1ページ劇場③

ルカ(聖夜月ルカ)

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縁結びの雨

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「あ、あぢぃ……」



まだ5月っていうのになんて暑さだ。
しかも、まだ午前中だっていうのに…
こんなの初夏じゃない。
 真夏の暑さだ!
 俺はイライラしながら、Tシャツの袖をまくった。
 冬生まれのせいか、俺は暑さにはめっぽう弱い。
 夏なんかなくなれば良いと思ってるくらいだ。



こんなことなら、今日は家で引きこもっていればよかった。
 別に買い物なんて明日でも良かったのだから。



 心の中で愚痴ってるうちに、スーパーに着いた。
このあたりでは一番大きくて、品揃いが良く食品も新鮮なスーパーだ。



 (はぁ……)



エアコンの効いた店内に入り、ようやく生き返ったような気がした。



 俺は、必要なものを次々とカートに入れる。
 買い物が済み、外に出ようとしたら、外は雨が降っていた。



 (さっきまであんなに晴れてたのに、なんだよ、今日の天気は!最悪……ん?)



ふと見ると、スーパーの入り口付近には、空を見上げて困ったような顔をする人達が数人いて…
その中に、一人…とても目を引く女性がいた。
 彼女はどこかに電話をかけていた。



 (可愛い…!無茶苦茶、タイプなんですけど~!)



だけど、ナンパなんて滅多にしたことないし…
でもでも、こんなチャンスを逃したら、こんな素敵な出会いはないかもしれないし。



 迷ってる俺のところに、なんと、彼女が近付いて来て…



「あの…すみません。
 厚かましいんですけど、ちょっとスマホを貸していただけないでしょうか?
 私のスマホ…充電が切れちゃって…」

 「ど、どうぞどうぞ。」

 俺はポケットからスマホを取り出し、手渡した。
 彼女はその場からちょっと離れ、どこかに電話をかけていた。



 「……そうですか。わかりました。」



 彼女は、ちょっと落ち込んだ顔で戻って来た。



 「ありがとうございました。」

そう言ってスマホを返し、彼女は財布を取り出した。



 「あの、少ないですが、電話代…」

 「そんなの良いですよ。
それより、何か問題ですか?」

 「いえ…なんでも…」

 「そうですか、あ、傘はお持ちですか?」

 「いえ…持ってません。」

 「じゃあ、雨が止むまで、中のフードコートでコーヒーでも飲みませんか?」

 「えっ!?」



 彼女はびっくりしたようだったけど、意外にもその誘いに応じてくれた。



 「えっ!それだったら、俺が見ますよ。」

 「ほ、本当ですか?」

 彼女は、昨日、この近くに引っ越して来たらしく、風呂の沸かし方が今までとは違ってわからないので、大家に電話をかけていたらしい。
だけど、大家は今は近くにいないとのことで、今日は行けないと言われて困っていたということだった。



 「じゃあ、そろそろ行きましょうか。」

コーヒーを飲みながらしゃべっている間に、雨はあがっていた。



 再び顔を出し始めた太陽にも、今度は不思議と腹が立たなかった。

 
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