1ページ劇場③

ルカ(聖夜月ルカ)

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日本ダイスキ!

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(うげげ……!)



 今日は、Facebookで知り合ったアメリカの女の子・キャサリンが日本にやって来る。
 日本のアニメやゲームを知ってそこから日本に興味がわいて、なんと独学で日本語もほぼマスターしたという努力家だ。
 日本にいる二週間、彼女は、僕の家に泊まることになっている。
うちは、両親と同居だし、客間もあるから問題はない。
キャサリンみたいな可愛い女の子が、うちに来てくれるのは嬉しいんだけど…
ただ、一つ問題が…



「ア!ケンタロウ~!」



 長い金髪を揺らしながら、僕に向かって来るキャサリンは、注目の的だ。
なんせ、セー〇―ムーンのコスプレをしてるんだから…



「ケンタロウダヨネ?」

 「う、うん…」

 「アイタカッタヨ~!」

 「わ、わ!」

ミニスカートのセー〇―ムーンに突然抱き付かれ、僕は思わずフリーズしてしまった。



 「と、と、とりあえず、家に行こう。」

 「ウン!」

あぁ、車で来て良かった…
これが電車だったら、いたたまれないところだった。



 「疲れただろう?
うちまでは30分くらいだからね。」

 僕は、FMラジオのスイッチを入れた。



 「ア…コノ曲、知ッテルヨ!」

キャサリンが流れて来た曲に食いついた。
それは、大きな古時計の歌。
キャサリンは、それに合わせて英語で一緒に口ずさむ。
キャサリンって、歌もうまいんだな。
それにしても、この曲って、アメリカにもあるのかな??



 「アァ、タワシ、本当ニ日本ニ来タンダネ!」

 窓の景色を眺めながら、キャサリンがしみじみとそう言った。
キャサリンは、わたしとたわしを間違えている…
Facebookに書いてる時から気にはなってたけど、注意しにくくて…
でも、まさかこんなに完璧に間違えてるとは、困ったな。



 *



 「オ母サン、初メマシテ!
タワシハキャサリンデス。
オ世話ニナリマス!」

 「まぁ、可愛いお嬢さんだこと。
その衣装、とっても似合ってるわよ。」

 「アリガトウゴザイマス!」

 「お腹減ったでしょ?
すぐにお昼ご飯作りますからね。」

リビングで寛いでると、良いにおいがして来た。
 今日はウナギだ!



 「はい、おまたせ!」

 「ワォ!スゴク良いニオイ、コレハ何デスカ?」

 「ウナギよ。
 今日は土用の丑の日だからね。」

 「エッ!違イマス!今日ハ火曜日デスヨ。」

 「あぁ、その曜日じゃなくてね…ちょっと、健太郎、説明してあげて。」

 「そんなの無理だよ。」

 土用の丑が何なのかもわかってない僕に、説明なんて出来るはずがない。



 「オイシイ!ダケド、コレ、びーふデスカ?」

 「ううん、これはウナギのかば焼きよ。」

 「カバ!?Hippopotamus!?
 日本デハHippopotamusヲタベルノデスカ!?」」

キャサリンは、目を丸くしている。



 「い、いや、そのカバじゃなくて…とにかくこれは美味しい魚だから…」

 「魚?」

キャサリンは、首を傾げながらまた食べ始めた。



 (……大丈夫かな?)



 初日からこんな感じで、後二週間やっていけるんだろうか?
 僕はそんな心配をしながら、苦い笑いを浮かべた。

 
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