あれこれ短編集

ルカ(聖夜月ルカ)

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十字架の楽園

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私は、ジョシュアと共に屋敷を出た。
ジョシュアがかばってくれたけど、鉄条網を乗り越える時にはあちこち怪我をしてしまった。
かといって塀は高過ぎて、どう頑張っても上れそうにない。
こんなに厳重な警戒をされていたのでは、ジョシュアの言うように監獄と間違えられても仕方がない。
痛みをこらえながらやっと鉄条網を乗り越えた時、私は重い罪悪感に苛まされた。
それは、自分でも少し意外なことだった。
外への期待はないわけではなかったのに、どうしてこんな気持ちになってしまうのか…
やっぱりこんなことしちゃいけないんじゃないか…
そんな気がしてその場に立ち尽してる私の腕をジョシュアが強くひっぱり走り出した。
私はもう一度、屋敷の方を振り返り、そしてジョシュアと共に駆け出した。
もしかしたら、私は間違ったことをしようとしているのかもしれないけど、それはやってみないとわからないこと。

もう鉄条網は乗り越えてしまったのだ。
私は、もう、外の世界にいるのだ。
そう考えると、やっとどこかふっきれた気がした。
外に出てからの私達は、息が切れて死ぬんじゃないかと思う程、ずっとずっと走り続けた。
今にも博士達が後ろから追いかけてきそうな気がして、私は全力で走り続けた。







「ここが俺の家だ。」

ジョシュアに連れられて行った先は、今にも崩れ落ちそうなアパートの一室だった。
ジョシュアのお母さんが亡くなってから、博士は研究のためといいながら奥さんの宝石を…そして、家財道具を売り払い、最後には屋敷まで売り払ってしまったという。




「おかげで俺はこんな所に住んでるってわけさ。」

「仕事はしてないの?」

「たまに、港で荷物運びの仕事をしてるけどな。
いつも仕事にありつけるってわけでもないし、食べていくのも大変なんだ。」

薄暗い部屋の中にはベッドと小さなテーブルがあるだけ…
狭く、窓もないその部屋にいると、私は息苦しさを覚えた。



「そうだ、腹減っただろ?
ろくなものはないが、なにか食べようぜ。
傷の手当ても…と思ったが薬が何もない。
ま、このくらいなら大丈夫だろ。」

そう言って立ちあがったジョシュアが持って来たものは、水分が飛び固くなったかび臭いパンと少し白っぽくなったバターだった。
お腹は減っていたけれど、喉が詰まってなかなか飲みこめない。
そんな私に気付いたのか、ジョシュアは水を持ってきてくれた。
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