78~運命のカード

ルカ(聖夜月ルカ)

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魔導士

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 (まだか…
ディオニシスの亡骸がみつかっても臨時の船を出さんとは、ロージックの者達は一体何を考えているんだ。)

なかなか耳に届かないディオニシスの訃報に、ネストルは焦り苛立っていた。
 体調はまだ完全とは言えなかったが、まるで動きのない状況にネストルは痺れを切らし、一週間もした頃には、無理を言って診療所を退院し城に戻った。



 「父上、私は明日トラニキアに戻ります。」

 「何を…!
おまえはまだ完全に良くなったわけではないのだぞ。
それを無理に退院して来たばかりだというのに、あんな険しい山に登れるはずがないだろう!」

 「しかし、私は探険隊の隊長としての役目が…」

 「そのことなら、タノスとニコラスがしっかりとやってくれている。
おまえは何も心配することはない。」

その言葉に、ネストルは大きく目を見開き、父親の顔を放心したようにじっとみつめた。



 「ニコラス!?
 今、父上はニコラスと申されたのですか?
 副隊長のタノスは当然として、なぜあんな下っ端のニコラスが…」

 「ネストル!弟のことを下っ端等と言うな!
おまえは、あいつがおまえに血を分けるために診療所に駆け付けた時にも頑なに拒んだそうではないか。
ニコラスは、それならば、せめておまえの代わりに何か出来ることがあれば…とまたすぐにトラニキアにとって返したのだぞ。」

 興奮気味に話す父親とは対照的に、ネストルは冷静な顔で、口許だけを僅かに歪ませた。



 「私の代わりにですと?
あののろまなニコラスに、一体、何が出来るというのです?」

 「ネストル!口を慎め!」

 父親が激昂する様子を見ても、ネストルは特に動じる事はなかった。



 「父上、あいつは言ってみれば身分を利用して探険隊に入ったようなもの。
それも、たいした能力がないから、麓の町での雑用任務です。
 私にとってあいつは恥…目の上のたんこぶでしかないのです。
だから、弟だということも伏せているというのに、こんな時にしゃしゃり出て行くとは、なんとあさましい…」

 「馬鹿者!
あいつは、そのことについては何も言ってはおらん。
タノスは事情を知っていることもあるが、ニコラスの誠実な性格を知って、あいつの方から手伝ってほしいと申し出て来たのだ。
おまえは昔からニコラスのことを愚か者のように言うが、あいつはおまえが言う程愚かではない。
 頭も悪くないし、体力もある。
だからこそ探険隊にも入隊出来たのだ。
 麓の町で働いているのも、それが意味のある任務だとわかっているからだ。」

ネストルはその言葉を鼻で笑った。
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