あれこれ短編集

ルカ(聖夜月ルカ)

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終わりなき旅立ち

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「ローラン…お母様のおっしゃったことは本当のことよ。
だって、あなた、言ってくれたじゃない。
私と暮らすようになって、とても幸せだって…
『僕は世界一の幸せものだ』って言ったこと、もう忘れたの?」

「……そうだったね。
ありがとう、ジョゼット…
これからもずっと一緒に幸せに暮らそうね!」

「そうね…!
もっともっと幸せになって…」

「……ジョゼット…もっと幸せになりたいの?
 今はそんなに幸せじゃないってこと?」

「あ…ごめんなさい。そういう意味じゃないの…
ただ、出来れば、花や小鳥が遊びに来るような所に住んで…
そして、もう少し清潔で綺麗な服を着て…
それから……ううん、なんでもないの。」

ジョゼットは、そっとうつむき口をつぐんだ。



「僕も同じことを考えてたんだ。
ジョゼットをもっと綺麗な所に連れて行ってあげたいって…」

「いいのよ。
私、あなたと一緒にいられたらそれだけで良いの。」

「僕は…絵を描きたい…」

「絵を?…あなた、絵が好きだったの?」

「そうなんだ…
でも、ここの風景は絵を描きたい気分にはなれないよね。
真っ青な空の下で…花畑で微笑む君を思いっきり描いてみたい!」

「花畑…いいわね…
赤や黄色やオレンジの花…青い空に流れる真っ白な雲…
そこで、あなたに絵を描いてもらえたらどんなに素敵かしら…?
そうだわ、私はその花で花の冠をあなたに作ってかぶせてあげる…!
あなたは花の冠をかぶった四葉の王子様よ!」

大袈裟な手振りで興奮したように語るジョゼットの瞳からは大粒の涙がこぼれ落ちていた。



「ジョゼット…」

「……わかってる……
わかってるのよ、そんなこと出来ないって…」

「ジョゼット…」

涙を流すジョゼットの細い肩を、ローランは後ろからそっと抱き締めた。



「ジョゼット…
出来ないことはないんだよ。」

「…え……?ローラン、今、なんて…?」

「今、言ったことは出来るんだ。
……ただ、そこへ辿り着くには…とても高い山を越えないといけないらしいんだ。
そこはただ高いだけじゃなくとても険しい道程なんだって…
ジョゼット…それでも行ってみるかい?」

「本当なの?
本当にそんな所に行けるのなら、私、行ってみたいわ!」

「覚悟はあるかい?
どんなに苦しくても登りきる覚悟が…」

「……ええ…ひとりなら無理かもしれないけど、あなたと一緒だったら、きっとやれると思う…!」

「…じゃあ、行こう!!」


ジョゼットとローランは山を目指して歩き出した。

 
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