞い降りた。
「あぁ、面白かった。
やっぱり空は良いな。」
「おまえ、あんな高い所へ上ってなんともないのか?
ここだって、相当高いのに。」
「なんともないよ。
空に上ると、ここから見えないものまで見えるんだよ。
それに、風もずっと気持ち良い。
あぁ、僕もアズロみたいに空を飛べたら良かったのにな…」
晴れやかな顔をしてそう言うリチャードに、アレクは思わず苦笑した。
「わぁ~~い!」
アズロに抱かれ、空を舞うリチャードの姿を、アレクは厳しい表情でちらりとみつめた。
「全く、アズロの奴…
大切な王様をあんな高くまで連れて行きやがって。
なにかあったらどうする気だ。」
アレクは、ぶつぶつと独り言を言った。
「アレク様、何か食べるものでもお持ちしましょうか?」
「いや、けっこうだ。
あ、悪いんだが、このジュースをもう一杯もらえるか?」
「はい、すぐにお持ち致します。」
メイドは、アレクに深々と頭を下げ、その場を離れた。
(それにしてもすごい眺めだな…)
尖塔を繋ぐ通路から、下を望むと、そこにはヴァルドの広大な景色が広がっていた。
東にはアレクの迷い込んだ深い森が…
上から見ると、思っていた以上に広い森だということがわかった。
城下町に目を移すと、そこには小箱のような商店や民家が立ち並び、大勢の人々が忙しなく行きかっていた。
南側には緩やかな大河が流れ、その水面が陽の光を浴びて、きらきらと輝く。
(……けっこう良いところだな。)
アレクがしみじみとしているところへ、甲高い歓声を上げるリチャードとアズロがゆっくりと舞い降りた。
「あぁ、面白かった。
やっぱり空は良いな。」
「おまえ、あんな高い所へ上ってなんともないのか?
ここだって、相当高いのに。」
「なんともないよ。
空に上ると、ここから見えないものまで見えるんだよ。
それに、風もずっと気持ち良い。
あぁ、僕もアズロみたいに空を飛べたら良かったのにな…」
晴れやかな顔をしてそう言うリチャードに、アレクは思わず苦笑した。
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