お礼（無謀）企画

テレポート

３

＊



 「わっ！」

 「なんで！？」



 目を丸くして驚くリチャードとアズロに、アレクは満足そうに微笑んだ。



 「えらく遅かったじゃないか。」

 「アレク…なんで、君がここにいるんだ？」

 「全速力で駆けて来たんだ。」

 「まさか、いくら君の足が速くたって、空を飛ぶ僕らより早いわけがない。
どうしたんだい？」

 「……近道を知ってるんだ。」

アレクは片目を瞑って、そう言った。
アズロとリチャードはいまだ驚きから覚められないように、茫然とその場に立ち尽くしていた。



 「何、突っ立ってんだよ。
さ、行くぜ。
リチャード…ラムゼルに会いに行くんだろ？」

 「う、うん、よくわかったね。」

 当然だと言わんばかりに、アレクは大きく頷いた。



 「リチャード…走っちゃだめだよ。」

 「わかってるよ。」

 先を行くリチャードを気にかけながら、アズロはアレクに問いかけた。



 「ねぇ、さっきのことだけど…」

 「さっき？何のことだ？」

アレクは、アズロの質問の意図に気付きながら、わざと知らないふりを決め込んだ。



 「だから、どうしてこんなに早くここに来られたかってことだよ。」

 「なんだ、そのことか、そのことならさっきも言ったはずだ。
 俺は近道を…」

 「あっ！リチャード！
そっちに行っちゃいけない！
そこには底なし沼が！」

 「なんだって！？」

アズロの緊迫した叫び声と同時に、アレクの姿がその場から掻き消えた。
そのことにアズロが驚いている一瞬の間に、アレクはリチャードの間近に現れ、その小さな身体を抱え込んだ。