お礼(無謀)企画

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
282 / 289
テレポート

しおりを挟む




 「ありがとう、アレク…
今のが君の答えだね……」

 「バレちまったら仕方がないな。
その通り。
 俺は魔導師だ。
 場所から場所への移動が出来る。」

 「そうだったのか…
君みたいな能力を持った人は多いの?」

 「あぁ…それなりにいるぜ。」

 「……すごい世界だね。
 君みたいな能力を持った者が大勢いるなんて…
そんな国と戦争になったら、セレスはひとたまりもないな。」

アズロの言葉に、アレクは苦笑する。



 「幸い、俺達の世界では戦争がないからな。
 俺達は、人や荷物を運んだり、けっこうつまんないことをして重宝がられてるんだ。」

 「そう…羨ましい世界だな。」

 「ねぇねぇ、アレク…今のはどうやったんだい?
 僕には君が急に現れたように見えたけど…」

アレクはリチャードに小さく微笑むと、彼の身体を抱きかかえるようにしてその場から消えた。



 「アレク!どこに…あっ!」

あたりを見渡していたアズロの前に、再びアレクが現れたと思ったら、瞬きひとつしない間に、アズロはラムゼルの前にいた。



 「すごいや!」

 「あぁ、びっくりした。
こんなに早いんじゃ、僕より早くにここに来られるはずだね。」



 『騒々しいな。
おや、リチャードじゃないか。』

 「ラムゼル!ひさしぶりだね。」

 『本当にひさしぶりだな。
 元気だったか?』

 「うん、元気だよ。
 今日はアズロに空を飛ばせてもらって、アレクには瞬間移動をしてもらったんだ。」

 『瞬間移動…?
そういえば、さっきから東の方に異変を感じるが、時空の歪みではないか?』

 「なんだって!?」

 三人は、ラムゼルの言う通りに、東に向かって駆け出した。



 「あ!あそこにおかしなものが!」

リチャードの指差す先には、空気の揺らめきがあった。



 「あ、あれだ!
 俺が見たのは確かにあれだ!」

 「アレク、急いで!
あの中に飛び込むんだ!」

 「あぁ…アズロ…世話になったな!
リチャード…またな!」

 慌ただしく挨拶を済ませると、アレクは空気の揺らめきに飛び込んだ。



 「あっ!」

 二人の見守る中…アレクの姿は忽然と消え失せ、それからほどなくして、空気の揺らめきも掻き消えた。



 「……行っちゃったね。」

 「そうだね。
……でも、またいつか会えるよ。
さ、それじゃあ、僕達もそろそろお城に帰ろうか…」

アズロは、何もなくなったその場所をもう一度、名残惜しそうに眺め…
リチャードの身体を抱いて、空へ舞い上がった。



 (アレク…楽しい時間をありがとう…)



 ~fin.

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

処理中です...