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血の盟約

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ルシファーは、アルヴィンを屋敷に送り届けると、すぐにどこかに消えていった。
そのことで、アルヴィンの気持ちは乱れた。
自分は、ルシファーに気に入られたのだという先程までの自信が早くも揺らぐ…



「やぁ、新入りさん…」

ここでどうしていれば良いのかもわからないアルヴィンの背後から、声が聞こえた。



「……君は…僕と同じかな?」

そこにいたのはルシファーにどこか似た感じのする美青年だった。
アルヴィンを舐めまわすようにじっくりとみつめ、男はそう呟いた。



「どういう意味だ?」

青年は、おかしそうに微笑み、この屋敷のことをアルヴィンに説明した。
ここにいる者達には様々な役目があり、ルシファーに飽きられると捨てられたり時には殺されてしまうということを…
そのため、ここにいる者達の顔ぶれはしょっちゅう変わるということだった。



「そうは言っても、この屋敷に住まわせてもらえる者はごくわずか…
やはり、名誉なことさ…」

衝撃的な内容を、青年がいとも簡単に話すことにアルヴィンは怖れを感じた。



「それで…君の役目は?」

「わかってる癖に…」

青年は意味ありげな微笑を浮かべたが、アルヴィンの表情を見てさらに言葉を続けた。

「……まさか、本当にわかってないのか?」

青年はアルヴィンの耳に小さな声で囁いた。
話を聞くうちにアルヴィンの頬が耳まで赤く染まっていく。



「君は、綺麗だからね。
きっと、そうだよ。」

「だ…だが…ルシファー様は男ではないか!」

「あの方は、そんなことはお構いなしさ。
ただ、美しいものを好まれるだけ…それだけのことさ。」



やがて、数日後、アルヴィンは青年の予想が正しかったことを知った…

アルヴィンはルシファーの気に入られ、屋敷の他の誰よりもルシファーと一緒に時を過ごす事が多くなっていった。
そのことで、アルヴィンはどこへ行っても丁寧な扱いを受けるようになった。
アルヴィンの野望が実現したかのように思われたが、その心の中は満ち足りたものではなかった。



(私は…こんなことのためにここに来たわけではない…)



「ルシファー様、お願いがあるのですが…」

ある晩、アルヴィンは意を決し、心の奥に押しこめていた気持ちをルシファーに打ち明けた。


 
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