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妖精からの贈り物
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ジュリアンの落とした黒い玉は、ころころと山の斜面を転がり落ちていく。
(なんだ、これ…)
水を湛えた桶を運ぶ少年の足元にこつんと当たり、種はようやくそこで停まった。
少年は、しゃがんでその種をみつめると、ポケットに入れ、再び重い桶を持って歩き出した。
「母さん!見て!!
さっき、拾ったんだ!
これ、何かの果物の種だよね!」
少年は嬉しそうな顔をして、若い母親の前に先ほどの種を差し出した。
「なんだろうね、私はこんな種は見たことがないよ。」
母親は、種を様々な角度から眺め透かしてから、少年の手に戻した。
「もしかしたら桃じゃないかな?
それともりんごかな?
大きな種だから、きっと大きな果物だよね。
ジョエルは果物が好きだから、早く食べさせてあげたいな!」
「そうだね…
おいしい果物が実ると良いね。」
若い母親は、少年に目に溜まる涙を見られたくなくて、俯いたまま針仕事を続けた。
「果物をたくさん食べたら、ジョエルの病気もきっと良くなるよ。
果物にはビタミンがいっぱいあるんだもんね!」
「そうだね、きっと良くなるさ。
アンリ、ジョエルにもその種を見せておやりよ。」
「うん!」
少年は、部屋を後にした。
(その木が実を付ける頃には、ジョエルはもう……)
若い母親は、すりきれたブラウスの袖で、そっと涙を拭った。
「ジョエル!見ろよ、さっきこんな大きな種を拾ったぞ!」
薄暗い部屋の片隅に置かれたベッドの上で、ジョエルは力なく微笑んだ。
「良いか、ジョエル。
果物には元気になる栄養がいっぱい詰まってるんだ。
だから、それを食べたらおまえはきっと元気になれるから、楽しみに待ってろよ!
これは大きな種だからきっと大きな実がなるはずだ。
いつも食べてる木苺なんかよりずっと甘くてうまいはずだぞ!」
「ありがとう、お兄ちゃん。」
*
(どうか一日も早くおいしい実がなりますように。)
アンリは、早速家の表の一番陽の当る場所に種を植え、願いをこめて水を与えた。
ジュリアンの落とした黒い玉は、ころころと山の斜面を転がり落ちていく。
(なんだ、これ…)
水を湛えた桶を運ぶ少年の足元にこつんと当たり、種はようやくそこで停まった。
少年は、しゃがんでその種をみつめると、ポケットに入れ、再び重い桶を持って歩き出した。
「母さん!見て!!
さっき、拾ったんだ!
これ、何かの果物の種だよね!」
少年は嬉しそうな顔をして、若い母親の前に先ほどの種を差し出した。
「なんだろうね、私はこんな種は見たことがないよ。」
母親は、種を様々な角度から眺め透かしてから、少年の手に戻した。
「もしかしたら桃じゃないかな?
それともりんごかな?
大きな種だから、きっと大きな果物だよね。
ジョエルは果物が好きだから、早く食べさせてあげたいな!」
「そうだね…
おいしい果物が実ると良いね。」
若い母親は、少年に目に溜まる涙を見られたくなくて、俯いたまま針仕事を続けた。
「果物をたくさん食べたら、ジョエルの病気もきっと良くなるよ。
果物にはビタミンがいっぱいあるんだもんね!」
「そうだね、きっと良くなるさ。
アンリ、ジョエルにもその種を見せておやりよ。」
「うん!」
少年は、部屋を後にした。
(その木が実を付ける頃には、ジョエルはもう……)
若い母親は、すりきれたブラウスの袖で、そっと涙を拭った。
「ジョエル!見ろよ、さっきこんな大きな種を拾ったぞ!」
薄暗い部屋の片隅に置かれたベッドの上で、ジョエルは力なく微笑んだ。
「良いか、ジョエル。
果物には元気になる栄養がいっぱい詰まってるんだ。
だから、それを食べたらおまえはきっと元気になれるから、楽しみに待ってろよ!
これは大きな種だからきっと大きな実がなるはずだ。
いつも食べてる木苺なんかよりずっと甘くてうまいはずだぞ!」
「ありがとう、お兄ちゃん。」
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(どうか一日も早くおいしい実がなりますように。)
アンリは、早速家の表の一番陽の当る場所に種を植え、願いをこめて水を与えた。
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