78~運命のカード

ルカ(聖夜月ルカ)

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魔導士

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(どうにもおかしい。
たまたま観光にでかけた先で崖から足を滑らすなど、そうあることではない。
しかも、男は家族から一人離れてその場所へ向かったという事だった。
 家族は、ミロスやソロンとは一面識もないようだが、ならばなぜそんなにも彼らのことを推したのだろう…
なにかある…これには、きっと、何かが…そして、その裏にはおそらくネストル様が…)

リガスは遠くに視線を泳がせながら、物思いに更ける。



 心の奥に仕舞い込んでいたネストルへの疑念を、リガスはセルギオス王に打ち明けた。
 最初はリガスのその言葉に眉をひそめたセルギオスだったが、リガスの話を聞き進めるうちにそれが根も葉もない中傷ではないという事に気付いた。
 言われてみれば確かにおかしいと感じられる事が、次々とセルギオスの頭を過った。
 身内だからということで信じきっていたネストルだったが、一度わきあがった疑念はセルギオスの胸の中に大きく黒い渦を巻いた。
しばらく考えた後、セルギオスはついに決断した。
その疑念を晴らすためにも、ネストルの素行を調査することを。
セルギオスはその役目をリガスに託した。



 (……私の思い違いであれば良いのだが…)



 「リガス様、食事の準備が出来るまで町の中をご案内いたしましょうか?
それとも…」

 「いや…私のことなら気遣わないで下さい。
 好きにさせていただきます。」

リガスはそう言うと立ち上がり、大きな窓から外の景色を眺めた。




 *




 「ネストル様、一体どちらへ行かれるのですか?」

 宿舎を出るとネストルは人気のない倉庫の方へ歩き始め、それを不審に感じたパノスが行き先を訊ねた。
その声にネストルはゆっくりと振り返る。



 「パノス…おまえを見こんで頼みがある。
 私は今からある秘密の任務に就く。
セルギオス王から任じられた大変重要な任務だ。
そのために、誰にも気付かれず魔導師をここに連れて来い。
そして、私が留守をしている間、先程のリガスにそれを悟られないようにするのだ。
……出来るな?」

 倉庫の物影に見を潜めたネストルが低い声でパノスに囁いた。



 「は…はっ!
も、もちろんです!」

 強張った表情でネストルに敬礼をすると、パノスは一目散に走り出した。
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