深淵に眠る十字架 The second

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
64 / 355
再会

しおりを挟む
「そりゃあ一生懸命働かなきゃ、子供を六人も育てていけないもんな。」

「リンク、ランディさんのお子さんは五人ですよ。」

「それが、もうじき六人目が生まれるんだってさ!」

「なんだって~?!」

トレルのその声をきっかけに、その場の皆が笑った。



「こんなに笑ったのが久しぶりだ。
来てくれてありがとう。
……だが、あんたがここへ来たってことは、まさか、ルシファーが……?!」

「いや、違う…その逆だ。
何もなさすぎて退屈で、それで気まぐれにあんたらの顔を見たくなっただけなんだ。」

「そうだったのか…良かった…」

「トレル、食事が出来るまで、少し横になってた方が良いのではありませんか?」

「……そうだな。
じゃあ、少しだけ休ませてもらうよ。」

小さくなったトレルの背中を見送りながら、三人は誰も口を開かなかった。



「トレル…別人みたいになってたな…」

「大丈夫なんでしょうか?」

「……良い状況ではなさそうだな…」



「あ、皆さん、お茶もまだでしたね。
今、用意しますから。」

「そんなことはどうでも良い。
それより、トレルの病状はどうなんです?」

アズラエルの質問に、イアンの顔が曇った。



「肺をやられてましてね。
時折、ものすごく苦しそうに咳き込むんですよ。
彼は若い頃からへヴィスモーカーでしたからね。」

「弱ってる時に、オルジェスのことで心労を抱えるのは辛いな。
オルジェスの行き先に手掛かりのようなものはないのですか?」

「それが…彼には友達もいなかったはずですから、まるでわからないのです。
出来る事なら、トレルが生きているうちにオルジェスと和解させてやりたいのですが、私も彼を置いてオルジェスを探しにいくわけにはいきませんからね。」

イアンがさらりと口にした「トレルが生きている間に」という言葉に、三人は息を飲んだ。



「……イアンさん、オルジェスは私が探してみます。」

「えっ!本当ですか?」

「ええ…みつけられるかどうかはわかりませんが、やるだけのことはやってみます。」

「ありがとう、アズラエルさん!」

イアンはアズラエルの両手を握りしめ、深く頭を下げた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依
ファンタジー
 氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。  死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。  大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。

少し冷めた村人少年の冒険記 2

mizuno sei
ファンタジー
 地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。  不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。  旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。

勇者召喚の余り物ですが、メイド型アンドロイド軍団で冒険者始めます

水江タカシ
ファンタジー
28歳独身、一般事務の会社員である俺は、勇者召喚に巻き込まれて異世界へと転移した。 勇者、聖女、剣聖―― 華やかな肩書きを持つ者たちがもてはやされる中、俺に与えられたのは聞いたこともないスキルだった。 【戦術構築サポートAI】 【アンドロイド工廠】 【兵器保管庫】 【兵站生成モジュール】 【拠点構築システム】 【個体強化カスタマイズ】 王は落胆し、貴族は嘲笑い、俺は“役立たず”として王都から追放される。 だが―― この世界には存在しないはずの“機械兵器”を、俺は召喚できた。 最初に召喚したのは、クールな軍人タイプのメイド型戦闘アンドロイド。 識別番号で呼ばれる彼女に、俺は名前を与えた。 「今日からお前はレイナだ」 これは、勇者ではない男が、 メイド型アンドロイド軍団と共に冒険者として成り上がっていく物語。 屋敷を手に入れ、土地を拠点化し、戦力を増強しながら、 趣味全開で異世界を生きていく。 魔王とはいずれ戦うことになるだろう。 だが今は―― まずは冒険者登録からだ。

婚約破棄はハニートラップと共に

あんど もあ
ファンタジー
卒業パーティーで、平民の血を引いた子爵令嬢を連れた王太子が婚約者の公爵令嬢に婚約破棄を宣言した! さて、この婚約破棄の裏側は……。

余命僅かな大富豪を看取って、円満に未亡人になるはずでした

ぜんだ 夕里
恋愛
傾きかけた家を救うため、私が結んだのはあまりにも不謹慎な契約――余命いくばくもない大富豪の辺境伯様と結婚し、彼の最期を穏やかに看取ることで莫大な遺産を相続する、というものだった。 しかし、人の死を利用して富を得るなど不正義! そう考えた私が立てたのは、前代未聞の計画。 「そうだ、遺産が残らないくらい贅沢の限りを尽くしてもらえば、すべて丸く収まるじゃない!」

2度死んだ王子は今度こそ生き残りたい

緑緑緑
ファンタジー
王太子ロイは、かつて二度の革命によって祖国を崩壊させてしまった過去を持つ。命を落とすたび、彼はある時点へと巻き戻される。そして今、三度目の人生が静かに幕を開けようとしていた。 ――自分は民を理解しているつもりだった。 だが実際には、その表面しか見えていなかったのだ。 その痛烈な自覚から、物語は動き始める。 革命を回避するために必要なのは、制度でも権力でもない。「人を知る」ことこそが鍵だと、ロイは気付く。 彼はエコール学園での生活を通じ、身分も立場も異なる様々な人間と深く関わっていく。 そこで出会う一人ひとりの想いと現実が、やがて国の未来を大きく左右していくことになるとは、この時のロイはまだ知らない。

いつまでもドアマットと思うなよ

あんど もあ
ファンタジー
二年前に母を亡くしたミレーネは、後妻と妹が家にやって来てからすっかり使用人以下の扱いをされている。王宮で舞踏会が開催されるが、用意されたのは妹のドレスだけ。そんなミレーネに手を差し伸べる人が……。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

処理中です...