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薔薇の香水(しし座)
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(何がラッキーアイテムよ!)
たまたまTVで今日のしし座のラッキーアイテムが薔薇の香水だと知った私は、姉の香水を少し拝借しようと思い立った。
姉はけっこう神経質で細かい性格だから、貸してと言うのも面倒くさい。
だから、出掛けにこっそりつけてそのまま出ていくことにした。
姉が下に降りて行ったのを確かめ、こっそりと姉の部屋に入る。
ところが、黙って使うことにやはりどこか後ろめたさがあったのか、慌てた私の手から香水瓶が落ち、ドレッサーの角に当たって派手な音を立ててそれは割れた。
「あぁぁぁーーー!あんた、何やってんのよ!」
「ご、ごめん…ちょっと香水借りようかと思ったら手が滑って…」
「もう~!普通、勝手にそんなことする?
これはね、限定100本の…」
朝っぱらから姉に長々と怒鳴られ、片付けをしてたせいでいつも乗る電車に乗り遅れてしまった。
香水をつける前に落として割ったのに、落ちた時に飛び散ったり片付けた時に付いたのか、薔薇の香水の香りは私に染みついていた。
香りが鼻をかすめる度に私のイライラを募らせる。
(何なのよ、あの占い!
ラッキーアイテムどころかアンラッキーアイテムだったわよ!
お昼休みにクレームの電話をかけてやるんだから!
あぁ、本当に頭に来る!)
そんなことを考えながら会社に着くと、ドアを開けた途端に、出て来た誰かと激しくぶつかり、私は尻餅を着いた。
痛さも加わり、私の苛々に拍車がかかる!
「どこ見て…」
「ごめん。大丈夫?」
そう言って手を差し伸べてくれたのは憧れのT先輩。
部署も違うからもちろん喋ったこともなく、出会うことさえそれほどはない。
でも、上品でイケメンでスーツの似合うT先輩は、私の心の王子様。
その王子様が、今、私に手を差し伸べてくれている…!
「わ…わ…」
「……良い匂い…薔薇の香りだね。」
「は、はい!」
私は無意識に手を差し出し、そして無意識にそう答えていた。
「実は、僕…薔薇が大好きなんだ。
男のくせにキモいでしょ?」
そう言いながらはにかむT先輩は、なんだかとっても可愛かった。
「そ、そんな、キモいだなんてそんなことありません!
とっても素敵だと思いますよ。
だって、薔薇の香りは本当に最高ですもん。」
「うわぁ、嬉しいなぁ…
そんなこと言われたの初めてだよ。
君とは気が合いそうだね。
あ、そうだ、今日のお昼、一緒にランチに行かない?」
「ラ…ランチですか!?
は、はいっ!」
信じられないけど、それは現実で…
私は、テレビ局に「あの占いはすごいです!これからも頑張って下さい!」と、電話をかけた。
たまたまTVで今日のしし座のラッキーアイテムが薔薇の香水だと知った私は、姉の香水を少し拝借しようと思い立った。
姉はけっこう神経質で細かい性格だから、貸してと言うのも面倒くさい。
だから、出掛けにこっそりつけてそのまま出ていくことにした。
姉が下に降りて行ったのを確かめ、こっそりと姉の部屋に入る。
ところが、黙って使うことにやはりどこか後ろめたさがあったのか、慌てた私の手から香水瓶が落ち、ドレッサーの角に当たって派手な音を立ててそれは割れた。
「あぁぁぁーーー!あんた、何やってんのよ!」
「ご、ごめん…ちょっと香水借りようかと思ったら手が滑って…」
「もう~!普通、勝手にそんなことする?
これはね、限定100本の…」
朝っぱらから姉に長々と怒鳴られ、片付けをしてたせいでいつも乗る電車に乗り遅れてしまった。
香水をつける前に落として割ったのに、落ちた時に飛び散ったり片付けた時に付いたのか、薔薇の香水の香りは私に染みついていた。
香りが鼻をかすめる度に私のイライラを募らせる。
(何なのよ、あの占い!
ラッキーアイテムどころかアンラッキーアイテムだったわよ!
お昼休みにクレームの電話をかけてやるんだから!
あぁ、本当に頭に来る!)
そんなことを考えながら会社に着くと、ドアを開けた途端に、出て来た誰かと激しくぶつかり、私は尻餅を着いた。
痛さも加わり、私の苛々に拍車がかかる!
「どこ見て…」
「ごめん。大丈夫?」
そう言って手を差し伸べてくれたのは憧れのT先輩。
部署も違うからもちろん喋ったこともなく、出会うことさえそれほどはない。
でも、上品でイケメンでスーツの似合うT先輩は、私の心の王子様。
その王子様が、今、私に手を差し伸べてくれている…!
「わ…わ…」
「……良い匂い…薔薇の香りだね。」
「は、はい!」
私は無意識に手を差し出し、そして無意識にそう答えていた。
「実は、僕…薔薇が大好きなんだ。
男のくせにキモいでしょ?」
そう言いながらはにかむT先輩は、なんだかとっても可愛かった。
「そ、そんな、キモいだなんてそんなことありません!
とっても素敵だと思いますよ。
だって、薔薇の香りは本当に最高ですもん。」
「うわぁ、嬉しいなぁ…
そんなこと言われたの初めてだよ。
君とは気が合いそうだね。
あ、そうだ、今日のお昼、一緒にランチに行かない?」
「ラ…ランチですか!?
は、はいっ!」
信じられないけど、それは現実で…
私は、テレビ局に「あの占いはすごいです!これからも頑張って下さい!」と、電話をかけた。
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