125 / 401
しあわせな男
1
しおりを挟む
「助けて!尚君!」
「えっ!?」
見れば、聖子が見知らぬ男に捕らえられていた。
「聖子を離せ!」
「この女を助けたければ、3時間以内に俺の家に来い!」
そう言い残すと、二人の姿はその場から掻き消えた。
「せ、聖子!」
なんてことだ。
俺の恋人の聖子が捕まってしまった。
とにかく、聖子を助けなければ…!
あいつの家はこの高い山の向うだ。
ん?なんで、俺、あいつの家を知ってるんだ?あいつが誰だか、知らないのに。
いや、今はそんなことは関係ない。
とにかく、聖子を助けないと!
俺は目の前の山を見上げる。
途方もなく高い山だ。
看板には『エベレスト』と書いてある。
「聖子~!今行くからな~!」
俺は、エベレストを必死で登る。
だが、山はなにしろ高くて、どれだけ必死に登ってもなかなか進まない。
こんな調子では3時間以内にはとてもこの山を乗り越えられそうになかった。
俺の気持ちは焦るばかり…
「あっ!」
そんな時、俺の体がふわりと浮かんだ。
大きなコンドルが、俺を掴んで、山を越えていく…
「ありがとう!助かったぜ!」
俺は、運んでくれたコンドルに大きく手を振った。
あいつの家はこの近くのはずだ。
俺はあいつの家を探して歩いた。
そのうち、広大な畑が現れた。
見渡す限りのピーマン畑だ。
ふと、腕時計を見ると、タイムリミットまであと3分となっていた。
「聖子~!聖子~!どこだ~!?」
*
「ふぅーん…それで、最後はどうなったのよ。」
「そこで目が覚めたんだ。」
「なぁ~んだ。」
「でも、エベレストにコンドルにピーマンだぜ。
一富士、ニ鷹、三なすびと、明らかにかすってるよな?
こんな初夢見たんだ、きっと、今年は良いことがある!」
「え~…そうかなぁ…?」
「絶対そうだって!
あ、そうだ、宝くじ…!
俺、今年は宝くじ買うぞ!
きっと、それが大当たりするんだ!
そうだ、そうに違いない!!」
「はぁ……」
聖子は呆れて、小さな溜息を漏らした。
「えっ!?」
見れば、聖子が見知らぬ男に捕らえられていた。
「聖子を離せ!」
「この女を助けたければ、3時間以内に俺の家に来い!」
そう言い残すと、二人の姿はその場から掻き消えた。
「せ、聖子!」
なんてことだ。
俺の恋人の聖子が捕まってしまった。
とにかく、聖子を助けなければ…!
あいつの家はこの高い山の向うだ。
ん?なんで、俺、あいつの家を知ってるんだ?あいつが誰だか、知らないのに。
いや、今はそんなことは関係ない。
とにかく、聖子を助けないと!
俺は目の前の山を見上げる。
途方もなく高い山だ。
看板には『エベレスト』と書いてある。
「聖子~!今行くからな~!」
俺は、エベレストを必死で登る。
だが、山はなにしろ高くて、どれだけ必死に登ってもなかなか進まない。
こんな調子では3時間以内にはとてもこの山を乗り越えられそうになかった。
俺の気持ちは焦るばかり…
「あっ!」
そんな時、俺の体がふわりと浮かんだ。
大きなコンドルが、俺を掴んで、山を越えていく…
「ありがとう!助かったぜ!」
俺は、運んでくれたコンドルに大きく手を振った。
あいつの家はこの近くのはずだ。
俺はあいつの家を探して歩いた。
そのうち、広大な畑が現れた。
見渡す限りのピーマン畑だ。
ふと、腕時計を見ると、タイムリミットまであと3分となっていた。
「聖子~!聖子~!どこだ~!?」
*
「ふぅーん…それで、最後はどうなったのよ。」
「そこで目が覚めたんだ。」
「なぁ~んだ。」
「でも、エベレストにコンドルにピーマンだぜ。
一富士、ニ鷹、三なすびと、明らかにかすってるよな?
こんな初夢見たんだ、きっと、今年は良いことがある!」
「え~…そうかなぁ…?」
「絶対そうだって!
あ、そうだ、宝くじ…!
俺、今年は宝くじ買うぞ!
きっと、それが大当たりするんだ!
そうだ、そうに違いない!!」
「はぁ……」
聖子は呆れて、小さな溜息を漏らした。
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
旦那様の愛が重い
おきょう
恋愛
マリーナの旦那様は愛情表現がはげしい。
毎朝毎晩「愛してる」と耳元でささやき、隣にいれば腰を抱き寄せてくる。
他人は大切にされていて羨ましいと言うけれど、マリーナには怖いばかり。
甘いばかりの言葉も、優しい視線も、どうにも嘘くさいと思ってしまう。
本心の分からない人の心を、一体どうやって信じればいいのだろう。
婚約破棄ブームに乗ってみた結果、婚約者様が本性を現しました
ラム猫
恋愛
『最新のトレンドは、婚約破棄!
フィアンセに婚約破棄を提示して、相手の反応で本心を知ってみましょう。これにより、仲が深まったと答えたカップルは大勢います!
※結果がどうなろうと、我々は責任を負いません』
……という特設ページを親友から見せられたエレアノールは、なかなか距離の縮まらない婚約者が自分のことをどう思っているのかを知るためにも、この流行に乗ってみることにした。
彼が他の女性と仲良くしているところを目撃した今、彼と婚約破棄して身を引くのが正しいのかもしれないと、そう思いながら。
しかし実際に婚約破棄を提示してみると、彼は豹変して……!?
※『小説家になろう』様、『カクヨム』様にも投稿しています
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
密会~合コン相手はドS社長~
日下奈緒
恋愛
デザイナーとして働く冬佳は、社長である綾斗にこっぴどくしばかれる毎日。そんな中、合コンに行った冬佳の前の席に座ったのは、誰でもない綾斗。誰かどうにかして。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる