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さらなる復讐

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 「ベルナール…どこか、行ってたのか?」

しばらくして、部屋に戻ったベルナールに、オルジェスが声をかけた。



 「……ちょっと気晴らしに町の方までな。」

 「……そうか。
ベルナール、疲れてなければワインでも飲まないか?」

 「……そうだな。
では、少しいただこうか…」

 二人はテーブルを挟んで差し向かい、ゆっくりとワイングラスを傾ける。



 「ベルナール、あんた、なんで地下にあんな部屋があるってことを知ってたんだ?」

 「……てっきりおまえも知ってるのかと思っていたよ。
あの部屋は、エドガーの隠し部屋でな。
お気に入りとの逢瀬に使ったり、気に食わない奴を監禁したり拷問したりしていた場所だそうだ。
あの古井戸には……何人かの悪魔や人間が眠っていると言っていた。」

 「そうだったのか…エドガーはあんたのことをすごく気に入っていたからな。
 『おまえは兄貴にはまだとても敵わんな』ってよく言われたよ。」

 「……エドガーがそんなことを……」

ベルナールは失笑し、グラスに残ったワインを飲み干した。



 「あそこには、エドガーの宝石や金も保管されている。
 今後のために持ち出しておこう。」

 「ベルナール、これからどうするんだ?
もうここを出るのか?」

 「そうだな…ここにいても仕方がないし、ルークのことも気になる。
 近いうちにロートレアに戻ってみよう。
……ところで、オルジェス…身体の様子はどうだ?」

 「あぁ、なんだか傷の治りも早くなったような気がするよ。」

 「そうではない…オルジェス……おまえ、変身は出来るか?」

 「変身……?」

 小首を傾げるオルジェスの前で、ベルナールは立ち上がった。
オルジェスがみつめるその前で、ベルナールの姿は一瞬にして真っ黒な豹に変わった。



 「す…すっげぇ!!」

オルジェスは、そう言ったまま、放心したように黒い豹をみつめ続ける。
すると、オルジェスが瞬き一つをしたかしないかのうちに、ベルナールの姿は元の姿に戻っていた。



 「ベルナール、すごいじゃないか!
それ、どうやるんだ!?」

 「……ただ、なりたいものを頭の中でイメージするだけだ。
 上級悪魔の力を得れば、こんなことは容易く出来る。
 瞬間移動も今までより長い距離を飛ぶことが出来るようになるし、エドガーのように誰か他の者を伴なって飛ぶことも出来るようになる。
おまえにも出来るはずだ…やってみろ。」

 
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