深淵に眠る十字架 The second

ルカ(聖夜月ルカ)

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復讐の連鎖

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ルークは街道沿いを全速力で走り続ける。
たまにすれ違う人々は、血で染まったルークの服を見て驚いたような顔をしたが、そんなことにはかまわずにルークは走り続け、通りがかった乗合馬車に乗りこんだ。



 「あんた…一体、どうしたんだい、その格好は!」

ルークは身体をかがめ、苦しげに眉間に皺を寄せる。



 「……チンピラ風の男達に囲まれて…
それで…僕……」

 「大丈夫なのか!?
ずいぶん血が出てるようだが…」

 「なんとか…大丈夫です…
宿屋に戻れば兄弟達がいるので…」

 「そうか…そいつは酷い目にあったな。しっかりしろよ。
 着いたらすぐに医者にみてもらった方が良いぞ。
 何かあったらすぐに言えよ。」

 「ありがとうございます…」

 乗り合わせた乗客達は、皆、ルークに同情し、親切にしてくれた。
ルークは具合が悪いふりを装い、深く俯き目を閉じる。
そんなルークのことを気遣い、乗客達はルークに話しかけることもせず、やがて、夕刻近くになって馬車は町に着いた。



 *




 「大丈夫か?
 俺も宿まで着いていってやろうか?」

 「いえ…一人で大丈夫です。
 本当にありがとうございました。」

 弱々しい声でそう言うと、ルークはそろそろと歩き出した。



 宿に着いたルークは、驚く宿の主人にまた同じ嘘を吐き、哀れな被害者を装った。
 部屋に戻り、ルークは汚れた身体を洗い流し服を着替え、ベッドにその身を横たえる。
 目を閉じたルークの脳裏に浮かぶのはコージーのこと…
彼が死んだと言う事実は、ルークの心に深い傷を与えていた。
 過去の思い出がルークの頬に熱い涙を誘う…
だが、そんな悲しみの感情をそれよりも大きな悔しさが覆い尽くす。



 (僕は、家に火なんて点けてないのに…
 ……そうか…ランディは僕がリュタンの屋敷に火を点けたことを知って……
それで、僕がやったと決めつけたんだな…
僕はもうそんな風に思われてるんだ……家族さえも殺す奴だって…)

 信じてもらえなかったことへの失望感がルークの心を満たし、それはやがて絶望へと姿を変えて行く。



 (それなら、あんたの思う通りの僕になってやるよ…)

ルークは起き上がり、部屋を後にした。
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