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決意
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「なぁ、ルーク…
本当に良かったのか?」
「……良かったって、何のことだい?」
躊躇いがちに放たれたオルジェスの言葉を、ルークは軽く受け流す。
「だから……その、サマンサのこと…」
そう言うと、オルジェスはグラスの酒を飲み干した。
「サマンサの…?」
ルークはオルジェスの言葉に声を上げて笑う。
「なんで笑うんだよ!」
「……気になってるのは、君の方なんじゃないのかい?」
「ど、どういうことだよ!」
慌てるオルジェスを見て、ルークは思わせぶりな笑みを浮かべた。
「……別に…」
「なんだよ、感じ悪いな…
……ルーク…サマンサにあんなことしておいて言えた義理じゃないけど…
もう少しサマンサに優しくしてやれよ。
俺、知ってるんだ…
サマンサが小さい頃からずっとルークのことを好きだったってこと。」
「……だったら、僕だって知ってるよ。
小さい頃のオルジェスがサマンサのことを好きだったってこと…」
「つ、つまらないこと言うなよ!
そんなの子供の頃のことだろ!
サーリックには子供自体そんなにたくさんいなかったし、女の子は特に少なかった。
それに、おまえ達とは兄弟みたいに過ごしてたから、だから…」
「オルジェスは意外と純情なんだな…」
ルークは、オルジェスを一瞥して鼻で笑い、酒瓶を大きく傾けた。
「ルーク……今更こんなこと言ってもどうしようもないことだけど…
サマンサには本当に悪いことをしたと思ってるんだ。
今、思えば、なんであんなことが出来たのか…
きっと、あの時は頭に血が上ってたんだろうな。
……おまえを探してて、そこで思い掛けなくサマンサの顔を見た時…
俺、申し訳なくて合わせる顔がなかったよ。
ルキティアのことは不思議と心が痛まないんだ。
だけど、サマンサに対しては……」
「そうだね……サマンサはなにも悪くないんだもんね…
……なのに、僕達はあんなことを……」
ルークの言葉には感情がこもらず、その視線は空しく宙をさ迷っていた。
「ルーク…おまえ…」
「……オルジェス…僕達はもう後戻りは出来ないよね。
僕らは、暗い闇を知ってしまった。
悪い遊びも覚えたし、悪事もさんざん働いてしまった。
もう昔の僕じゃないんだ。
……サマンサとは住む世界が違う…
なのに、サマンサはそれを認めようとしない。
どんなに酷いことをしても、僕と一緒にいたがる…
昔の僕に戻すっていうんだ。
……そんなこと、無理なのに……」
ルークは持っていた酒瓶を固い床に叩き付けた。
瓶の割れる乾いた音が、酒場の喧騒を一瞬だけ静かにさせる。
すぐに、罵声と共に店の奥から店員が現れ、ルークはその者に向かって銀貨を乱暴に投げつけた。
「なぁ、ルーク…
本当に良かったのか?」
「……良かったって、何のことだい?」
躊躇いがちに放たれたオルジェスの言葉を、ルークは軽く受け流す。
「だから……その、サマンサのこと…」
そう言うと、オルジェスはグラスの酒を飲み干した。
「サマンサの…?」
ルークはオルジェスの言葉に声を上げて笑う。
「なんで笑うんだよ!」
「……気になってるのは、君の方なんじゃないのかい?」
「ど、どういうことだよ!」
慌てるオルジェスを見て、ルークは思わせぶりな笑みを浮かべた。
「……別に…」
「なんだよ、感じ悪いな…
……ルーク…サマンサにあんなことしておいて言えた義理じゃないけど…
もう少しサマンサに優しくしてやれよ。
俺、知ってるんだ…
サマンサが小さい頃からずっとルークのことを好きだったってこと。」
「……だったら、僕だって知ってるよ。
小さい頃のオルジェスがサマンサのことを好きだったってこと…」
「つ、つまらないこと言うなよ!
そんなの子供の頃のことだろ!
サーリックには子供自体そんなにたくさんいなかったし、女の子は特に少なかった。
それに、おまえ達とは兄弟みたいに過ごしてたから、だから…」
「オルジェスは意外と純情なんだな…」
ルークは、オルジェスを一瞥して鼻で笑い、酒瓶を大きく傾けた。
「ルーク……今更こんなこと言ってもどうしようもないことだけど…
サマンサには本当に悪いことをしたと思ってるんだ。
今、思えば、なんであんなことが出来たのか…
きっと、あの時は頭に血が上ってたんだろうな。
……おまえを探してて、そこで思い掛けなくサマンサの顔を見た時…
俺、申し訳なくて合わせる顔がなかったよ。
ルキティアのことは不思議と心が痛まないんだ。
だけど、サマンサに対しては……」
「そうだね……サマンサはなにも悪くないんだもんね…
……なのに、僕達はあんなことを……」
ルークの言葉には感情がこもらず、その視線は空しく宙をさ迷っていた。
「ルーク…おまえ…」
「……オルジェス…僕達はもう後戻りは出来ないよね。
僕らは、暗い闇を知ってしまった。
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もう昔の僕じゃないんだ。
……サマンサとは住む世界が違う…
なのに、サマンサはそれを認めようとしない。
どんなに酷いことをしても、僕と一緒にいたがる…
昔の僕に戻すっていうんだ。
……そんなこと、無理なのに……」
ルークは持っていた酒瓶を固い床に叩き付けた。
瓶の割れる乾いた音が、酒場の喧騒を一瞬だけ静かにさせる。
すぐに、罵声と共に店の奥から店員が現れ、ルークはその者に向かって銀貨を乱暴に投げつけた。
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