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邂逅
side 亜里沙
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「亜里沙…一体、何をするつもりなんだ。」
「いいから来て!」
私は兄さんを屋根裏に連れて行った。
屋根裏に上るのは久しぶりだ。
どこか怖いような気がして、あの時…指輪をみつけた日から一度も来ることはなかったけど、そこはあの時とほぼ同じ状態のままだった。
「お兄ちゃん…これ、覚えてる?」
私はあの箱を、兄さんの目の前に差し出した。
「これ…?」
兄さんは、何も憶えていないらしく、箱を手に取り、眺めるばかりだった。
「覚えてない?
ほら、まだ私が小さかった頃…どこでだったか忘れたけど、私がこの箱をみつけて…」
「そうだっけ?」
兄さんはやはり何も思い出さないようだった。
「この箱、中に何か入ってるのはわかるんだけど、蓋が開かなくて…っていうか、どこにも蓋がなかったんだよ。
それで、私、お兄ちゃんに開けてって頼んで…」
兄さんが声にならない声を上げた。
「思い出した!あれは、吉岡さんの別荘に遊びに行った時だ。」
「吉岡さん?」
「あぁ、父さんの友達で、体格が良くて優しいおじさん。
おまえ、吉岡さんのことを『くまおじさん』って呼んでけっこう懐いてたぞ。」
「そうなの?」
私はそのくまおじさんなる人のことがまるで思い出せなかった。
「ここから割と…でもないけど、そこそこ近い山の中の別荘だった。
確か、二泊か三泊はしたはずだ。」
兄さんは懐かしそうに話すけど、そこまで言われても、私にはまるで思い出せない話だった。
「いいから来て!」
私は兄さんを屋根裏に連れて行った。
屋根裏に上るのは久しぶりだ。
どこか怖いような気がして、あの時…指輪をみつけた日から一度も来ることはなかったけど、そこはあの時とほぼ同じ状態のままだった。
「お兄ちゃん…これ、覚えてる?」
私はあの箱を、兄さんの目の前に差し出した。
「これ…?」
兄さんは、何も憶えていないらしく、箱を手に取り、眺めるばかりだった。
「覚えてない?
ほら、まだ私が小さかった頃…どこでだったか忘れたけど、私がこの箱をみつけて…」
「そうだっけ?」
兄さんはやはり何も思い出さないようだった。
「この箱、中に何か入ってるのはわかるんだけど、蓋が開かなくて…っていうか、どこにも蓋がなかったんだよ。
それで、私、お兄ちゃんに開けてって頼んで…」
兄さんが声にならない声を上げた。
「思い出した!あれは、吉岡さんの別荘に遊びに行った時だ。」
「吉岡さん?」
「あぁ、父さんの友達で、体格が良くて優しいおじさん。
おまえ、吉岡さんのことを『くまおじさん』って呼んでけっこう懐いてたぞ。」
「そうなの?」
私はそのくまおじさんなる人のことがまるで思い出せなかった。
「ここから割と…でもないけど、そこそこ近い山の中の別荘だった。
確か、二泊か三泊はしたはずだ。」
兄さんは懐かしそうに話すけど、そこまで言われても、私にはまるで思い出せない話だった。
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