あれこれ短編集

ルカ(聖夜月ルカ)

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キリーの店のチョコレート

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「えーーーーっっ!そんなのひどいよ!
だったら、どうしてもっと早く連絡してくれなかったのよ~!!」

マリエは、駅前のモニュメントの前で携帯電話に向かって絶叫する。
しばらくのやりとりがあって、憤慨した表情のマリエが携帯をぱちんと閉じた。



 (……何よっ!ミチルったら……!!)

 今日は、同僚のミチルとショッピングをする約束でここで待ち合わせをしていたのだが、彼氏が急に家に来たので今日の約束をキャンセルしたいという事だった。



 「明日の帰り、ごはんおごるから!
 本当にごめんね!ね!
じゃ、剣ちゃんがいるから切るね!
ごめんね!ごめんね!また明日ね!」

そう言って一方的に切られてしまったのだ。



 (今日、買い物に行こうって言い出したのはミチルの方なのに…
本当は見たいDVDとかあったのにわざわざ出てきたのに…)

ミチルへの不満が次々に湧きあがって来る。

でも、本音を言えば、ミチルの気持ちがわからないでもない。
 剣ちゃんという彼氏とは、メル友サイトで知り合ったらしいのだが、はっきりいってなんでこんなイケ面がミチルを選ぶのかわからない程、剣ちゃんはカッコイイ!
ミチルが見せてくれた剣ちゃんとの2ショットには、正直言ってジェラシーを感じる程だった。

 (私も、ミチルにはそんなに負けてないと思うんだけど…)

そんな想いがよけいにそう感じさせるのかもしれない。
なんでも、二人は共通の趣味が多いらしく、最初からメールでえらく盛りあがってしまったそうだ。
とはいっても、ミチルも相手のルックスには期待はしてないようだったが、それが大当たりだったというわけだ。

それからのミチルは当然ながら剣ちゃんにぞっこん。
それも仕方のないことだ。

 (あんなカッコイイ彼氏だったら…私もミチルと同じことしてしまうかもしれないな…仕方ないか…)

 諦めのついたマリエは一人でブラブラとショーウィンドウをのぞく。
 気持ちの整理はついたと思ったが、やっぱり一人でうろうろしてもなんとなくつまらない…



(今頃、ミチルは剣ちゃんと盛りあがってるんだろうなぁ…
あぁ~あ、なんかテンション下がっちゃたし…
やっぱり帰ろうかなぁ…)

とりあえず、どこかでお茶でも飲んだらもう帰ろう…マリエはそう決め、どこか感じの良いカフェはないものかとあたりを見回した。

 (静かな場所が良いな…)

 賑やかな大通りを抜け、細い裏通りに入った時、マリエは不思議なものを発見した。



 (……キリーの店……
え?……ここってまさか…?!)

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