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帰還
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それは、ほんの一瞬の出来事だった…
(……ここは…?)
井戸に飛び込んだベルナールは心の中で強く念じた。
戻りたい!あの時代へ戻りたい…と…
そして、その何秒か後…
(……ついに…
私はついに、戻ったのか…?)
ベルナールがいたのは暗い井戸の底だった。
壁面の煉瓦に手をかけ、一歩一歩慎重に上っていく…
上った先は真っ暗な部屋だった。
目を凝らしながら歩いて行くと、ベルナールは扉に突き当たった。
鍵のかかっていない扉を開け、さらに進むと樽らしきものが手に触れた。
(……ここはあの葡萄酒の蔵…
つまりは、ボーランジェ家の別荘…!)
葡萄酒の蔵を抜け、さらに進むと階段があった。
この場所がボーランジェの別荘であることは間違いないと、ベルナールは実感した。
階段を上った先は、ベルナールの考え通り、ボーランジェの別荘だった。
しかし、薄明かりの中に見えたその部屋は、先程とは違い、至る所に埃が積もり、家具や絨毯はすっかり朽ち果てていた。
ベルナールの胸は高鳴った。
この様子から察すると、未来へ来たことは明らかなのだから。
(今はいつなんだ?
私は元の時代に戻れたのか?)
ベルナールは別荘を出た。
靴をはいてないことも忘れ、森の中を駆け抜けた。
*
「……そうか、ベルナールはついに時の奈落を使ったのか…」
ジェロームは、グラスの葡萄酒を一気に飲み干した。
「最後くらい会いに来てくれれば良いものを…
冷たい男だな…」
ジェロームが遠い目をして呟く…
「チャンスは今しかないと思われたんですよ、きっと。」
「そうかな…」
「ええ、きっとそうです。
ベルナール様はジェローム様を誰よりも愛しておいででしたから…」
「……うまいことを言いおって…まぁ、良い。
それで、ボーランジェの娘はどうした?」
「見ていたわけではありませんが…
女の叫び声がしてそれから急に静かになったんで見に行くと、二人共いなくなってたんです。
井戸の傍にベルナール様の靴がありましたから、ベルナール様が飛びこみ、女はそれを見て発作的に飛びこんだのだと思いますよ。」
「馬鹿な女だ…
一人娘をなくして、ボーランジェはさぞがっかりするだろうな…」
「それを言うなら、クシュネルもですね。
これからは、ベルナール様のことを口実にあなたに金をせびることも出来ませんし、せっかくボーランジェ家との繋がりが出来ると思ってたのがそれもなくなってしまったのですからな。」
(……ここは…?)
井戸に飛び込んだベルナールは心の中で強く念じた。
戻りたい!あの時代へ戻りたい…と…
そして、その何秒か後…
(……ついに…
私はついに、戻ったのか…?)
ベルナールがいたのは暗い井戸の底だった。
壁面の煉瓦に手をかけ、一歩一歩慎重に上っていく…
上った先は真っ暗な部屋だった。
目を凝らしながら歩いて行くと、ベルナールは扉に突き当たった。
鍵のかかっていない扉を開け、さらに進むと樽らしきものが手に触れた。
(……ここはあの葡萄酒の蔵…
つまりは、ボーランジェ家の別荘…!)
葡萄酒の蔵を抜け、さらに進むと階段があった。
この場所がボーランジェの別荘であることは間違いないと、ベルナールは実感した。
階段を上った先は、ベルナールの考え通り、ボーランジェの別荘だった。
しかし、薄明かりの中に見えたその部屋は、先程とは違い、至る所に埃が積もり、家具や絨毯はすっかり朽ち果てていた。
ベルナールの胸は高鳴った。
この様子から察すると、未来へ来たことは明らかなのだから。
(今はいつなんだ?
私は元の時代に戻れたのか?)
ベルナールは別荘を出た。
靴をはいてないことも忘れ、森の中を駆け抜けた。
*
「……そうか、ベルナールはついに時の奈落を使ったのか…」
ジェロームは、グラスの葡萄酒を一気に飲み干した。
「最後くらい会いに来てくれれば良いものを…
冷たい男だな…」
ジェロームが遠い目をして呟く…
「チャンスは今しかないと思われたんですよ、きっと。」
「そうかな…」
「ええ、きっとそうです。
ベルナール様はジェローム様を誰よりも愛しておいででしたから…」
「……うまいことを言いおって…まぁ、良い。
それで、ボーランジェの娘はどうした?」
「見ていたわけではありませんが…
女の叫び声がしてそれから急に静かになったんで見に行くと、二人共いなくなってたんです。
井戸の傍にベルナール様の靴がありましたから、ベルナール様が飛びこみ、女はそれを見て発作的に飛びこんだのだと思いますよ。」
「馬鹿な女だ…
一人娘をなくして、ボーランジェはさぞがっかりするだろうな…」
「それを言うなら、クシュネルもですね。
これからは、ベルナール様のことを口実にあなたに金をせびることも出来ませんし、せっかくボーランジェ家との繋がりが出来ると思ってたのがそれもなくなってしまったのですからな。」
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