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scene 13

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「アズラエル、遅いな。
それに、ルシファーもまったく目を覚まさないが…
本当に、大丈夫だったんだろうな?」

「あんたは心配性だな。
ルシファーは黒い宝石に完全に封じ込められた。
暗闇に眠る星を使って発動された術だ。
しかも、封印したのはミューラント様だぞ。
失敗するはずはないさ。」

「そうは言ってもなぁ…」

その時、ルシファーが小さな呻き声を上げた。



「ルシファー、気が付いたのか?!」

ルシファーは、目を開けたがランディの言葉に何も反応しない。
ただ、ぼんやりとした目で、ランディをみつめるだけだった。



「ルシファー……大丈夫か?」

ランディが再び声をかけたが、ルシファーは、やはり何も言わなかった。




「リンク…なんだかこいつの様子がおかしいぞ。」

「ランディさん、もしかしたら以前のあなたのように、大きなショックを受けたせいで精神が麻痺した状態なのでは?」

「そ、そうなのか…?」




「そうではない…」



「誰だ?!」

そこに立っていたのはアズラエルだった。



「アズラエル、戻ったのか。」

「ミューラントとリュタン達は、無事にスィーク・レノに戻って行った。」

「それは良かった。
後のことは、ミューラント様がきっとなんとかして下さる。
もう心配ない。」

「ランディ、すまないがちょっと水を持ってきてくれないか?」

「水?あぁ、わかった。」



「リンク、ルシファーはいつ意識が戻った?」

「つい今さっきさ。」

「そうか…」



ランディが水を持って戻って来た。
アズラエルはその中に、なにか薬のようなものを混ぜ入れた。

「さぁ、ルシファー、口をあけて…」

「薬を飲ませるのか?」

アズラエルは、ルシファーの身体を後ろから抱き抱え顎を掴むと、彼の口の中に水を注ぎ込む…




「あ………!!」

皆が見守る中、ルシファーの身体が、みるみるうちに小さくなり始め、やがて赤ん坊の姿に変わっていく…
ルシファーの服の中にうずまったルシファーの小さな身体をアズラエルがそっと引き出した。
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