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不運な幸運
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*
(ミューラントの奴…ずいぶんと思いきったことをしてくれたものだ…
過去に飛ばすとはな…
しかし、私はツイている…
今がいつかはわからんが、ファーリンドの時代ではなさそうだ。
おそらく、それよりは後の時代なのだろう…
しかも、早速、リュタンの村を出られるとはな…
運は私に味方したようだ…)
*
*
*
「じゃあな、リッキー!
また、また月曜にな!」
「…なぁ、チャールス…
悪いことは言わない…
その石は早くに捨てちまった方が良いって!
何かあったらどうすんだ?!」
「…おまえは本当に心配性だな…
何もないさ。」
チャールスは笑いながら、アパートの階段を上って行く。
不安な気持ちを抱えながらも、今は何を言っても無駄なような気がして、リッキーは仕方なくその場を立ち去った。
*
……月曜の朝が来た。
(…遅い…
チャールスの奴…何やってんだ?)
リッキーは、掛け時計の文字盤を見てイライラとした様子で今度は窓の傍に歩く。
窓を開け、通りを見降ろすが、そこにはやはりチャールスの姿はない。
いつもなら、仕入れに行く日は通りからチャールスがリッキーの部屋に向かって声をかける。
そして、二人で一緒に出掛けるのが常なのだが、今日はいつもの時間を過ぎてもチャールスは来なかった。
二人で仕事を始めてから半年程になるが、こんなことは今まで一度もなかったことだ。
(……!!
ま……まさか、あの石が、何か?)
不意にわきあがった不安に、リッキーの心臓から送り出される血が一気にその量を増した。
「チャールス!!」
リッキーは、すぐさま部屋を飛び出した。
階段を駆け下り、通りに出たその時…
「リッキー!
すまないな、遅れちまって…」
そこには笑顔のチャールスが立っていた。
「チャールス!無事だったのか!!」
「無事…?
あぁ、俺ならこの通りピンピンしてるぜ。」
「う…チャールス…なんだ、おまえ…」
リッキーが顔をしかめ、手で空気を払う仕草をした。
「あ、やっぱり、まだ臭うか?
昨夜はとにかく飲み過ぎちまってな…
気が付いたら、もうこんな時間で…
これでも、あわてて酒場から駆け付けたんだぜ。」
「じゃあ、何か?
今まで酒場で酔いつぶれて遅れたっていうのか?」
「すまん、リッキー!
許してくれよ…
あ、そうだ、これをおまえに…」
(ミューラントの奴…ずいぶんと思いきったことをしてくれたものだ…
過去に飛ばすとはな…
しかし、私はツイている…
今がいつかはわからんが、ファーリンドの時代ではなさそうだ。
おそらく、それよりは後の時代なのだろう…
しかも、早速、リュタンの村を出られるとはな…
運は私に味方したようだ…)
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「じゃあな、リッキー!
また、また月曜にな!」
「…なぁ、チャールス…
悪いことは言わない…
その石は早くに捨てちまった方が良いって!
何かあったらどうすんだ?!」
「…おまえは本当に心配性だな…
何もないさ。」
チャールスは笑いながら、アパートの階段を上って行く。
不安な気持ちを抱えながらも、今は何を言っても無駄なような気がして、リッキーは仕方なくその場を立ち去った。
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……月曜の朝が来た。
(…遅い…
チャールスの奴…何やってんだ?)
リッキーは、掛け時計の文字盤を見てイライラとした様子で今度は窓の傍に歩く。
窓を開け、通りを見降ろすが、そこにはやはりチャールスの姿はない。
いつもなら、仕入れに行く日は通りからチャールスがリッキーの部屋に向かって声をかける。
そして、二人で一緒に出掛けるのが常なのだが、今日はいつもの時間を過ぎてもチャールスは来なかった。
二人で仕事を始めてから半年程になるが、こんなことは今まで一度もなかったことだ。
(……!!
ま……まさか、あの石が、何か?)
不意にわきあがった不安に、リッキーの心臓から送り出される血が一気にその量を増した。
「チャールス!!」
リッキーは、すぐさま部屋を飛び出した。
階段を駆け下り、通りに出たその時…
「リッキー!
すまないな、遅れちまって…」
そこには笑顔のチャールスが立っていた。
「チャールス!無事だったのか!!」
「無事…?
あぁ、俺ならこの通りピンピンしてるぜ。」
「う…チャールス…なんだ、おまえ…」
リッキーが顔をしかめ、手で空気を払う仕草をした。
「あ、やっぱり、まだ臭うか?
昨夜はとにかく飲み過ぎちまってな…
気が付いたら、もうこんな時間で…
これでも、あわてて酒場から駆け付けたんだぜ。」
「じゃあ、何か?
今まで酒場で酔いつぶれて遅れたっていうのか?」
「すまん、リッキー!
許してくれよ…
あ、そうだ、これをおまえに…」
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