1ページ劇場③

ルカ(聖夜月ルカ)

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(うぅ…腹減った……)



 俺は、うつろな目で天井をみつめる…



なんてこった。
こんなことになるなんて、数日前の俺は考えもしなかったのに…



あれは、お盆休みの前日の日のこと。
なんとなく、体がだるかった。
でも、この暑さだ。
 健康だけが取り柄みたいな俺だって、多少は、体も弱るはず。
そんな風に考えていた。
いつものように、会社近くのスーパーで割引になった弁当と枝豆を買い、俺は家路に着いた。



いつもならあっという間に食べてしまう弁当がなかなか入らない。
ビールもどうもうまくない。
 考えてみれば、この時から異変は始まってたんだな。



その晩は、酷い有様だった。
 吐いて、下して、腹は痛いし熱っぽい。
 誰か助けてくれと心の中で叫びながら、眠れない夜を過ごした。



 次の日は祭日。
 病院は休みだし、とても起きられるような状態ではなく、一日中寝ていた。



その次の日、多少、症状が落ち着いた。
でも、まだ体は言うことを聞かない。



どうにも腹が減って、俺はよろよろしながら冷蔵庫を開けた。



 (はぁ……)



 冷蔵庫に入ってるのは、冷えたビールと数日前に買った枝豆だけ。
なんで、もっとまともなものを買っとかないんだ!って、自分自身に腹を立てる。



 困った。
 近所に買い物を頼めるような人はいないし、どうしたものか…
せめて近くにコンビニでもあれば良いのだが、残念なことにうちから一番近いのは、徒歩20分のスーパーだ。
 今の俺には、往復40分を歩く体力はない。



 (はぁぁ……)



がっくりした時、玄関のチャイムが鳴った。



 「はい……」

 玄関までほんの数歩なのに、よろける。



 「あ、秋川さん…田舎からすいかが送って来たから…
あら?秋川さん、どうしたの?」

 半分に切った赤いスイカを持って立っていたのは、大家さんだった。



 「実は……」

 「あらまぁ、それは大変!」

 俺が事情を話すと、大家さんはすぐに家に戻り、おかゆを作って来てくれた。
 大家さんとの付き合いなんて、何かと面倒くさいだけだと思っていたけど、さすがに親切が身にしみた。
これからは、大家さんとの付き合いもなんだかうまくいきそうだ。
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